攻殻機動隊 新劇場版 [GHOST IN THE SHELL] (2015日本)

SF漫画家=士郎正宗が1989年発表した作品が「攻殻機動隊」だ。「ガンダム」程の人気を得られなかったのは、原作者が英語タイトルに拘っていたのに、当時の編集者が漢字だらけの題名にしてしまったせいだろう。もちろん、海外では英語タイトルで刊行され、斬新な発想は「マトリックス」や「アバター」に受け継がれていったのは、周知のことだろう。

洋楽好きのSunHeroは、1995年に公開された押井守監督による劇場版第一作目で、その存在を知った。すぐに連想したのが、英ロックバンド=The Police 1981年発表の4作目“Ghost In The Machine”だ。英哲学者=ギルバート・ライルが、仏哲学者=ルネ・デカルトの「心身二元論」を批判する際に提唱した概念だ。The Policeは直球勝負だったが、士郎正宗は一捻りした。

哲学というと観念的で難しい学問という印象があるが、実は我々の日常の事象を究極的に説明しようという学問で、本来は科学よりもずっと身近な事柄を題材(命題)にしている。そして、哲学の研究成果は、科学のあらゆる分野の発展に役立っている。

意味は分からなくても、「我思う、故に我在り」(羅: Cogito ergo sum、仏:Je pense, donc je suis、英:I think, therefore I am.)と言う言葉を見聞きしたことは無いでしょうか?これ実は、前述のデカルトが『方法序説』で提唱した有名な命題なんだそうです。哲学史を学ぶと、デカルト哲学の第一原理として説明されるものだそうです。

従って、本作は「ガンダム」のような所謂宇宙戦争ものとは全く次元が異なるSF漫画で、大人にだって難解な部分が多い。主人公の草薙素子をはじめ、「攻殻機動隊」と呼ばれる「公安9課」の面々は、自分の脳が直接「電脳ネットワーク」に繋がっている。従って、携帯電話や無線通信機を必要としない。どこに居ても意思疎通が図れるから、全体ミーティングが行われるのは、ネットワーク・サーバー上のバーチャルな会議室だ。

「公安9課」と言うだけあって、広義での警察組織の一部署だが、その使命は犯罪を未然に察知して、攻性的に除去することだ。特に、リーダーの草薙素子は察知能力に優れているらしく、「刑事の勘」みたいなものを「ゴースト」と呼び、部下達を最高のパーツと、賞賛しながらも道具扱いだ。

今作は「新劇場版」ということだったので、米映画の近年の傾向である過去の人気シリーズのリブート作品かと思って観に行ったら、実際には前作「攻殻機動隊ARISE」の続編だった。本作では敵は意外に身近な所に居て、そこは草薙素子も幼少期を過ごした施設だった。という訳で、TV版・劇場版を通じて、これまで触れられることの無かった主人公の出生の秘密が、現職総理暗殺事件を追う中で徐々に明らかになる。

ルーツに触れるという意味では、確かに「新劇場版」なのだが、TVシリーズをチョットかじった程度で、劇場版はTV放送された際にも見ていないSunHeroには、やはり敷居が高かった。ガンダムほどスケールがデカくなっていった訳では無いが、原作漫画で基礎は勉強しておいた方がいいのかもしれない。

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