気が付けば8年振りで、土岐麻子さんのライブを観に行きました。一口に8年と言っても、あまり「お久し振り」感が無いのは、2022年の原田知世さんの40周年や昨年の GOTOWN FREAK で、ナマ拝見していたからかも知れません。でも、この間に原田知世さんと安藤裕子さんのライブには、各々4回も出掛けました。
なぜ土岐さんだけ、8年も疎遠になってしまったんでしょうか?その間も新譜はちゃんと聴いていましたから、コロナ禍だけが原因とは思えません。やはり、折角の20周年が Billboard Live(以下、BBL)ツアーだけだったからでしょうか?もちろん、Cymbals 時代を含めれば、25周年くらいでしょうか?そろそろバンド時代の曲も、チラホラと解禁してほしいものです。
かつて(生意気にも)SunHeroは、Cymbals を「遅れてきた渋谷系」と評したことがあります。一度だけライブを観たのですが、その後、惜しまれつつ解散してしまいました。ソロ活動に舵を切ったのは、今は亡き御父様の一押しもあったと思われます。
最初は、ジャズのスタンダードと洋楽のカバーから成るコンテンポラリー・ジャズ・ボーカル(ラウンジ・ミュージック)といったスタイルでした。Björk のファースト・アルバムをタイトルもジャケットもパクった、最初のポップス・アルバムが出るまで、ちょっと時間が掛かりました。
それは、土岐さんが21世紀の日本のシティー・ポップスの牽引者の一人として、ようやく注目されるキッカケでした。2010年代に入ると、折からのアナログ・ブームと呼応して、一躍 Queen of City Pops に祭り上げられました。新進気鋭のサウンドクリエーターを次々に起用して、ちょっと City Pops の範疇を超えちゃったかな?というほど目覚ましい活躍をしてきました。
そういう意味では、昨年の東横阪BBLツアーは、7月にBBL東京で追加公演が行なわれたくらいなので、ファンと共に20年を振り返る素敵なライブだったと思われます。それで一区切りを付けた土岐さんは、ナント20周年記念アルバムに着手して、12月中旬にツアー・タイトルと同名の新作(順番が逆だなヘ(^o^)/)がドロップされました。トオミヨウ氏とのコラボは、これで何作目になるんですかい?
いつものように前置きが長くなりますが、実は会場の日本橋三井ホールも久しぶりでした。2013年の谷村有美のクリコン以来、実に12年振りです。三井のすずちゃんのCMにも登場している COREDO室町1の5階にあります。
ただ当時は、まだCOREDO室町2も3も、ありませんでした。その後は、COREDO室町2にできたTOHOシネマズ日本橋に、一度行っただけです。そして、今やCOREDOとは中央通りを挟んだ向かい側、日本橋三井タワーの隣にCOREDO室町テラスまで出来ていました。
こんなに沢山オフィス・ビルを建てて、経営が成り立っているのでしょうか?三菱グループの縄張りである丸の内・大手町(東京駅西側)では、オフィス・ビルの建て替えは一通り済んだようです。今は八重洲(同駅東側)の常盤橋界隈に、高畑充希出演のCMでご存じかとは思いますが、完成すると日本一高い TOKYO TORCH が建設中です。

さて、今回のライブでは、MCで曲紹介をしてくれたおかげで、大半の曲名がその場で判明(下記参照)しました。それもそのはず、新譜から全10曲を披露してくれました。多くの客がニュー・アルバムを聴いた(≠買った)と拍手で反応しましたが、どれほどの観客が楽曲を聴いて曲名が浮かんだことか、怪しいものです。
### 土岐麻子 日本橋三井ホール 2025/02/16 セットリスト ###
- Lonely Ghost from “Lonely Ghost” 2024
- Flame from “SAFARI” 2018
- FALLING from “Lonely Ghost” 2024
- KAPPA from “Lonely Ghost” 2024
Greeting(本公演の趣旨、多数の来場に感謝、ソロ20周年の想い、休憩予告) - SU SA MIN from “Bittersweet” 2015
MC(荒みの話) - 夜凪 from “Lonely Ghost” 2024
- RADIO from “PASSION BLUE” 2019
MC(いよいよ休憩、次曲の解説) - Tablecloth from “Lonely Ghost” 2024
〔approximately 15-munite intermission〕 - Queen of Mystery from “Lonely Ghost” 2024
- モンスターを飼い馴らせ from “TALKIN'” 2007
MC(休憩OK?、2007年の想い出、メンバー紹介) - SUPERSTAR from “TOUCH” 2009
- ラブソング from “Bittersweet” 2015
MC(資生堂CMソングの逸話) - Gift~あなたはマドンナ~ single,
from “TOKI ASAKO “LIGHT!”~CM & COVER SONGS~” 2011 - Mint Cherry Cake from “Lonely Ghost” 2024
MC(前曲の言い訳、次曲の製作裏話、スカット漫画) - Dong, Nan. Xi, Bei from “Lonely Ghost” 2024
- August from “Lonely Ghost” 2024
《encore》
MC(アンコールに感謝、新作グッズ紹介、ライブの楽しさ) - ファンタジア from “TALKIN'” 2007
MC(20周年の節目に新作を発表した思い) - 窓辺 from “Lonely Ghost” 2024
- ♪ musicians ♪
- 高木 大丈夫:Guitars、Chorus、Musical Director
- 伊吹 文裕:Drums
- 林 あぐり:Bass、Synthe Bass
- 井上 薫:Keyboards、Chorus
バンドの面々は、昨年のBBLを巡るツアーと同じです。バンマスの高木さんとは、大学の後輩など、旧知の仲だそうです。とは言え、新作の全曲をやるのは、ちょっとしたチャレンジだったかも知れません。何しろ、トオミヨウ氏のアレンジは、もはやアレンジに留まらず、電子楽器を駆使した演奏のレベルに達しているからです。
だから、キーボードはもちろん、ギターやベースもエフェクターを駆使したり、シンセで加工したりと、なかなか面白い音を出して、アルバムに引けを取らない音空間を作り出していました。おっと忘れちゃいけない!ドラムも、Pearlのバスドラの上に、さりげなくRolandのドラム・パッドが置いてありました。
土岐さんの衣装も、流行の透け素材を使ったもので、登場時には背後の(ホリゾンタル)照明だけが点灯していたため、ベースになっているミニ・ワンピのシルエットが浮び上がる仕掛けになっていました。透け素材が意外にもグレイだったので、「SU SA MIN」では「灰かぶり姫」ぽい効果を出していました。
休憩中に衣装替えした土岐さん、今度は白いモコモコのワンピース。ピーターパンの葉っぱの服にでもヒントを得たのか、ベースの布地に無数の葉っぱ切れを縫い付けたような、例えるならカジュアルなウェディング・ドレスかな。透け感は随分後退した感じですが、照明で様々な色に染まるのは、上手い演出でした。
City Popsといえば、オシャレな音楽というイメージですが、合間のMCは観客への気遣いの余り、休憩アリの二部構成になるとか、やたらと寒くありませんかと問いかけたり・・・・ダサダサな展開が多く、笑いが絶えませんでした。実るほど頭を垂れる~~~といったところなのでしょうか?こういう奥ゆかしさが土岐さんらしくて、ほのぼのした気持ちに包まれました。
最後に本音を言えば、当日会場へ向かう途中で発券したら、前から3列目だったんです。もうそれだけ嬉しい!今更説明しなくても、この喜びの理由はお判りですよね?

ライブ・コンサートランキング
この記事へのコメント