
小田原コロナシネマワールドが、いつの間にか4DXを導入し、インターネット予約に対応していたので、座席はtotta!で取った。メンズデーの月曜日鑑賞だったが、鑑賞料金はナント2,400円だった。料金、間違ってねぇ~か?と思い、予約を最初からやり直したほどだ。メンズデーでなければ、3,100円になってしまう。ディズニーランドのアトラクション並みの仕掛けだけに、鑑賞料金もディズニー級という訳だ。
「アナ雪」が姉妹の絆を描いた作品だったのに対し、こちらはロボットを介した兄弟の絆を描いていた。ついでに、あちらがディズニーらしい作風だったのに対して、こちらはピクサーっぽいタッチだった。ピクサーがウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社になったのは2006年だそうだが、今後もピクサー制作作品の公開が控えているそうだ。本作のように作風が交錯するようなら、アニメ制作会社を一本化してしまえばいいのに。
実際、ディズニーとディズニー/ピクサーという2つのアニメ制作会社は、「トイ・ストーリー」シリーズ(ピクサー)で名を上げたJohn Lasseterがチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めている。Steve Jobs亡き後のピクサーには、社風としての独立採算性指向よりも、ディズニー本体のアニメ制作まで飲み込んでしまえといった意気込みを感じるのは、強ち的外れではないようだ。「アナ雪」に垣間見た毒気がいい例だ。
実はSunHeroはピクサー作品が好みではない。まず、ストーリーのテンポが速い。次に、キャラクターがどことなくグロテスクなのを、丸っこく描くことで誤魔化しているという印象が強い。言葉使いもディズニーより下品だ。笑いを取るためだけに挿入されたとしか思えない絵が、物凄く大雑把だ。ゆえに、クレヨンしんちゃんのように、広く庶民に愛されて、結果的にディズニー本体のアニメよりも稼ぎが良い。
(ファインディング・)ニモ拘らず、「泣きたい時には、泣いてもいいんですよ」というベイマックスの優しい言葉に、モノの見事に泣かされてしまった。



その都市名から誰もが想像しそうな街並みが次々に現れる。例えば、チャイナタウンを描いたらしい街並みは、怪しい漢字の看板だけが、徒に目立つ。これぞ正にピクサーぽさの好例だ!まるで香港の裏通り。観光旅行客は足を踏み入れない方が無難という雰囲気だけは伝わって来るが、ヒロと仲間達は楽しげに闊歩する。
他にも、新宿アルタ前とか。「ゆりかもめ」みたいな乗り物が登場するシーンは、汐留やお台場を連想させるし・・・・もちろん、サンフランシスコらしさも。ところが、有名なケーブルカーには提灯がぶら下がっていたりする。背景というか風景にも、親近感を覚えること間違いなしだ

とりわけ、鉄道が登場するシーンは、明らかに東京の街並みだ。JR中央線の神田-御茶ノ水間(というか、秋葉原の昌平橋付近)に激似な風景が登場した時は、座席から転げ落ちそうになるほどビックリした。一体誰がこの構図を描いたのだろうか?
否、4DXだと、座席が上下・左右・前後および、その組み合わせで忙しなく動くから、ディズニー・アトラクションのようなシートベルトが無いのには驚いた。手荷物や鑑賞中は不要なコート・マフラー類をはじめ、落したら壊れてしまいそうな所持品は、シアター入口に用意された無料のロッカーに預けておくべきだ。ポップコーンは言うに及ばず、ドリンク類も座席のカップホルダーから飛び出してしまう可能性が高い。これじゃあ、コンセッション(飲食物販売)の売上にはマイナスだ。
映画館側の売上という点では、なぜベイマックスのぬいぐるみが、広告宣伝用の非売品しかないのか、不思議に思った。どこの映画館へ行っても、ベイマックスの展示品は人気者だ。親子連れや女の子グループなど、大抵写メを撮っている。
映画を見る前は、超シンプルな格好に、世界一手抜きなキャラクターと馬鹿にしていた。絵が下手なSunHeroでも描けそうな、シンプルすぎて絵描き歌にもなりそうにないキャラクターが、今やとても愛おしく思えてくるんだから、SunHeroは完全に呑まれてしまった。
ちなみに、原作は何とマーベル・コミックス!スパイダーマンやX-メンと言ったお馴染みのキャラクターで、スーパーマンやバットマンのDCコミックスと共に有名ですよね。海外では原作のタイトルをそのままアニメのタイトルに使用していますが、日本ではケア・ロボットの名前をタイトルにしています。だから、外国人にベイマックスと言っても、通じないか、間違いを指摘されるだけでしょう。
アニメでは、主人公ヒロが兄タダシが通っていた大学の仲間と、兄が遺した介護ロボットのベイマックスと共に、巨悪に立ち向かって行く物語になっているが、原作では核兵器廃絶を謳った日本政府が自国防衛のために組織した超能力人間の集団で、チーム名がBig Hero 6だった。当初のリーダーはナントSunfire。それってSunHeroの親戚か?
原作に忠実なら全員が日本人だったはず。幸か不幸か、マーベルのコミックとしては不人気だったが、ディズニーがマーベルを買収後の初アニメとして、無名ながらユニークな作品を求めたため、俄かに脚光を浴びることとなった。日本の街並みやポップカルチャーが盛り込まれているのは、むしろ原作に忠実という訳だ。
原作の中のベイマックスは、ヒロ・タカチホという13歳の少年が作った人造生命体で、元々はヒロのボディガード。普段は人間の格好をしているが、戦闘時にはドラゴンのような姿になるそうだ。アニメもそうだが、日本の戦隊モノに倣って、メンバーが色分けされているのも微笑ましい。
終盤に「インターステラー」と同じような展開が出てくるので、思わずニヤけてしまった。どちらも元ネタは「2010年 宇宙の旅」だ。
こうして、4DX初体験は楽しく終わった。だが、その本当の凄さ(酷さ?)は、続けて同館で観た「ホビット」で思い知ることになるとは、まだ予想だにしていなかった。
この記事へのコメント
ふじき78
ベイマックスのデザインは無茶苦茶シンプルが行き着いた感がありありですが、あれに鎧を着せるとそこそこ普通のガード・ロボットに見えるから不思議だ。