
一週間(正確には8日間)で3つのイベントという、ジジイには過酷な日程でしたが、気候にも救われて完遂できました。気温的には秋とは呼べない状況でしたが、ユーミンも山下達郎も落選してしまったので、個人的な「芸術の秋」は終わりました。早く真夏日からも解放されたい!
3連荘の有終の美を飾った(大袈裟か?)のは、BONNIE PINK(以下、BP)のデビュー30周年記念で開催された一夜限りのコンサートでした。いわゆる2000人クラスのホールでしたが、当日券も販売されていました。前売券より千円高かったです。
いつもより長丁場になるようなことを言っていましたが、実際には2時間余りということで、チョット長めだったのかな?後述のセットリストにあるように、芸達者なミュージシャンを揃えて、思い掛けないカバー曲を披露してくれました。改めて歌手としての凄さを実感しました。
そりゃあ~30周年ですから、自らをオバサンと呼んでいましたが、衣装替えの後、ステージに戻ってきたら、昔懐かしい赤毛で登場!前半は猫(カツラ)を被っていたという訳か。
たった一回のアニバーサリー・イベントのために、思い切って前日に染めたそうです。気合いの入れ方が、如何にも BP らしくて、嬉しくなっちゃった。😃
そして、30年経って明らかになったデビュー秘話。歌って踊れるアイドルに憧れて、そういうスタイルでデビューすることを申し出たんだそうです。でも、事務所の社長にけんもほろろに却下されたんだとか。
当人も自覚していたようですが、そういう路線でデビューしていたら、30年も続かなかったでしょう。そのせいか、無理のない範囲内で、いつになく沢山、歌いながら身体を動かしていました。
言葉の使い方が間違っていたら、ご指導ください。鉄板のメンバーで鉄壁の演奏、コアなファンばかりと思われる観客のノリの良さが相俟って、序盤は様子窺い風に見えた BP も、中盤からアンコールまで、実は一番ハシャいでいたかも?
では、鉄板メンバーをご紹介しましょう。
鈴木正人:Bass, Additional Keyboards, Musical Director(Little Creatures)
奥野真哉:Keyboards(Soul Flower Union, ex-Newest Model)
八橋義幸:Guitars(The Uranus, etc.)
白根賢一:Drums(GREAT3, ex-Rotten Hats)
真城めぐみ:Chorus, Shaker, Tambourine(Hicksville, ex-Rotten Hats)
BONNIE PINK:Vocals, Acoustic Guitars, Keyboards
真城さんは、今回が初参加ではありませんか?畠山美由紀、オリジナル・ラブなどで、圧倒的な存在(失礼?)を誇っていたけど、皆さん、真城さんが一緒だと安心なんだとか。
BP の場合は、CDでボーカルをオーバーダビングしているから、ライブではどうしてもハーモニーが再現できない。だから、バックに女性コーラスが居るというのは、本人が一番心強く感じるのでしょう。
奥野さんは、初期のライブでバンマスのような活躍を見せていた人。BP 以外にも、土岐麻子とか土岐麻子とか・・・・まあ~、その~、引っ張りダコのセッション・キーボーディストだから、BP と言えども、なかなかブッキングできないのかもネ。
八橋さんは、二十年(?)来の仲だから、よく無理矢理MCに引き込んで、漫才のような掛け合いを披露してくれます。音楽仲間として良い関係が築けているようです。
何よりも多彩な BP のサウンドを、ライブでさりげなく再現してしまうところが凄い。今回は、"Black or White" のイントロを弾き始めた時に、一体何が起きたのか?と困惑するほど興奮しました。
鈴木さんは、奥野さんや八橋さんよりは、BP との関わりは短いのですが、今やプロデューサー・アレンジャーとして BP のレコーディングに欠かせない人です。春に実施された "Tiny Kitchen Tour" では、ドラムレスな編成で、ベースのみならず、キーボードまでこなしたそうです。
白根さんは、寡黙にドラムを叩く印象がありますが、BP がマイクを向けると、結構面白い受け答えをしてくれます。さりげなく衣装まで BP と合せていたのには、思わず爆笑しました。
正確なリズムとダイナミックなスティック捌きがカッコイイ。やっぱ、ドラマーが居ると、演奏が引き締まります。
こうした面々が揃っていると言うだけで、ライブへの期待が高まってしまいます。実際、期待を裏切らない演奏・セットリストでした。・・・・というわけで、セットリストです。
BONNIE PINK 30th Anniversary Live
“Grand Kitchen” Setlist
“Grand Kitchen” Setlist
- Rock You Till the Dawn from 10th ”ONE” 2009
- 鐘を鳴らして from 10th ”ONE” 2009
- So Wonderful from 8th ”Golden Tears” 2005
- 冷たい雨 from 12th "Chasing Hope" 2012
