イニシエーション・ラブ (2015日本)

initiationlove_poster.jpgAKBといえば、大島優子がフロントセンターを務めた「ヘビーローテーション」くらいのもの。そもそも何で前田敦子がずっとフロントセンターだったのか、不思議で仕方なかった。総選挙もだんだん国政選挙のように訳分からなくなってきたし、還暦を過ぎてもシツコク議員を続けているように、22歳になっても卒業しないメンバーばかり。ファンだって、握手したくてCDを買うだけ。一番オイシイ思いをしているのは、印税ガッポガッポの秋元康じゃないか!

何が言いたいのかと言えば、音楽に対する冒涜だ!だが、エジソンが蓄音機を発明した時から、音楽は芸術品から消耗品に変わってしまった。ヒット曲を量産することに熱心な余り、楽曲の質は低下する一方だ。21世紀に入って、日米でカバー曲ブームが起こったのは、良質な新曲を作るのに、ますます時間が掛かるようになったからだろう。古き良き楽曲は、当時を知る熟年層には懐かしく、まだ生まれてなかったような若年層には新鮮だったりする。繋ぎの商材としてウッテツケだ。

アイドル文化では、音楽同様にアイドル自身が消費財だ。グループでトップクラスの人気を誇っていても、卒業してしまうと風船のように萎んでしまう。卒業以降こそアイドル本人の本気度が試される。たまたま、この半年の間に前田敦子の出演映画を2本も見る羽目になったが、所属事務所が提示した条件を逸脱しないように配慮したとしか思えないシーンには、完璧シラケてしまった。

客寄せパンダに過ぎなかった「さよなら歌舞伎町」は、染谷将太を中心に描かれる群像劇だったから、他のキャストのエピソードだけで十分楽しめた。「イニシエーション・ラブ」は、Side-A・Side-Bに渡って出演しておきながら、原作・脚本・演出という全てのお膳立てが揃っていて、後はアイドル・スマイルで台詞を言えばイイだけ。あみんの「待つわ」の主人公のように、「可愛い振りして、あの子、割とやるもんだね」と噂されても良さそうな役柄が、自動的に出来上がるシステムになっていた。

そのお膳立てには不可欠なSide-Aは退屈だった。先にSide-Bを見ていれば、Side-Aの彼は「保険」だったと分かる。Side-Bに入って気付くかどうか?普通は気付くでしょう。もし、Side-Aの彼がダイエットに励んだ結果、Side-Bの彼になったと思い込んでしまったら、それこそ制作サイドの思惑通りだ。その方が、「最後の5分で全てが翻る」結末に対する驚きも増大するからだ。

映画の冒頭も冒頭で、まず最初にネタ晴らし厳禁に協力を求める無味乾燥な文言が映し出される。もうそれだけで興醒めだ。ヒネクレ者のSunHeroは、思いっ切りバラしちゃおうかと思ったが、今頃はもう周知の秘密になっているはず。これでも、ネタバレには配慮したつもりなんですが、ダメですかねぇ?

散々貶してきたが、物語の時代背景である1980年代を忠実に再現しようとした努力には感服した。当時のカー・オーディオといえば、カセットテープ主体のカーステ(レオ)だった。SunHeroは資金不足だったので、後部座席にラジカセを持ち込んでいた。お金を貯めてカーステを買う前に、運転免許を取り上げられ、カーステ貯金も罰金に消えた。

おっと話が脱線した。前田敦子を立てるために、お膳立てしたスタッフの努力は、評価に値する。そもそも、カセットテープのAB面を引っ繰り返すようなストーリーの着想は、実にユニークだ。でも、オチが分かってしまうと、原作までも忘却の彼方に葬られてしまいそうだ。そういう意味では、消費音楽業界の出身者を主役に抜擢したのは、適材適所なのかもしれない。

つまり、この作品自体が、実は「イニシエーション・ムービー」という訳だ。『イニシエーション』の意味は、映画の中で木村文乃が説明してくれる。悔しいので、教えな~い!

この記事へのコメント

  • SunHero

    ふじき78さん、『ダメ出し』ありあとうございました。<(_ _)>
    2015年06月17日 01:14
  • ふじき78

    「さよなら歌舞伎町」はキャスティング・ミスだけど、「イニシエーション・ラブ」はいいキャスティングでしょう。ラストシーンの何を考えているか分からない前田敦子の表情にはかなりやられました。

    ネタが命の映画なので、分かる分からないは別にして、堂々とネタを書いてしまうのはちょっと抵抗があります。
    2015年06月17日 00:50

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