
当選確率は五分五分といったところか?ただし、ぜひ生で見たいと思った俳優が登壇する場合は、9割方落選する。昨年末も、のん(a.k.a. 能年玲奈)さんの主演映画で舞台挨拶が企画されたが、嫌な予感通り落選した。
のんさんと言えば、所属事務所と独立問題で揉めに揉めて10年。もう31歳だってねぇ。昨年、伊丹十三賞の授賞式で、MCや審査員を代表して祝辞を述べた平松洋子氏が、何度も「能年玲奈さん、能年さん」と発言して、当人は照れ臭そうな、でも、とても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
のんさんの場合は、仲裁に入ったNHKと事務所の事前調整が甘くて決裂したため、一向に解決の糸口が見つからない。その点、氷川きよし(a.k.a. KIINA)は芸能活動を休止してまで和解を模索した。今度はNHKの仲裁が奏功して、2つの芸名を取り返して、紅白で劇的復活を果たした。活動休止中の氷川きよしをアメリカまで追っ掛けたNHKのドキュメンタリー番組を観て、色々と考えさせられた。
芸能事務所って、昔から契約タレントに対して横柄だよな。蛇仁亥頭の問題だって、海外で取り沙汰されて、ようやっと動き出した。のんさんも、もう元事務所に遠慮する必要はないんじゃないかい?海外メディアに頼んで、のんとしての10年間を総括するドキュメンタリーでも撮ってもらったら、一気に好転するかもしれないと思うんだけどね。
さて、1月17日に公開になった映画「君の忘れ方」、翌日は午前から池袋⇒新宿⇒渋谷と舞台挨拶6連荘だった。新宿ピカデリーでの2回の舞台挨拶に両方申し込んだら、2回目の方に当選した。
これは完全なミスだった。1回目の上映後舞台挨拶にすべきだった。もうすっかりオバサンだけど、ベテランの南果歩が居るか居ないかで、舞台挨拶の盛り上がり方が全然違ったからだ。
新宿ピカデリーの1回目には、マスコミの取材も入って、この日一番の熱気があったらしい。でも、南さんはここまで。2回目には、若手の二人と監督だけ。取材を終えて緊張感が解れたのはいいが、すでに通算4回目だったこともあり、話すことがなくなってしまったようだ。控え室でのお喋りの延長上のような気の抜けたトークだった。
紹介が遅れたが、登壇者は主演の坂東龍汰さん(as 森下昴)、西野七瀬さん(as 柏原美紀)、作道 雄さん(監督・脚本)だけ。序盤は言葉少なめだった監督が、二人の俳優の話を受けて、結構お喋りだった。上映前ということで、余り突っ込んだトークはなかったし、とにかく山場を超えた安堵感から、まるで気の抜けたコーラを飲まされたような挨拶だった。
映画は、不慮の事故で夫や妻を亡くしたGRIEF(深い悲しみ)をどう克服していくか?「グリーフケア」の現状と「再生の道」を描いた作品だ。決して重たくない。どちらかと言えば、淡々と物語は進行し、心が前向きに生きようと方向転換するクライマックスは、逆に何かスッキリしない。過度に暗くもなく明るくもない映画だ。
登壇者のファンなら、ゼッタイに観るべき作品だと思う。主人公のモノローグが多く、演者の表情や仕草がとても重要で、演技力が問われる。しかし、風間杜夫、津田寛治、岡田義徳、南果歩(昴の母)、秋本奈緒美(美紀の母)といったベテランが、いい演技をしていて、主人公をそれぞれの立場(役柄)で引き立てていた。
最後にもう一度、舞台挨拶に関する話を。凡そ30分の舞台挨拶が終わると、多くの客が帰ってしまった。そもそも客の年齢層が、どう見ても高い印象だ。30代以下の客も居るには居たが、居心地の悪さを感じるほどではなかった。こんな違和感、過去の舞台挨拶上映では経験したことが無い。
新宿界隈では収容人数(580名)の多い部類に入る新宿ピカデリーのスクリーン1には、ひとつ上の階にプラチナルーム/プラチナシートがある。どうせ招待客ばかりなんだろうな。見上げても見えないように設計されている。そっちはどうだったんだろうか?
気持ちを切り換えようと、もう一本観てから帰ろうと思った。最初に思い付いたのが、のん主演の「私にふさわしいホテル」だった。ナント新宿ではピカデリーだけ。しかも、ナイト上映。終電問題で諦めた。多くの劇場では、1月16日で終了だった。後味の悪い一日だった。


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