- Tonight, the Night from 6th ”Present” 2003
- Infinity from 13th ”Infinity” 2023
- カイト from 11th "Dear Diary" 2010
- Black or White Cover of Michael Jackson from "Dangerous" 1991
- Too Young To Stop Loving from 1st "Blue Jam" 1995
- スキKILLER from 11th "Dear Diary" 2010
- Love Is Bubble from ”Every Single Day - Complete BONNIE PINK (1995-2006)” 2006
- Evil and flowers from 3rd ”evil and flowers” 1998
※ 奥野氏の手前に置かれたキーボードに向かい、弾き語りで歌い出す - ~Mad Afternoon from 2nd ”Heaven's Kitchen” 1997
- ~It's gonna rain! from 2nd ”Heaven's Kitchen” 1997
※ バンドの演奏が加わると、ワンコーラスで衣装替えのため退場
そのままバンド演奏によるインスト・メドレーが2曲続く
- ~Forget Me Not from 3rd ”evil and flowers” 1998
- ~Do You Crash? from 2nd ”Heaven's Kitchen” 1997
※ BP 衣装替えを終えて、次曲のイントロ中にステージに再登場
- ~金魚 from 3rd ”evil and flowers” 1998
- ~犬と月 from ”Bonnie's Kitchen #1” 1999
- 流れ星 from 11th "Dear Diary" 2010
- Morning Glory from 11th "Dear Diary" 2010
- Like Gravity 新曲
- Change from 12th "Chasing Hope" 2012
- A Perfect Sky from ”Every Single Day - Complete BONNIE PINK (1995-2006)” 2006
- Heaven's Kitchen from 2nd ”Heaven's Kitchen” 1997
🎵 encore 🎵 - Last Kiss from 7th ”Even So” 2004
- Private Laughter from 7th ”Even So” 2004
何しろ、大好きな曲が全部含まれていたから、SunHeroはご満悦でした。その3曲とは、"Tonight, the Night"、"So Wonderful"、"Private Laughter" です。音楽制作が混迷の時期に生み出された、この3曲が無かったら、11周年を「完璧な空」の下で飾れなかったと思います。
30年というキャリアの中から選ばれた26曲ですが、衣装替え中の繋ぎになってしまった曲は、歌唱付きで聞きたかったファンも多かったはず。本当に勿体ないことをした。
デビュー・アルバムから予想外の曲を選んでいて、まんまと裏を掻かれた気分だが、どうせならデビュー曲の "オレンジ" もやって欲しかった。とにかく、あのアルバムは今聞くと、よく言えば原石の響き、悪く言えば散漫な印象がありました。
その真逆を行くような傑作 “Let Go” は、BP が Tore Johansson の手を借りなくてもやっていけることを証明していました。今回一曲も選ばなかったのは、昨年アルバム再現ライブを敢行したのが、一番の理由なんでしょう。次はどのアルバムかな?
それでも、やっぱり5年振りに Tore と組んだ "Tonight, the Night"(2003)は、彼の弟子達=Burning Chicken(THE MOPEDSのメンバーが BP のアレンジを手掛けた際の別名義)へと引き継がれる過程で、ある意味で軌道修正しちゃった転機の曲でしたね。
せっかく Johansson と組んで、“Heaven's Kitchen” で人気を博したのに、続く “evil and flowers” では高評価と高セールスとは裏腹に、当の BP は深刻なスランプに陥っていたそうだ。そのため、Pony Canyon と契約更新はせず、単身渡米してしまった。
困ったレコード会社は、“Bonnie's Kitchen #1” と “Bonnie's Kitchen #2” という2枚のベスト盤をリリースした。3枚のオリジナル・アルバムに収録されなかった曲を多く収録していたが、新作を期待していたSunHeroは目もくれなかった。
詳しい経緯は知らないが、ワーナー・ミュージックへ移籍し、当時引く手数多だった Mitchell Froom をプロデューサーに迎えて、“Let Go”(2000)を発表した。ブランクが災いして、セールスは芳しくなかったが、熱心なファンには好意的に受け入れられた。
