ぼくのお日さま[先行公開舞台挨拶上映](2024日本)

MySunshine_poster.jpg恐らく「スオミの話をしよう」とか「ラストマイル」のような娯楽性の高い映画とは、対極に位置する作品だと思う。「僕はイエス様が嫌い」で、第66回サンセバスチャン国際映画祭をはじめ、いくつかの映画祭で最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史氏の、商業映画デビュー作だそうだ。

映画は二作目だが、弱冠28歳の新進気鋭の監督は、ビデオ・クリップやドラマの監督で注目を集めるようになったそうだ。調べてみたら、森七菜の「スマイル」や Foorin' の「パプリカ」、近年には Netflix「舞妓さんちのまかないさん」の数話、NHK「ユーミンストーリーズ」第三週「春よ来い」(主演=宮崎あおい)が挙げられる。

ところで、商業映画以外の映画って何だ?監督が最優秀新人監督賞を受賞した「ぼくイエ」(?) は、そうじゃないのか?この映画だって、説明的なシーンを極力カットして、観客の想像に任せる手法が用いられていた。それを承知していないと、余り起伏のないストーリーに拍子抜けしてしまうだろう。

今年のカンヌ映画祭に出品されたため、奥山監督以下、池松壮亮、本作が映画初主演(?)となる越山敬達、そして、今作が初めての演技経験だという中西希亜良が、カンヌのレッド・カーペットを歩いてきたそうだ。コンペティション部門でなくても、カンヌで上映されたというだけで、それなりの宣伝効果はあるだろう。実際、北米など海外での上映オファーが来ているそうだ。

一応、池松壮亮主演らしいので、彼が演じた元スケーターで、今はスケート・リンクの管理をしながら、そこに通う子供達にスケートを教える荒川の私生活にも、ちょっとだけ踏み込んでいる。でも、映画公式サイトのイントロダクションを読むまでもなく、主人公は越山くん演じるタクヤだ。

タクヤは少年アイスホッケーチームに入っているが、吃音があるせいなのか、チームメイトの脚を引っ張ってばかり。そんな彼が、荒川からフィギュアスケートの指導を受けている、中西希亜良演じるさくらの可憐な容姿に一目惚れ。それに気付いた荒川が、二人を組ませるが・・・・

この構図って、1970年代に日本でも大ヒットした「小さな恋のメロディ」だよな。マーク・レスターが演じたダニエルは、タクヤそのものだ。バレエの練習中のトレーシー・ハイドが演じたメロディを見初める。二人の恋を応援する不良少年=ジャック・ワイルドが演じたトムは、謂わば荒川の立場だ。

序盤に、さくら同様に荒川に指導してもらっている別の少女が、荒川を異性として意識しているかと、さくらに探りを入れる場面がある。さくらは本当にそういう感情にまだ気付いていなかったようだが、フィギュア未経験のタクヤの指導に時間を割かれてしまうことに苛立つようになる。

こうなると、もはや「ちい恋」のパクりではない。子供二人と大人一人の三角関係が浮かび上がってくる。これが淡々と進行する。最後は、ハッピー・エンドと言い切れないし、そこで終わっちゃうのかよと不満に思う人もいるだろう。何しろ90分だ。

荒川の過去をほのめかすシーンがあるが、さりげなく見せるだけで、ちょっとモヤモヤしてしまった。前述の通り、観客に解釈を委ねる作風のため、歯痒いシーンばかりだ。どうしても、もう一回観たくなったが、先行上映は毎日1回だけだ。

ちゃんと調べていれば、「全国公開記念舞台挨拶」(9/15)が控えていたことに気付いていたはずだが、チケットぴあの舞台挨拶上映情報に飛びついて、「先行公開舞台挨拶上映」(9/7)に申し込んでしまった。こういう時って、不思議と当選するんだよなぁ~。

ちなみに、この2つの舞台挨拶、場所(テアトル新宿)も登壇者(前述の4名)も同じなんだけど、料金が違った。「先行」は鑑賞料金だけで2,800円、「全国」は同2,500円。ぴあ経由だと、この他に諸費用が掛かる。ここでチョット訂正を!

