どっちかって言うと、7月に開催された Roger Waters のプラハ・ライブ上映の方が観たかった。上映館も上映期間も、Gilmour の上映会より多くて長かったのに、気付くのが遅すぎて見損ねた。上映館のサイトに望みを賭けたが、舞台挨拶付き上映のように、チケットぴあしか取り扱っていなかったようだった。ところが、SunHeroが訪れたグランドシネマサンシャイン池袋では、劇場販売(コンサートなら当日券?)があったらしい。だったら、システム利用料や発券手数料、時には特別販売手数料(先行販売手数料)とか、一切払わなくて済んだことになる。実際、IMAXシアターに入場してみれば、4割程度は空席だった。
10月にBlu-rayやDVDで発売されるため、収録曲目は事前に明らかになっている。"Money" や "Another Brick in the Wall" はやらないし、Waters色の強い楽曲が意図的に外されている印象だ。その上、Gilmour のソロ曲が半分となると、Pink Floyd の楽曲を期待する洋楽ファンは躊躇しちゃうんだろう。
そもそも、このライブ・ビデオは、Gilmour の新作 “Luck and Strange” のプロモーション・ツアーを収めたものだ。最終のロンドン公演では、同アルバムから全曲やったと、伊藤政則が多少自慢げに語った。本人は優越感が滲み出ないよう抑えているつもりなのだろうが、やや甲高いトーンで微かにほくそ笑みながら話すのが、SunHeroの嫉妬心を煽る。
ただ、氏の解説には、本人の好き嫌いが感じられず、決して上から目線の評論ではない。ロック・ファンに、こんな連中いますけど、どうですか?と紹介する姿勢には、大いに好感が持てる。実は、SunHeroは知らずに抽選販売に申し込んだのだが、グランシネマサンシャイン池袋の上映では、氏のトーク・ショーが上映時間に含まれていた。そして、当選後には、急遽監督の Gavin Elder も登壇することが発表になった。
ハード・ロック/ヘヴィー・メタルの伝道師のような伊藤政則は、1971年に初来日した Pink Floyd を観てショックを受け、音楽解説家になったんだとか。実は筋金入りのフロイド・ファンだった。監督が氏の洞察の鋭さに感心する場面があって、本質を見る目は確かなようだ。
トーク・ショーのおかげで、このビデオ作品は、3日間開催されたローマ公演を、雨に祟られた3日目も含め、全部収録したそうだ。衣装が3日間とも同じだったのか、編集が巧みだったのか、映像に雨が映り込んでいるシーンとそうでないシーンが、違和感なく混在する。
25台(?)のカメラで撮影した3日分の映像、監督は全部見た上で編集し、本作品にまとめ上げたのだろうか?街自体が遺跡であるローマと、Gilmour の変わった会場で演奏したいという要望が、日本だったら近隣からクレームがジャンジャン来そうな、街中の会場での開催を実現させたのだろう。
何しろ、金網フェンスの外側は、人や車が行き交う普通の街路だ。ドローンで空撮した映像には、アパートのような住宅も映り込んでいる。日本でコンサートが実現しなかった事情が、分かったような気がした。
本作の見所のひとつは、愛娘の Romany さんとの共演だ。David さんの年齢(来年は傘寿)を考えると、30代くらいかと思ったら、まだ23歳なんだとか!ちらっと見せてくれるリハの映像の中で、お茶目な一面を覗かせている。しかも、父親のツアーに参加するのは、これが初めてだというのに、全く物怖じしていない。
時折、娘の方に目をやると、愛おしさに溢れた笑みを浮かべる David さん、娘と目が合えば、互いに笑みを交わす。何とも微笑ましい光景に、聞き慣れないソロ曲にも和んでしまう。

左から、SONY Musicの人、伊藤政則、Gavin Elder、通訳者
後、伊藤政則がネタばらししてしまったが、Romany さんを含む4人の女性コーラスは、各人がハープを弾いたり、ピアノを弾いたり、ギターやアコーディオンを弾いたり・・・・と、皆、芸達者だった。
バンドの中で上手(ステージに向かって右)端でキーボード群に囲まれて、余裕をかましていた御仁は、ソロ歌唱パートまであって・・・・歌えるキーボーディストって、ひょっとして?と思ったら、やっぱり、Greg Philliganes さんだった。確か、いつかの Clapton の来日公演で観たよな?
でも、この映像作品、特別仕様の国内盤は、定価11,000円もする。先に発売された Waters のプラハ・ライブは、同じような仕様なのに、7,700円と随分リーズナブルだ。Sony Music の Pink Floyd とメンバーの担当ディレクターが、トーク・ショーに同席していたので、3,300円の価格差について問い詰めてやりたかった。
ところで (Part 1)、グランドシネマサンシャイン池袋って、TOHOシネマズ池袋や東京建物ブリリアホールと結構近いのを、この日初めて知った。池袋は、もっぱら西口に縁があるので、間違ってアニメイトに入ってしまうほど、東口はよく知りません。昔からあの場所だったんですよね?
ところで (Part 2)、ライブが開かれた会場、イタメシ語ではチルコ・マキシモだけど、英語読みだとサーカス・マキシマス。つまり、イタリア語表記じゃない。そもそも、古代の戦車競技場跡地と会場名、どういう関連があるのでしょうか?(情報はコメントまでお寄せください)

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この記事へのコメント
SunHero
Dogwoodさん、連続投稿、ありがとうございます
ひょっとして、ヒマなんですかぁ~?(^_^)
>David Gilmourの一夜限定IMAX上映!って、マニアックですね(個人の感想です)。
あそこのIMAXは巨大スクリーンとの相乗効果で凄い!と聞いていました。実際、凄かったんですが、もうちょっと中央寄りの席で観たかったぁ~
>しかも伊藤政則氏のトークショー?彼の評論家の原点はPink Floydだったとは驚き桃の木!RUSHのアルバムの評論もしてたっけ。ってことは、彼はプログレ好きなんでしょうかね。
プログレ評論家は沢山いますからね。好きと仕事をちゃんと区別しているんじゃないですか?
>来年2月14日に向けて頑張りますので、お楽しみに!!
はい!楽しみです。詳細が分かりましたら、まずはご自身のブログで!
Dogwood