オブリビオン [Oblivion] (2013 USA)

映画oblivion公式サイトへTom Cruise主演作としては、前作「アウトロー」が未紹介のままだが、半年も経たないうちに次作が公開された。監督は「トロン:レガシー」で鮮烈なデビューを飾ったJoseph Kosinski。個人的に嫌い(笑、このオヤジギャグ分かって欲しいなぁ~)な人もいるだろうが、2作目にして遂に「マトリックス」以来の革新的な撮影手腕が遺憾なく発揮された作品「オブリビオン」を作り上げた。

ただし、邦画で言えば「Always~三丁目の夕日」のように、このシーンはこうやって撮影されたと説明されないと分からないほど、「マトリックス」の一作目のような一目瞭然さが無いのは残念だ。最新技術を用いてアナログな手法で撮影したことで、一番恩恵を受けたのは役者達だろう。従来の青or緑の背景の中で、別撮りされたCG等の映像を思い描きながら、シャドウ・ボクシングのような演技をしていたのとは違い、実際に合成される映像の中で演技すればいいのだから、自然とリアリティが増すというものだ。

観客はトレーラー(予告編)等の宣伝で、主役のジャック・ハーパーは特別任務のために5年前以前の記憶を消去されているという設定で、エイリアンの侵略で荒廃した地球の惨状を誤認識させられる。だが、ちょっと論理的に考えれば、「人類はエイリアンとの戦いに勝ったはずなのに地球を脱出し、エイリアンの残党が地球に居座る」とか、「特務のために5年前よりも古い記憶を消す」必要性とか、映画の序盤(やトレーラー)で語られるストーリーは胡散臭いと感じるだろう。

ご覧になっていない方々にはネタバレになりますが、「マトリックス」ではかなり早い段階で「現実」だと思っていた世界がコンピューターによって作り出された「虚構」であることが明らかになるが、本作ではアレコレ伏線を張っておいてから「虚」と「実」が逆転する。この映画には、他にも過去のSF映画へのオマージュが色々と盛り込まれている。

「トロン:レガシー」でサイバーワールド(電脳世界=コンピューターの内部社会)の高度に発達した文明を描いているだけに、ストーリーのコンセプトは多分に「マトリックス」的でありながら、敵は地球外の未知の侵略者に置き換えられている。その他にも、何もかもが洗練されたデザインの未来の住居やメカニックは「2001年:宇宙の旅」を想起させるし、終盤の敵陣へ乗り込んでいく辺りは「インディペンデンス・デイ」的だったりする。

もちろん、「トロン」を連想させるシーンも出てくる。というか、わざわざバイクを登場させなくても、オスプレイが進化したような小型飛行機=バブルシップでそのまま行けばいいのにと苦笑した。オマージュは何もSF映画に限られたことではないらしく、「ミッション:インポッシブル」がオーバーラップして、思わず吹き出しそうになってしまったシーンもある。

SunHeroはケチを付けているつもりはない。だから、敢えて「パクリ」とは言わず、「オマージュ」とした。むしろ、そういう遊び心は見ていて楽しいことが多い。だが、この映画で最も気に入っている点は、続編の制作を匂わせることのない潔い終わり方だ。それにしても、女性という生き物は、例え夫がクローンになってしまっても、愛し合えるものなのだろうか?

≪余談≫
音楽好きなSunHeroとしては、題名の“Oblibion”という言葉だけで興味が沸いた。1960年代からプロのミュージシャンとして活動していて、今年新譜を発表し、8月には来日も予定されているTodd Rundgrenが、1970年代から80年代に掛けて率いていたバンド=UTOPIAの1983年リリースのアルバムと同タイトルだからだ。

折しも、このアルバムは海外で2010年に再発され、日本では翌年ディスクユニオンから輸入盤に独自の解説を付けた国内盤もリリースされた。このアルバムの存在が“忘却”の彼方だったファンも、咄嗟に思い出せたのではないだろうか?

残念ながら、映画の中ではジャックのLPコレクションの中にさりげなく混じっているなんていう気の利いた演出はない。せいぜいProcol Harumの「青い影」(A Whiter Shade Of Pale)が印象的に使われている程度だ。

だが、松任谷由実ファンなら昨年のProcol Harumとの共演を思い出すに違いない。ユーミンのデビュー曲「ひこうき雲」が、多分に「青い影」の影響を受けていることは周知だろう。更に付け加えるなら、「ひこうき雲」は間もなく公開されるジブリ作品「風立ちぬ」の主題歌に起用されている。

そういう意味では、この映画の公開、随分タイミングが良すぎる感じだ。まあ、監督のコジンスキーがユーミンとProcol Harumの因縁を個人的に(笑、しつこい?)知っているとは思えない。所詮はSunHeroの戯言に過ぎない。ドコモポイント

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