ズートピア [Zootopia] (2016 USA)

映画公式サイトへ動物園を意味する「ZOO」とイギリスの思想家=Thomas Moreの著書に由来する「UTOPIA」の合成語が、ディズニーの新作アニメのタイトル=「ズートピア」だ。その中で描かれているのは、実際には捕食関係にある肉食動物と草食動物が共存する世界だ。人間以上に大小の差があるだけに、小動物の保護区域まで設けられている。さながら動物版ディズニーランドのような世界だ。

だが、やはり、内情は人間社会を投影したものだった。登場する動物達には、人間がその動物に抱くイメージが刷り込まれたキャラクター作りがされている。一方で、獰猛な動物でも親切でユーモアがあったり、気弱そうな小動物が悪事の黒幕であったりと、人間同様に「動物も見かけに拠らない」ことも明示している。当然、犯罪だってゼロではないから、警察もある。

「ズートピア」が動物達の理想社会という意味なら、人間社会と大差無い動物社会のどこが「理想社会」なのか?その答えは、終盤に登場する博物館に隠されているようだ。さりげなく武器を持ったウサギの像が出てくる。恐らく過去に草食動物の武装蜂起があって、凄惨な動物大戦を経て、共存社会が実現したと想像されるからだ。

主人公は雌ウサギのジュディだ。郊外で農業を営む一家の娘だが、人一倍、否、ウサギ一倍正義感が強く、警察官を志して都会へ出る。厳しい訓練をこなし、ウサギ初の警官となるが、所長以下の先輩警官達は、「志高く」を通り越して、すっかり天狗になっているジュディに、冷ややかな対応だ。

初任務で駐車違反の取締りを命じられると、所長に食ってかかるが、所長は新米警官が生意気なことを言うなとばかりに取り合わない。夢を叶えたはずが、ふて腐れてしまうジュディだが、渋々駐禁を取り締まっていると、ウサギの警官とみるや、猛口撃を受けて、逆にやり込められてしまう。

実は「ズートピア」の存亡に関わる不可解な事件が起きていた。温厚な住獣(≠住人)が突然凶暴化して、行方不明になるというものだった。ジュディはそうした事件を担当させてもらえると思い込んでいただけに、電話で親に駐禁警官の制服を指摘されると、「今日だけだよ」と見栄を張ってしまう。

ある日、子供達にキャンディを売っている人(?)の良さそうなキツネのニックに出会う。ところが、その正体はチンピラ詐欺師だった。”FOX”が「詐欺師」の意味で使われるだけに、相応しいキャラだと思ったが、ニックは悪知恵だけでなく、機知にも富んでいて、正攻法で悪に挑もうとするジュディに、様々な策を提案する。

やがて、凶暴化するのは肉食獣だけだと気付き、ジュディはその事実を公表する。そのため、肉食獣は不当に警戒されるという事態になった。当然、市長のライオンも職務停止になり、貧相なヤギの副市長が代行した。警察の窓口で愛想良く応対していたチーターまでが、配置換えに遇ってしまったのを知り、ジュディはようやく自分の発言の重大さに気付く。

恐らく、ジュディは幼少の頃から、ウサギだというだけで見下されたのだろう。やがて、無自覚のまま、他動物(≠他人)を見た目で判断するようになっていた。肉食獣達がいつ自分も凶暴化するか分らないという不安を抱えながら、世間の冷たい視線に晒される事態になった責任を痛感したジュディは、ニックを相棒に真相究明に乗り出した。

早い話が、子供の教育に有益な要素がテンコ盛りのアニメだ。物事を偏見や先入観で判断してはいけないとか、不用意な発言が大問題に発展してしまうことがあるとか、上っ面だけの正義感では空回りするだけだとか、詐欺師の知恵も使い方次第とか・・・・反面、信じることの大切さと、そこから生まれる友情・・・・ジュディとニックは、互いの長所と短所が上手く噛み合えば、良い夫婦になりそうな気がしませんでしたか?

ピクサーを吸収したディズニーですが、以降の作品の作風がピクサーに毒されてしまった印象があるだけに、SunHero的には最近のディズニー作品には違和感を覚えるものが多い。だが、「クレヨンしんちゃん」ほど毒気付かず、適度に風刺が効いている本作は、とても気に入りました。子供でも感情移入しやすいと思うので、ジュディが成長していく様が、子供の心の成長に良い影響をもたらしてくれるとイイですね。

ところで、ジュディが使っていたニンジン型のペン、映画館で売ってましたっけ?録音機能は無くてもイイけど、ペン先と反対の端にLEDライトでも付けてくれたら、暗がりでメモを取る時に有難いんでけどね。

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