第4回日本シアタースタッフ映画祭 in 成城 @成城ホール, May 10,2013

業界人や一般人ではなく、その仲介役の店員(スタッフ)が選ぶという点では、2004年に創設された「本屋大賞」、2009年に第1回の発表があった「CDショップ大賞」の映画版に当たるのが、「日本シアタースタッフ映画祭」だ。「CDショップ大賞」に遅れること一年だが、映画館スタッフによる映画祭がスタートしていた。

過去3回がどういう場所でどういうふうに開催されたのか全く知らないが、今回は映画人ゆかりの地=成城にて開催された。第1回は3日間に渡り沢山の映画を上映し、最終日に授賞式が行われるという、如何にも映画祭らしいスタイルだったようだが、今後は毎年成城で一日限りのイベントとして続けられていくようだ。その拘りが「in 成城」に込められているという訳だ。

元々の発想が映画祭というスタイルだったこともあって、先行する「本屋」、「CDショップ」とは大きく違う点が2つある。一つは話題作品の先行上映だ。これ自体は、映画祭なんだから当たり前だろうという意見もあるだろう。だが、同じことを本やCDでできるはずがない。さらに、授賞式には大物俳優であっても、ほぼ全員が出席する。日本アカデミー賞と被るのは致し方ないとしても、末端の映画ファンである我々が気軽に参加できるイベントに、御足労頂けるのは嬉しいじゃないか!

日本シアタースタッフ映画祭LOGOまあ、これには裏があるというか、日本シアタースタッフ映画祭は「一般社団法人」という組織になっていて、映画祭実行委員会の名誉会長には松本零士氏が就任している。映画祭のマスコット・キャラクターは氏のイラストで、実行委員のユニフォームにもプリントされている。後発な分だけ運営組織はしっかりしていて、複数のスポンサー企業が支援している。映画人にも一目置かれているのは、授賞式のサプライズ・ゲストの面々からも窺える。

SunHeroの視点から見たメリットとしては、第一に全席指定の一日通し券であること。チケット代が2,000円で、少なくともメジャー作品が2本観れること。今回は大賞であるグランシャリオ賞に輝いた「おおかみこどもの雨と雪」「少年H」だった。前者は昨年見てしまった作品だが、後者の一般公開は8月だ。3ヶ月も早く見たことになる。公開前の試写会だって、せいぜい1ヵ月程度の先行上映じゃないだろうか?

第二のメリット・・・・というよりは、映画祭のハイライトである授賞式だ。この時だけは会場が満席になる。成城ホールは、隣接する成城大学の施設なのかと思っていたが、実際には世田谷区の区民会館の一つで、正式名称は「世田谷区立砧区民会館」。建物としては世田谷区役所の砧総合支所の一部だ。ワン・フロアのみで、397名収容という小さな箱だけに、受賞者が肉眼ではっきり認識できる。格式ばったアカデミー賞のような気分が、カジュアルに体験できるという訳だ。「CDショップ大賞」も見習って欲しいものだ。

授賞式を欠席したのは香川照之だけだったが、ビデオレターで受賞の挨拶が紹介された。また、「のぼうの城」で音楽賞を受賞した上野耕路の挨拶には、サプライズ・ゲストとして監督が2人とも登場した。この2人、場内へ缶ビールやら何やら沢山買い込んできたコンビニ袋をぶら下げて入ってきたので、飲食禁止だというのにどういうつもりだ!と思っていたら、上野さんへの差し入れだった。さらには、主演女優賞の樹木希林の挨拶にも、原田眞人監督が駆け付けていた。放っておくと何を言い出すかわからない希林さんに歯止めを掛ける役目もあったのかもしれない。

そんな樹木希林が自分の出た映画の話そっちのけで、「テルマエ・ロマエ」を映画館で見損ねた話をしたもんだから、主演男優賞の阿部寛は既に「2」の撮影に入っているいい気分(温泉)ことを明かし、「希林さんには今度は是非映画館で見て頂きたい」と締め括って、会場の笑いを誘った。助演女優賞の橋本愛は、赤と黒を基調としたパーティー・ドレスでバッチリ決めて来たが、「あまちゃん」の撮影の合間を縫って来たらしく、挨拶の方は何となく支離滅裂気味だった。とはいえ、「なまちゃん」わーい(嬉しい顔)を見れただけでも、SunHero的には大収穫だった。

授賞式以外の目玉といえば、やはり「少年H」の超先行上映だろう。水谷豊・伊藤蘭の夫婦共演も話題だが、子供の視点から太平洋戦争を捉え、戦前と戦後でガラリと主義主張を変えてしまった大人たちへの憤りや、それでも新しい価値観の中で生き抜いて行かなくてはならないと子供なりに悟っていく様は、原作通りにきちんと描かれていると思う。上映後、降籏監督の舞台挨拶もあって、いい話が聞けたが、やはり一人では華やかさに欠ける。夫婦共演の感想とかは、初日舞台挨拶までお預けということか?ドコモポイント

対照的に、大賞に輝いた「おおかみこどもの雨と雪」は、授賞式後の上映だったせいもあってか、空席が目立った。まあ、この映画祭は第1回でも細田守監督の「サマーウォーズ」を大賞に選出している。松本零士が名誉会長だから、という穿った見方をされても致し方ないだろう。そうでなくても、昨年SunHeroですら観た映画だから、授賞式までと割り切った客が居ても当然だと思う。

映画祭ならではの座談会(トークイベント)も、シネコンの増加とミニシアターの相次ぐ閉館を手始めに、観客にどんな映画館があったら行ってみたいかなんて、即興で質問を投げかけてみたりして、一般映画ファンを巻き込んだ有意義なものだった。だが、「少年H」後の昼(?)休憩が30分しかなくて、駅の反対側のauショップにスマホの充電を依頼したり、食事レストランやコーヒー喫茶店の時間もとなると、短すぎた。

そもそも、ホール内飲食禁止なんて会場が、映画祭に本当に相応しいと言えるのか、甚だ疑問だ。入場時だけでなく、大賞作品上映後にも、ポップコーンを無料無料配布していたが、何ともチグハグな印象だった。それに、シネコンの音響にすっかり慣れてしまったせいか、ホールの音響は迫力に欠けていた。おまけに、通路を歩く人の足音がやけに大きく響くのも、映画向きではない。見た目は小奇麗なホールだが、通路は板張りの上に吸音効果のない絨毯を敷いただけのようで、ハリボテ感は否めない。ふらふら

事前に各賞が発表されるので、来年も行くかどうかは、それ次第・・・・かな?

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