タワーレコードのアパレル部門が様々なアーティストとコラボしたTシャツを販売しているのは、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、最近Rakuten FashionやZOZOTOWNで「Grateful Dead」で検索すると、コラボ商品を取り扱っているブランドが急に増えたのをご存じでしょうか?結構有名なブランドも含まれていますが、その大部分は彼等のファン=Dead Headsの子供世代向けに考案された「ダンシング・ベア」がモチーフになっています。
まあ、実際に購入して着用する世代は、ひょっとしたら年齢的には孫世代かもしれないので、それもアリかなとは思います。でも、Grateful Deadって、今でも日本でそんなに人気があるとは思えません。それどころか、日本では人気とギャラのバランス(採算)が取れないらしく、今や「来日していない最後の大物ロック・バンド」という認識が定着していると思います。
コラボ商品を扱っているブランドのバンド説明文も、異口同音に上っ面を撫でたようなステレオタイプの内容だし、着こなし見本の店員のコメントに至っては、「アメリカの有名なロック・バンドらしいけど聴いたことは無い」というのが、アリアリと窺えます。ヒッピー・ムーブメントとかドラッグ・カルチャーとか呼ばれた1960年代後半のアメリカの若者文化なんてどうでもいいから、とにかく買って着てみてよ。そんな風にしか見えない着こなしでした。
SunHeroだって当時生まれていましたが、幼すぎてリアルタイムで体験する機会はありませんでした。思春期を迎えた1970年代に入って、ようやく当時の象徴的なアーティストをツマミ聞きした程度です。あの時代、最も成功したグループはThe Doorsでしょう。音楽的にも若者のやり場の無い苛立ちが反映されていて、今聞いても時代の雰囲気を感じ取れると思います。
一方、The Grateful Deadの場合は、かつてBob Dylanのバック・バンドを務めて有名になったThe Bandのような、ルーツ・ロックと呼ばれる渋い音楽です。初期のアルバムを聞いても、The DoorsやJefferson Airplaneほどサイケデリックではありません。ただ、そうした時代背景の中、ライブでは観客共々ドラッグでトリップ状態になって、延々と即興演奏が繰り広げられたため、数多のDead Headsが生まれた訳です。

サイケなスモッグがすっかり晴れてしまった1970年代になると、意匠が単純化され、有名な「スカル」や「稲妻」が登場しました。遠目には愛らしいテディ・ベアをモチーフにしたダンシング・ベアも、そうした流れの延長上で誕生しました。いつ頃登場したのか知りません。確かなのは、Dead Headsが家庭を持ち、子供連れでライブへ足を運ぶようになって、子供向けコンサート・グッズの意匠として定着したと言うことです。
だから、アパレル・ブランドの中にも、伝統的なスカル柄を取り入れた商品を扱っているところもあります。ダンシング・ベアを前面に押し出しながら、ワンポイント的に稲妻マークをあしらったものもあります。ただ、遠目には「ギザギザの葉っぱ」のようにしか見えないのが残念です。
ちょっと聞いてみようかな?と思った方のために、例によって例のごとくAmazon MusicとSpotifyへのリンクをご用意しました。ひとつは、現役バリバリの頃にはGreatest Hitsみたいなアルバムを出したことがない彼等のライブで人気の高い曲を中心に編纂されたベスト盤、もうひとつは膨大なライブ音源から厳選(?)されたライブ・ベスト盤です。
どちらも2曲目が同じです。スタジオ録音とライブ演奏を聞き比べてみるのも一興かと思います。ちなみに、前者はCD2枚組、後者はCD4枚分もあります。後者の場合、バーボンでもロックで飲みながら聞いたら、ドラッグでハイになったみたいな気分で、4時間以上あっても、アッサリ聞けるのでは無いでしょうか?
最近のバーボンは、安い国産ウィスキー並みの価格で買えますよ。アーリー タイムズやI.W.ハーパー がサントリー・オールド並みだし、ジム・ビーンなんて角瓶より安かったりするし。スコッチだって相当安くなりましたが、バーボンよりはスコッチ高いかな。CDもウィスキーも、どうして国産より輸入の方が安いんでしょうか?日本の経済って、どこかおかしくないですか?
The Best Of The Grateful Dead
30 Trips Around The Sun: The Definitive Live Story (1965-1995)
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