脳漿炸裂ガール [初日舞台挨拶・池袋編] (2015日本)

「東京無国籍少女」の舞台挨拶が終わると、オーブンの中に居るような暑さの渋谷の街を、最短コースで渋谷駅に向かった。山手線で池袋へ直行だ。シネ・リーブル池袋で行なわれる「脳漿炸裂ガール」(以下「のうしょう」)の初日舞台挨拶上映を鑑賞するためだ。

シネ・リーブル池袋と言えば、舞台挨拶付き上映でしか訪れていない気がする。そもそも池袋は、SunHeroの行動範囲外だったのに、1)恐らく池袋駅から最短で行ける映画館らしいし、2)映画の半券でルミネのレストラン街で優待が受けられるので、余り苦にならなくなった。つまり、優待を利用して腹ごしらえしようという魂胆だ。

本作は、原作が同名“ボカロ”楽曲という史上初の映画だ。如何にも21世紀らしい題材が、実写映画化された。だが、いくらニコニコ動画内で関連動画を含めた再生回数が4千万回超えとは言え、登壇者で出演が決まる前から知っていたのは2人だけだった。まだまだ“ボーカロイド”市場は小さく、熱烈なマイノリティーのヘビー・ローテイションに支えられている感じだ。

“ボーカロイド”って何?って方でも、「初音ミク」というスーパー・ロングのツイン・テールがトレード・マークのバーチャルなアイドルの名前くらいは、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?SunHeroは、以前ライブ・ビューイングで初音ミクのライブを見ましたが、ホント不思議なライブでした。どうやら、この曲の初音ミク・バージョンも存在するようです。

原作楽曲の「脳漿炸裂ガール」は、れるりりさんというクリエーターの作詞作曲で、生身の人間にはとても歌えそうにない早口の歌だ。歌詞を掌握するには、最低100回は聞く必要があるだろう。単純計算で40万人だから、新曲1曲のリリースで、初回盤A・B+通常盤A・Bとか、初回盤A・B・C+通常盤とか、複数パッケージで売上を水増している生身のアイドル達と似たり寄ったりだ。

ただし、「のうしょう」の場合は、楽曲の発表が2012年12月で、翌年には吉田絵里香によって小説化され、今年映画化と相前後して、マンガ化もスタートという広がりを見せている。本当に注目されるようになるのは、これからかもしれない。

そういう実情なので、様々な音楽に興味があるとは言え、ユーザー登録していないSunHeroの耳には届いてこない。SunHeroの場合は、竹富聖花が出演している映画だという情報が入口だった。竹富聖花は、石橋杏奈とW主演だった「ゆめのかよいじ」以来注目していて、本作では私立恵比寿中学に在籍(?)している柏木ひなたとのW主演だ。

監督はアベユーイチ、脚本はノベライズを手掛けた吉田絵里香、音楽には原曲の作者=れるりりさんも関わっている。映画の公式主題歌は、私立恵比寿中学が担当しているそうだが、ライブでちゃんと歌えるのか、一度観てみたい。

ストーリーは、制服に憧れて猛勉強の末、聖アルテミス女学院に入学した市位ハナ(柏木ひなた)だったが、セレブの子女が通う超お嬢様学校だったため、とても肩身の狭い思いをしていた。例えば昼休みになると、まるでおせち料理やフレンチのフルコースみたいな豪勢なランチを持ってくる同級生の中で、朝通学途中にコンビニで買ったような菓子パンとペットボトル飲料が、ハナの昼食だ。

そんなハナにマカロンを差し出したのは、学年トップで才色兼備の稲沢はな(竹富聖花)だった。すると、他のクラスメイトも次々にハナに昼食のお裾分けを始めた。その日は、制服に白リボンを付けた成績優秀者を対象にした面接の日で、担任の田篠珠雲(浅香航大)から関係のない者は速やかに下校するように言われる。

セレブの出でもないのに、ハナはなぜかガラケーとスマホの両方を使い分けていて、帰宅途中に母親からの電話でスマホを学校に忘れてきたことに気付く。スマホを取りに戻ったハナは、面接という名目のサバイバル・ゲーム「黄金卵の就職活動」に巻き込まれてしまう。脱落した者は、特殊な銃で脳漿を撃ち抜かれて、田篠先生曰く「腐った卵」になってしまう。

ケータイを持っていないという稲沢に、ハナは自分のスマホを提供する。それをきっかけに2人は協力して、面接を勝ち抜いていく。その過程で、お嬢様学校の真の目的が明らかになり、稲沢はなの過去が暴かれる。ついに「はな」と「ハナ」は、唯一人の勝者を決める最終面接で対峙することになる。

80分弱の中編作品だが、“ボカロ”楽曲から話をここまで展開してしまったのは見事だ。脚本もさることながら、小気味よいテンポで物語が進行する演出とカット割りは、監督の手腕だろう。原曲の歌詞が台詞の至る所に散りばめられているのだが、分かっていて観ないと、台詞に不自然さを感じる場面もある。ちょっと敷居が高いかもしれないが、だったら、今、ここで、是非、予習して行って下さい。



一方、舞台挨拶の方は、柏木ひなた、竹富聖花、上白石萌歌、岡崎紗絵、志田友美、荒井敦史、浅香航大と、主要キャストがほぼ勢揃いし、もちろんアベユーイチ監督も登壇した。女性陣は全員映画の衣装で登場し、現役アイドルの柏木ひなたと志田友美は積極的に愛想を振り撒いていた。

対照的に、竹富聖花はマイペースで、司会者から話を振られても、小声で何が言いたいのか、良く分からない受け答えだった。何しろ、最初の質問で直前に柏木ひなたが話した内容と同じ話をして、登壇者も観客も当惑してしまった。所謂「天然」なんですかね?

女同士の修羅場に一枚噛んでいたイケメン教育実習生役の荒井敦史は、実は真面目そうな好青年で、チャラい役だったので、役作りは楽でしたといった旨を、誠実な口振りで語った。逆に、映画の中では冷淡な教師にしてゲームの進行役だった浅香航大は、役作りのために随分監督と話し合ったそうだが、ニコ生の撮影隊が来ていることを観客に知らしめて、場を盛り上げようと明るく振る舞っていた。

帰宅途中で立ち寄ったコンビニに、4個入りの小っちゃなマカロンがあったので、衝動買いしてしまった。映画の最後の台詞で、竹富聖花が無表情で「どうでもいいけど、マカロン食べたい」と言うのだが、それがすっかり脳裏に刷り込まれてしまったようだ。

この記事へのコメント

  • SunHero

    ふじき78さん、毎度投稿ありがとうございます。
    時間の許す限り繰り返し曲を聴いて、何とか思い出して下さい。
    2016年10月12日 06:18
  • ふじき78

    あつた。あった。
    もうあった事と曲の触りしか覚えていない。
    2016年10月05日 22:29

この記事へのトラックバック

脳漿炸裂ガール
Excerpt: 2015年 日本 78分 サスペンス/ホラー 劇場公開(2015/07/25) 監督: アベ ユーイチ 出演: 柏木ひなた:市位ハナ 竹富聖花:稲沢はな 上白石萌歌:瀬繹マイカ 岡崎紗絵:城野モ..
Weblog: 銀幕大帝α
Tracked: 2016-10-04 20:01
©Entertainment Weblodge SunHero
All rights reserved (except where noted)