Bruce Springsteen - Magic (October 2007)

boss_magic.jpgマジック/ブルース・スプリングスティーン
SICP-1570 ¥2,520(税込)

好きなアーティストだからこそ、敢えて苦言を呈したい。Bruce Springsteenといえば、どうしてもこういうサウンドを期待してしまうが、「今、すべてを超えて「再び」感動のロックンロールを。」だとか、「『ロックの未来』への架け橋となる名盤の誕生!」だとか、今作に関するレコード会社の宣伝文句は煽りすぎな気がしてならない。鵜呑みにして聞いてみたら、冒頭の“Radio Nowhere”こそ期待通りのインパクトはあったものの、全体としては肩透かしを食らった感じだった。

「再び」とは、モチロン1984年のモンスター・ヒット・アルバム“Born In The U.S.A.”のことを指す。待望の新作は、一言で言えば、その焼き直しに過ぎない。それどころか、58歳になったボスの歌声には芯がない。一聴したところでは声量は衰えていない感じだが、聞き込むうちに声の輪郭ばかりが強調されていて、その焦点が見えて来ないことに気が付いた。まるで別室で歌っている声を360度スピーカーで囲まれた部屋でモニターしているかのように、CDの向こうにボスの姿が浮かび上がって来ないのだ。だが、件のモンスター・ヒットから既に20年以上の歳月が流れているのだから、当然の流れと受け止めるべきだろう。むしろ驚いたのは、ボーカルの衰えを覆い隠すほどパワフルな演奏の方だ。ボスと同じだけ年を取ったはずなのに、バンドの繰り出すサウンドには遜色がない。時空を超えてあの頃に戻ったような錯覚に陥りそうなほどだ。本作で3作目となるプロデューサー=Brendan O'Brienの手腕によるものだ。

恐らくレコード会社の誇大広告に惑わされずに聞いていたら、全然違う第一印象だったと思う。よく聴けば、“Your Own Worst Enemy”とか、“Girls In Their Summer Clothes”とか、かつてこれほどまでに1960年代のサウンドを想起させる曲はなかったように思う。前者はバブルガム・サウンドっぽいし、後者はフォーク調のポップスをやっていた頃のビー・ジーズみたいな序盤から次第にスペクター・サウンドのような重厚さを帯びていく。いつになくマイルドな歌い方は加山雄三みたいだ。好き嫌いの次元とは別に面白いと思った。

来年はボスも還暦だ。ロックンローラーとして成功し、ロックンローラーであり続けることを期待され、期待に応え続けてきた。若干の衰えを感じてしまった本作も、だんだん色んな事が見えてきたら好きになってきた。ああ、これこそが“Magic”なんだと思った。

★Best Track=“Long Walk Home”
突っ走るために生まれてきたはずの男も、長い道のりを歩いて帰るようになったのか!(笑)

この記事へのコメント

  • SunHero

    いやあ、こんなところでBirthday Messageを頂戴するとは!
    どうもありがとうございます。(^_^)
    ひょっとして「光」開通ですか?

    端から「嘘っぱち」と見抜いていた魔二郎さん、流石ですね。AVEXには懐疑的な私も、SONY君には甘いのかな?

    またコメント下さい。<(_ _)>
    2008年02月24日 13:02
  • 魔仁郎

    ご無沙汰をしています。
    自分も買いましたが、レコード会社の宣伝文句は「嘘っぱち」、と決めつけていたので先入観もなく聴けました。
    SunHeroさんのコメントのようでしたが、過度な期待もない分、僕は今作の出来を素直に喜んでしまいましたよ。
    こんな音が出せるなら、もう少し付き合っていけるかも・・・かれこれ30年超か・・・。

    あ、こんなところでなんですが、お誕生日おめでとうございます!!
    2008年02月24日 11:10

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