トゥモローランド [Tomorrowland] (2015 USA)

当たり前の話だが、ディズニーランドにはアニメや映画をモチーフにしたアトラクションが沢山ある。逆に、21世紀になると、ディズニーランドのアトラクションをモチーフにした映画が、次々に制作されるようになった。

2002年の『カントリーベア・シアター』(⇒「カントリー・ベアーズ」)を皮切りに、『カリブの海賊』(⇒「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ)、『ホーンテッドマンション』と立て続けに公開された。他にもまだあれば、SunHeroの不勉強さを補って頂けると有り難い。

とりわけ「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、シリーズ化される程の人気を博した。実はSunHeroは、あの大ヒット・シリーズを一作も見ていない。「カリブの海賊」と聞いただけで、過去のほろ苦い想い出が脳裏に浮かぶからだ。せっかくのデートを自ら台無しにしてしまったアトラクションという事が、すっかりトラウマになってしまったのだ。

それはさておいて、もう映画化できそうなアトラクションは無くなってしまったのか?と思っていたら、予想だにしなかったアトラクションが映画化された。それが『トゥモローランド』だ。

一応、主演は、“George Clooney is inside!”と女性が叫ぶ某コーヒーのCMにカメオ出演していたジョージ・クルーニーだが、科学に強い興味を持つ少女=ケイシー・ニュートンを演じたブリット・ロバートソンの方が印象的だった。それと、ケイシーを「トゥモローランド」へ誘う神出鬼没な女の子=アテナ(宛名?笑)を演じたラフィー・キャシディも、可愛かったですねぇ。

その謎の女の子の名前がアテナというのも、なかなか気が利いている。ギリシャの首都名と語源は同じだ。それもそのはず、元々はギリシャ神話に登場する都市を守る女神の名前だ。彼女の外見は子供だが、1964年のニュー・ヨーク万博の会場で、フランク少年の前に現れた時も、2014年にケイシーの前に現れた時も、同じ容姿だ。例えるなら「未来型のピーターパン」と言ったところだろうか?

さて、映画で描かれる「トゥモローランド」とは何なのか?謎のピンバッチで見せることはできても、実際に訪れるのは容易ではない別世界であり、そこは「すべてが可能になる世界」だそうだ。フロリダにディスニー・ワールドを建設する際、ウォルト・ディズニーが一施設として思い描いた理想の未来都市(EPCOT)がモチーフになっているそうだ。

ウォルト・ディズニーのプランでは、商業地区を中心に放射状に居城地や田園が広がり、中心と周辺部は三層に分離された交通網で結ばれているのだそうだ。すなわち、車両による物流と人の往来は完全に分離されていて、交通事故など起こりようが無いという訳だ。

ところが、映画で描かれる中心地区は、やたらと未来的な高層ビルが建ち並び、道路らしきものが幾重にもビルを取り巻くように張り巡らされていて、何となく効率が悪そうに見えた。空想の街並みは、ウォルト・ディズニーの理路整然とした都市像とは、随分かけ離れてしまった印象だ。

ただし、人々は遊歩道のような歩行者専用道路を悠然と歩く。事故の危険も無く、仕事にも時間にも追われていない様は、何となく羨ましかった。

奇妙なことだが、1964年に当時11歳だったフランク・ウォーカー少年(トーマス・ロビンソン)は、バッジのおかげで「イッツ・ア・スモール・ワールド」内の秘密の入口から、次々に乗り物を乗り換えながら、“そこ”に辿り着く。ところが、2014年にケイシーが“そこ”に辿り着くためには、幾つもの試練を潜り抜けなければならず、その途中で人里離れた古い家に隠れ住んでいた50年後のフランク少年(ジョージ・クルーニー)と出会う。

映画の中では子供でも分かるようにハッキリとは説明されていないが、恐らく11歳で「トゥモローランド」へ誘われたフランク少年は、持ち前の発明力で理想都市の発展に貢献したようだ。だが、成長するに連れて、都市を統括するデイヴィッド・ニックス総督(ヒュー・ローリー)と意見が対立するようになり、身の危険を感じて、我々の世界へ逃げてきたようだ。

その証拠に、彼は人里離れた古い一軒家に身を潜めていたが、ケイシーの来訪後しばらくして現れた連中の襲撃を受ける。発明家のフランクは、家中に自衛の仕掛けを施していて、追っ手を振り切って、ケーシーと共に脱出する。

フランクはついに「トゥモローランド」へ乗り込むことを決意するが、今度の手段は11歳の頃とは桁違いのスケールだ。日本で例えるなら、テレビ朝日の本社屋の地下に隠されていたロケットが、社屋が割れるように開いて地上に姿を現し、六本木ヒルズのメインタワーを発射台にして宇宙へ飛び立つようなものだ。こうなると、一体「トゥモローランド」はどこにあるのか、全く見当が付かなくなった。

一応、明るく希望に満ち溢れた未来に向かうようなハッピー・エンドを迎える。だが、フランクとケイシーが主導する「トゥモローランド」は、その先本当に上手く行くのだろうか?

本作に関しては、やはり今年末に公開予定のディズニー版「スター・ウォーズ」に対する懸念を払拭し、より一層期待させるための露払い(デモンストレーション)に過ぎないと感じた。何しろ、ズバリ「スター・ウォーズ」のテーマが流れるシーンがある。それに、主人公の名前は、フランク・(スカイ)ウォーカーだ。

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