
Roy Thomas Baker(左下)と Queen
Queen のアルバムをファーストから連続4作と「JAZZ」をプロデュースし、アメリかへ渡ってからは The Cars を連続4作プロデュースした Roy Thomas Baker が、4月12日アリゾナの自宅で亡くなった。78歳だった。死因は明らかにされていない。
ECの公演から帰宅してから知った。

Bakerは、英Trident Studiosにかなり早い時期からエンジニアとして勤めていて、Queen以前にはFreeの “Fire And Water” にもプロデューサー(事実上はエンジニアだった?)として、制作に関わっていたそうだ。The Who のPete Townsend をして「凄い曲だ」と言わしめた "All Right Now" が収録されているにもかかわらず、地味なジャケット同様に、アルバムの本質的なサウンドには、まだBakerらしさは片鱗もない。

クイーンの成功に目を付けたCBS Recordsのオファーでアメリカへ渡って、自身のプロダクション・オフィスを構えた。数多のオファーを一旦オフィス預かりとすることで、個々のプロデュースにおいて質が落ちることが無いよう体制を築いたのは、先見の明があったと思う。ただ、数々のヒット作をプロデュースした一方で、Pilot や Foreigner といった、結果的に相性が悪かったアーティストも手掛けている。

さて、そのオフィス体制が功を奏した初期の例が、Journey だった。大ブレイクの礎を築いたのは、Gregg Rollieの脱退とSteve Perry・Jonathan Cainの加入というメンバー交代だけでなく、Bakerによって構築された(渋谷陽一氏が名付けた)産業ロックというスタイルの貢献も大きい。その後を継いだ Mike Stone は、Bakerの下で Queen 等のアルバムのエンジニアリングを務めていた人だ。

やがて、Electra Recordsともプロデュース契約を結び、ElectraからA&R部門のSenior Vice Presidentという役職をオファーされた。1960年代後半から1970年代前半までに、数々のアーティストの名盤や代表作が制作されたTrident Studiosを離れたBakerは、再びQueenをプロデュースしたり、Carsの連続プロデュースの機会を得た。
Yes の2014年発表作 “Heaven & Earth” が遺作となった。YES名義の全てのアルバムに名を連ねていたベーシスト=Chris Squire にとっても遺作となっただけに、運命的な符号の一致が改めて感慨深い。ご冥福をお祈りいたします。
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