
試写会や舞台挨拶ばかり狙ったのが裏目に出て、昨年観た出演作は「女子ーズ」のみ。これとて初日舞台挨拶はぴあに阻まれ、旬な美女が5人も揃った戦隊モノだからと、已む無く近場の上映館へ観に行った。今年もどうやら「ビリギャル」一本だけになってしまいそうだ。
3ヶ月連続で公開になった廣木隆一監督の作品では、「ストロボ・エッジ」こそ観に行くべきだったのに、榮倉奈々の足舐めCMに翻弄されて「娚の一生」を観に行っちゃったばかりに、三作目を観たいという気持ちが萎えてしまった。どうせ後悔するなら、観に行かなかったことを後悔するより、観て後悔する方がマシというポリシーを曲げてしまった。
有村架純という女優は、本作撮影中に22歳になったばかりなのに、既に色々な役柄をこなして来た。そして、今回もギャル役に初挑戦している。ヘソ出しや胸の谷間を強調したギャル・ファッションも、自然に着こなしていた。SunHeroが塾講師だったら、「個別指導」と称して、たちまち犯罪者になってしまいそうだが、原作者でもある坪田先生は、真面目に彼女の学力向上に取り組んだ。
名門女子校のオチコボレ・クラスで、偏差値30という最下位の成績の工藤さやかが、個別指導を謳った弱小進学塾の講師の巧みな指導で、慶應義塾大学に合格する。そんな嘘みたいなミラクル・サクセス・ストーリーが、実は実話だという。一生の中でココが踏ん張りどころという時に、踏ん張らなかったSunHeroは、もう一度「小4」からやり直せたらと猛省させられた。
さやかの場合は、一念発起して、その気持ちが持続するのに、2つの要素があった。ひとつは奮起するための起爆剤となった担任や父親への反発であり、もうひとつは娘の可能性を信じ続けた母親や、さやかの本気度を目の当たりにして、受験が終わるまで距離を置くことにした遊び仲間の応援だ。そうした背景が無ければ、坪田先生の指導も空回りに終わってしまったことだろう。
そういう意味では、誰にでも出来るという訳では無い。さやかの場合は、たまたま諸条件に恵まれていた。本当は負けず嫌いな性格なだけに、担任や父親に対しては、それがマイナス方向に働いてしまった。逆に坪田先生は、その性格をプラスに転化させることに成功した訳だ。
SunHeroはすっかりストーリーに引き込まれてしまった。第一義的には、脚本・演出がツボを押さえていたからだろう。さやかが金髪ロン毛から地毛のショートに、ギャル・ファッションからジャージに、劇的に変化していく様だけ見ていても、ある程度の本気度は伝わってくるが、思わず涙腺が緩んでしまいそうになったのは、有村架純が全身全霊でさやかになりきった演技力に寄るところが大きい。
さらに、吉田羊演じる母親が、実はさやか以上に踏ん張っていたのが、間接的に描かれていたことで、母娘の二人三脚で掴んだ合格だったことが分かるようになっていた。母親の方まで具体的に描いてしまったら、誰が主役か分からなくなってしまうけど、だからと言って全く触れない訳には行かない。
そんな母娘の絆が象徴的に描かれていたのが、母親が夜間のパートで働いている物流センターに、降りしきる雨の中、傘も差さずにさやかが現れるシーンだろう。普通ならオマエのために夜もこうして働いているんだから、オマエは家へ帰ってちゃんと勉強しなさいなどと言って、追い返しそうなものだが、賢母はかくあるべしという行動を取る。
結構、高校生が見に来ていたが、こういう映画は受験生を抱えた家庭なら、家族全員で見たらいいんじゃないかと思う。映画ではさやかが変わっていくことで、家庭の有り様も変わっていくが、現実的には映画を見て、受験生を抱えてギクシャクしている家族関係が快方に向かってほしいという願いが強くなった。
坪田先生を演じた伊藤淳史、父親役の田中哲司、高校の担任役の安田顕、塾仲間の野村周平、そして、塾長役のあがた森魚についても、感想を述べておきたいところだが、そこまでの余裕が無い。きっとこの映画を見た他の誰かが代弁してくれると思うので、もしこれだけは付け加えておきたいと思うことが出てきたら、加筆したいと思います。悪しからず。
この記事へのコメント
SunHero
管理人権限で勝手にURL放り込んでおきました。b(^_^)d
>「最後まで誰がビリーだったか分からなかったね」
恐縮ですが、確認のため、もう一度見てきて下さいませんか? (^^ゞ
ふじき78
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違うって!