BoA - 私このままでいいのかな (February 2018)


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韓国で13歳でデビューしたBoAも、31歳になっていた。ほぼ3年半振りのアルバムは、「私このままでいいのかな」という前例の無い異色のタイトルだ。内容はアラサー女子の揺れ動く気持ちを歌ったものだが、精神的には女性の方が逞しいのか、BoAの歌唱表現の成せる技なのか、前作同様、前向き感が強く漂う。

例によって、DVD付きの初回盤は、ミュージック・ビデオ版とライブのダイジェスト版の2種類があり、スリーブ・ケースのパッケージも異なるが、CD自体の収録内容は、通常盤も含めて共通だ。昔のSunHeroなら、DVDの内容違いに惹かれて、初回版を両方買ってしまっただろう。そんな大人げない大人買いは卒業した。

アルバムは、アコースティック感が漂うイントロが清々しい「Where am I now」で始まるが、歌の方は「ひとつの恋が終った時、気付けば自分を叱ってくれる人もいない年齢になっていた」という、内省的な内容だ。続く「ありがとうザヨナラ」は、失恋の経験を糧に前向きに生きていこうという決意表明の歌だ。

更に曲が進んで「Jazzclub」では、密かに想いを寄せていた男性から電話で結婚したと伝えられる。相手の男性にしてみれば、何でも気軽に話せる異性の友だちでしかなかったという訳だ。失意のBoAがタクシーに乗って向かった先は「Jazzclub」。そこで仲間と踊り明かして、自分らしさを取り戻す。

ここから既発表曲の2連荘なのだが、曲調・歌詞ともに見事に繋がっていて、アルバム全体で描くストーリーを立派に補完している。アルバム後半には既発表曲が増えてくるが、ちょっと浮いている感じがしたのは「Lookbook」くらいだ。

ラスト前には、2015年5月発売の韓国8集の表題曲「Kiss My Lips」が日本語バージョンで転用されているが、タイトルから想像できるように、自発的に新しい恋を求める挑発的な曲だ。だが、巡り巡ってアルバムを締め括る表題曲で、再び「叱ってくれる人がいない」と弱さを吐露している。

日本では成人年齢を18歳に引き下げる方向に向かっているが、二十歳になっても成人したという実感が沸かないものだ。むしろ、大人としての自覚を促されるのは、三十路に差し掛かった頃なのではないか。

ただ好きなアーティストの音楽を聞いていただけなのに、聴き進むうちに色々と深く考えさせられてしまった。日本デビュー前に出会ってから18年、かつて本人もライブのMCで語っていたが、こんなに長く音楽活動できるアーティストになるとは思ってもみなかった。

もちろん、当時は知らなかったことだが、韓国初の海外でも通用するアーティストの育成を目指して、SMエンターテインメントはまだ小学生だったBoAに白羽の矢を立てた。2年の育成期間中には、日本デビューを念頭に置いた2ヶ月の日本滞在などがあり、日本で韓国以上の成果を上げると、韓国での活動を犠牲にしてまで全米デビューに臨んだ。

2010年代に入ってから音楽活動がペースダウンしてきたというよりは、それまでの10年が一人の少女には過酷すぎるスケジュールだったと思う。実際、SMエンターテインメントの先輩だったS.E.S.が、マネージメント契約満了と共にアッサリ解散したり、東方神起の分裂騒動など、韓国芸能界におけるタレントの待遇は劣悪なようだ。

BoAの芸能活動が緩慢になったというよりは、ようやく自分のペースで活動できるようになったと言えるだろう。下世話な見方をすれば、BoAが日本で稼いだ外貨のおかげで、SMエンターテインメントは少女時代をはじめとした次世代アイドルを育成・輩出し、韓国最大の芸能事務所の地位を築いた。謂わば、事務所からのご褒美なのかもしれない。



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