Bee Gees - Greatest (September 2007)

an Amazon.co.jp associate本作は元々1979年の暮れにLP2枚組でリリースされ、見事全米1位に輝いた由緒正しい(?)ベスト盤です。当時既に20年近いキャリアを誇っていたBee Geesの1975~79年の、正に全盛期に的を絞った内容になっていて、単にディスコ・ヒットを連発するだけのグループではなかったことが十分に窺えます。

邦題は「グレイテスト・ヒッツ」となっていますが、原題には「ヒッツ」がありません。説明するまでも無く、単なるヒット曲の寄せ集めではなかったからです。結果的にディスコ・ブームの頂点に登り詰めた訳ですが、そんな時期にあっても多彩な音楽性を発揮していたことを後世に残すモニュメント的ベスト盤でした。従って、本作には若くしてこの世を去った末弟のAndy Gibbに提供した曲や、Yvonne Ellimanの歌唱でヒットした曲など、彼等自身によるヒットではない曲も収録されています。逆にシングル・ヒットしたにも拘らず、“Boogie Child”が収録されていません。だからこそ原題はありきたりなGreatest Hitsではなく、シンプルにGreatestと銘打ったのだと思います。

彼等はその後当然の反動として人気が低迷してしまいますが、長兄のBarry Gibbはプロデューサーとしての手腕を発揮して、Barbra Streisandに全米No.1ヒット・アルバムをもたらし、Dionne WarwickやKenny Rogersにもヒット曲を提供しました。実はそれらの曲は6年前に出たもうひとつの「グレイテスト・ヒッツ」に収録されています。

an Amazon.co.jp associateあっちの「グレイテスト・ヒッツ」は、メジャー・デビュー35周年を記念して企画された全キャリアを総括する内容になっていて、本作の主要曲は全て含まれています。あれが出た時、全盛期のBee Geesを包括的に捉えた本作のCD化はあり得ないと諦めてしまいました。それが発売30周年記念にはまだ2年早い今年、再び陽の目を見ることになりました。実はつい先日Bee Geesが音楽面からヒットに貢献した映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の30周年記念デジタル・リマスター版が出たばかりでした。便乗商法とはいえ、本作の中核を成すのは、紛れも無くあの映画の曲です。

LP2枚組で確か4,000円だったと記憶しています。洋楽でも2枚組となると結構な値段でしたから、レンタルで済ませてしまいました。あの時の無念さがCD化⇒即購入に走らせたのかもしれません。しかもCD化されたら、8曲もの追加収録があって3,200円ですからね。ただ内6曲のRemixは、あの頃の思い出に水を差すようなイマドキのテクノ・サウンドだったので、早晩PC上から消えてもらうことになるでしょう(笑)。

LPでは各面に5曲ずつ配した全20曲で、各面ごとにテーマがあって、それに則った選曲になっていました。CD化に際しても曲順は尊重されましたが、結果的にDisc 1には1975~79年に放った8曲の全米No.1ヒットのうち7曲が収録され、しかも冒頭から6連発でNo.1ヒットが並ぶという極端な偏り具合が一層浮き彫りになってしまいました。本作をCDで初めて手にした方々には、配曲のバランスの悪いベスト盤にしか思えないことでしょう。

どうせ何曲か追加収録するなら、LP時代には選外となったあの時代のシングル曲=“Boogie Child”と“Edge Of The Universe”(ライブ・バージョン)とか、Olivia Newton-Johnがカバーした“Come On Over”とか、入れるべき曲はまだあったはずです。今回初めて“Stayin' Alive”の12インチ・バージョンを聞いて、他のディスコ・ヒットにも12インチ・バージョンはなかったのかという疑問も浮かびました。

Reconstracted / Todd Rundgren6曲のリミックスもオリジナルの良さを尊重した点で鑑賞に堪えるものではありますが、せっかく懐かしさにドップリ浸っていたところ、一気に現代へ連れ戻されるような感覚に襲われるのは非常に不愉快です。ああいうのはテクノ・ファン向けに別途CDを出してほしかったですね。例えば、ジャケットのカッコ良さに釣られて思わず買ってしまったTodd Rundgrenのリミックス集“Reconstracted”のような感じで。

まあ、どんなベスト盤にも一長一短がある訳で、最大公約数的に満足できるものがあれば買うことになるのでしょう。本作には当時の小遣いでは買えなかったという悔しい思い出があり、28年目にしてついに念願が叶ったという喜びがあります。


<余談~10/14付記>

それにしても、本作はどうしてワーナー・ミュージックから出たんでしょうか?Bee Geesはデビュー以来Eric Claptonと同じRSOに所属していました。RSOは「サタデイ・ナイト・フィーバー」をはじめ映画制作にも積極的で、「トミー」や「グリース」といった大ヒット映画を生み出しましたが、創業者のRobert Stigwoodは1983年に長年世界規模で配給を委託してきたPolydorにレーベルを売却して、店仕舞いしてしまいました。

Polydor(独)はPhonogram(蘭)と合併しヨーロッパ最大のレコード会社PolyGramとなり、後に元々はカナダの酒造メーカーだったシーグラムの下でMCA(米)と合併し、世界最大の音楽娯楽企業体=ユニバーサル・ミュージック・グループとなりました。「もうひとつのグレイテスト・ヒッツ」がユニバーサル・ミュージックからリリースされたのは当然の成り行きでした。RSO解散後Bee Geesはレーベル・メイトのEric Claptonと共にWarner Brothers Recordsへ移籍しましたが、本作はRSO時代のリリースゆえワーナーには発売権はおろか音源すらなかったはずです。

実はアメリカではRhinoから出ていました。Rhinoは1980年代後半から独自のリマスター技術で様々なレーベルに眠っていた名盤を発掘し、CD化に尽力した独立系レコード会社でした。Todd RundgrenがBearsville Recordsに残した全アルバムをCD化して、一躍有名になりました。当初は米Capitol Recordsが配給を担っていましたが、1992年にタイム・ワーナー社が株式の過半数を取得して、ワーナー・ミュージック・グループの一員となりました。今回の復刻はRhinoが久々に手掛けた大物アーティストの未CD化旧譜だったのです。


<余談ついでの余談~10/14付記>

世界最大の情報メディア企業のタイム・ワーナーは、2000年にAOLに買収されましたが、AOLの急激な経営悪化から2004年にワーナー・ミュージック・グループを投資家グループに売却しました。その投資家グループの一人がカナダ・シーグラム社の御曹司で、世界最大のレコード会社=ユニバーサル・ミュージック誕生の仕掛人だったエドガー・ブロンフマン・ジュニアです。

エドガー・ブロンフマン・ジュニアは家業(酒造業)には興味が無く、若い頃には音楽や映画などの娯楽産業に身を置いていたそうです。1989年に家業を継いだ後、1995年に松下産業から米MCAを買収し、1998年にオランダ・フィリップス社からPolyGramを買収し、世界最大のレコード会社グループを築きましたが、それが元で経営が悪化したシーグラム社を2000年に分割・売却した張本人です。

ユニバーサル・ミュージックがVivendi(仏)に吸収合併された際、合併新会社=Vivendi Universal(仏)の副会長に納まりましたが、今度はVivendi Universalが経営難に陥りました。2002年に音楽以外の娯楽部門を米三大ネットワークの1つでGE傘下のNBCと合併させた際に退任し、個人投資家に転身しました。2004年にタイム・ワーナーがワーナー・ミュージックの売却を発表した際、投資仲間を募ってワーナー・ミュージックを買収し、同グループの会長に就いて音楽業界への復帰を果たしました。

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