ひょっとしたら、差額の300円って、「先行」だけに登壇したハンバート・ハンバートのお二人の分だったのかもしれない。元々、この映画のモチーフは、このデュオの同名曲に由来しているそうだ。そんなご縁で、全編の音楽もハンバートの佐藤良成が手掛けている。ただ、この日、生演奏はなかった。

更に、ホント事前に何も調べなかったばかりに、劇場のダメ押しキャンペーンに見事に取り込まれてしまった。1,000円もする小さな、でも読み応えのあるパンフレットか、映画に因んだ限定ドリンク「ぼくの雪どけ」を購入すると、応募用紙が渡される。運が良ければ、ポスターかサコッシュか缶バッジが当たるんだとか。

さて、12時50分から予告編ナシで上映開始。約90分の映画が終わると、すぐに舞台挨拶。スタッフの手際が良すぎて、トイレに行く余裕もなかった。テアトル新宿での舞台挨拶は初めて経験したため、登壇者ご一行が向こう側のサイド扉から入場してきた時はガッカリした。

MySunshine_RealCustume.jpg

舞台挨拶は30分以上続き、ロビーへ出たら、ほぼ15時だった。改めて見回してみたら、「ぼくのお日さま」関連の展示ばかりだった。三人が着用した衣装まで展示されていた。パンフを買い求める行列が出口付近まで伸びていたので、あれこれスマホで写真を撮った。

この時、「ぼくの雪どけ」の実物を撮影していなかったことに気付き、もう一杯いただくことにした。ぱっと見はアイスミルクフロートだが、隠し味にクリームブリュレシロップが入っているそうだ。ただのアイスミルクフロートだったら、お代りしなかっただろう。

MySunshine_MyThawing.jpg実はSunHeroは、牛乳だけを飲むのは苦手だ。カフェラテとかカフェオレとかだったら、何の問題もなく飲める。多分、小学生の頃に給食でたまに出された脱脂粉乳の牛乳臭のせいだと思う。給食時間の終わりの方で、担任教諭が残した児童を集めて、飲み干すまで校庭へ遊びに行かせてくれなかった。

それより、シロップだ!クリームブリュレシロップがどういうものか知らないが、要は「ブリュレ」だ。離れ離れで育った双子姉妹が、ある事情から再会して、ある場所を目指して、逃避行するという悲しい物語だった。「ぼくのお日さま」全編に渡る静けさは、まるで映画「ブリュレ」のようだ。

さて、舞台挨拶の方は、初っ端から越山くんのシドロモドロな挨拶だ。仕切り直しの挨拶もダメ。締めの挨拶も・・・・池松さんはそんな様子を楽しんでいたようだが、一体何があったのだろうか?一方、小西さんは弱冠12歳(撮影時、11歳?)ながら、やや地味目なワンピースも奏功したのか、とても大人びていた。

最後は、取材陣だけでなく、観客も撮影OKとなった。3倍にズームしても、小っちゃな写真しか撮れなかった。しかも、帰宅後確認したら、キャストの顔が絵画のようになっていた。

MySunshine_StageGreeting.jpg

そんなこともあって、映画をもう一度観たいという気持ちと、越山くんの出直し挨拶がどうなるか確かめたくなって、「全国」の方にも申し込んでしまった。見事当選し、前回より良い席を確保できたが、まさかの体調不良で行けなかった。寝坊したとは言え、すぐに支度して出掛ければ、舞台挨拶には間に合ったと思う。

だが、これが最大の失敗だったが、スマホの充電を忘れていたり、他にもヒゲを剃り忘れていたり、暑さ対策の飲料を冷やしておくのを忘れたり・・・・圧倒的な準備不足が祟って、外出する意欲がすっかり萎えてしまった。

今の懸念は、こんなことで、来週のフェスが乗り切れるのかどうかだ。

映画ランキング
映画ランキング

この記事へのコメント

  • Dogwood

    中々興味深い映画ですな。監督のお名前も(笑)。「小さな恋のメロディ」も。今度10月17日に映画会やりますよ!タダです。ところで、ワタシは「スオミの話」を初日に見ちゃったんですよね、平和島で。お客は3人でした(笑)。
    2024年09月22日 00:46

この記事へのトラックバック
エンターテインメントランキング
エンターテインメントランキング
人気ブログランキングでフォロー

©Entertainment Weblodge SunHero
All rights reserved (except where noted)