もう一作、Froom と組みたかったかどうかは知らないが、恐らく超多忙な時期だっただけに、都合が付かなかったと思われる。余り間隔を空けたくなかったレコード会社が急かしたのか、BP はデビュー・アルバム以来、久々に日本のミュージック・クリエイターと組んで、初セルフ・プロデュースに挑んだ。
こうしてリリースされた “Just a Girl”(2001)は、SunHero的にはイマイチだった。日本には BP の音楽を具現化できる人材がいなかった?それは、当人も同じだったのか、続く “Present”(2003)では Matt Cooper を共同プロデューサーに迎えた。
ところが、先行シングルは、まさかの Johansson プロデュースの "Tonight, the Night" だった。この曲を冒頭に据えたアルバムは、CCCDで発売されたこともあって、敬遠された。
2年後に通常のCDで再発されてから初めて聞いたが、冒頭の1曲が2曲目以降の楽曲群を凌駕してしまった。実際、2曲目以降の楽曲が、ライブで演奏されることは滅多にない。“Present” = "Tonight, the Night" になってしまったという悲劇のアルバムだ。
そうした混迷の時期を抜け出すきっかけは、結局 Johansson との完璧な再コラボだった。“Even So”(2004)で最強コンビ復活となった。続くデビュー10周年アルバム “Golden Tears”(2005)では、Johansson も4曲コラボしているが、彼の門下生= Burning Chicken が初めて手掛けた曲が6曲も占めていた。
Burning Chicken との相性の良さは、翌年大ヒットした "A Perfect Sky"(2006)で、早くも結実した。このシングルのカプリング曲だった "Free" で、共同編曲者として初コラボしたのが、鈴木正人だった。ようやく日本人サウンド・クリエーターとして、最適な相手に出会った訳だが、成果はすぐには出なかった。
彼が BP のアルバムで最も手腕を振るったのが、セルフ・リメイク・アルバム “Back Room -BONNIE PINK Remakes-”(2011)だった。この頃のライブが、選曲は別にして、今までで一番充実した演奏だった。
ただし、今回は真城さんが加わったことで、更に充実したライブだったと思う。あのメドレー部分を除けば・・・・の話だけどネ。(^_-)-☆
グッズは何も買わなかったが、販売スペースの片隅でファンクラブの会員証を提示すると、細やかな記念品がもらえるのを思い出した。一旦会場を出てしまったが、慌てて場内へ戻り、スマホで会員サイトへログインした。


会員証を表示するバナーをタップしたら、すぐに引換票が現れた。それを退屈そうに座っていたファンクラブのスタッフに提示したら、スマホを操作してイイですか?と問われた。スクショを撮る間もなく、「確認済」になった。
まあ、タダだから、何をもらっても、文句は言うまい。それより、外に出たら、小雨が降り出していた。
STINGもGilmourも夜は雨という予報だったが、降られずに済んだ。残念ながら、有難くない「三度目の正直」なのか?ついに、降られてしまった。渋谷公園通りを足早に下りながら、これ以上強い降りになるな!と願ったが、ムダだった。
渋谷センター街あたりで雨宿りに飛び込んだのは、マイアミガーデンとかいうイタメシ屋。ピザとパスタがメインだったので、トラットリア って感じ?注文してから、周辺のお食事処を検索したら、くら寿司があった。「100円祭り」やってたんだよなぁ~。
食べ終わって店を出る頃には、雨は夜更け過ぎに雪へと変わることは・・・・なかったが、已む無く傘を差して駅へ向かった。とうとう三回続けて、新宿駅構内の成城石井で買い物をして帰った。新宿駅って、SunHeroにとっては、人生のクロスロードなのかも?
参考サイト=YAHOO! JAPAN ニュース:30周年記念ライブ『BONNIE PINK 30th Anniversary LIVE “Grand Kitchen”』を開催

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この記事へのコメント
SunHero
>「芸術の秋が終わった」の意味がようやく分かりました(笑)。
他にも分かりにくいと思われる箇所の表現を変更しました。雨に降られたのは、BPの時だけです。「三度目の正直」はそういう意味です。
>でも3連荘の有終の美を飾るに相応しいライブ(中略)BP愛が伝わる渾身のライブレポート
ヨイショしすぎですよ、Dogwoodさん!
>このブログ記事を(中略)BONNIE PINKさんご本人や関係者(ファン含む)が見たら絶対に嬉しいかと。
そんなことは、まず無いと思います。実際どういう事情だったのか、本人が語っていないので、ファンの側からの推察に過ぎません。丁度30周年だったので、思いの丈を述べてみました。本来、ライブ鑑賞の感想文としては、余計なことですから。
>3回連続の雨も成城石井も許しましょう!
何でDogwoodさんに許しを乞うの?_(._.)_
Dogwood