
不覚にも舞台装置解説付きの公演(6月7日)を見逃してしまったので、改めて一週間後の公演チケットを取った。先行予約で取ったにも拘わらず2階席だったが、再挑戦の方は同じ2階席でもステージ真正面の最前列が取れた。不幸中の、いや、不注意中の細やかな幸運だと思った。
ただ、夜には Tokyo Dome City Hall で、角松敏生の Performance 2024 が控えている。何十年振りのダブルヘッダーだろうか?・・・・と思ったら、ほんの8年前だった。いや、コンサートと映画のダブルヘッダーなら、2017年=7年前だ。
芝居が休憩を含めて3時間だとして16時半。池袋から水道橋まで Door to Door で30分程度だ。17時の開場にだって、間に合うかもしれない。むしろ、問題なのは体調の方だ。1週間前の大失態(大損害)でリベンジに燃えているとは言え、最近の寒暖差は当時の比では無い。
そんな思いまでして観に行った「未来少年コナン」は、冒頭からサッパリ理解できなかった。原作、いや、宮崎駿が日本アニメーション時代に手掛けた初監督作品を、最近のNHKでの再放送(2020)で見直していたが、どの場面か見当も付かなかった。
コナン(加藤清史郎)はスクリーンの向こう側に登場した。サメとの海中戦の演出は面白かったが、おじい(椎名桔平)と二人だけの島の生活は台詞で説明され、突然島に流れ着いたラナ(影山優佳)を助けたと思ったら、モンスリー(門脇 麦)が現れて、おじいを銃で撃って、ラナを連れ去った。
コナンは後を追って、一人島を出る。途中でジムシー(成河=そんは)が暮らす島に辿り着き、二人は意気投合。一緒にインダストリアを目指す。ここから物語はさらに急加速の展開。と優佳(いうか)、あちこちからイビキが聞こえてくるほど極端な場面転換に、SunHeroもウトウトしてしまった。
コナンが超人的なパワーを発揮するシーンの演出も、特に高低差の表現にもう一工夫欲しかった。「ねじまき鳥クロニクル」を見たせいか、単調な舞台装置の使い方に苛立った。
例えば、インダストリアの高い鉄塔から、手すりの無い板状の床に乗ったラナが迫り出してきたら、風に煽られて立っていられないはず。どうしてそういう状況になったのかも、定かでは無い。ましてや、掴まれる所がほとんど無いはずの鉄塔を、コナンが素手と素足で登っていく迫力も伝わって来ない。
インバル・ピントの手の込んだ振付けを、卓越した身体表現で演じたダンサー達には、拍手があってもいいようなものだが、今回ばかりは裏目に出た感じだ。冒頭の紛糾している感じの会議や砂嵐の砂漠の表現など、彼らしい振付けだったが、いずれもストーリーに必須なシーンだとは思えなかった。
それでも、ひとつ、とても感心したことがある。おじいとラオ博士の二役を演じた椎名桔平の役作りが、半端なく徹底していた。衣装やカツラで二役を演じることは、ベテランなら容易いことだろう。更にきっちりキャラクターを演じ分けていて、お粗末な舞台装置の中でも、勿体ないくらいイイ芝居をしていた。
だが、同じレベルを若手俳優に求めるには、無理があったとしか思えない。清史郎くんの演技には、アニメのコナンを彷彿とさせる箇所もあったが、照明や音響(大半は生演奏)による支援が足りなくて、盛り上がりに欠けた印象を受けた。
SunHeroが見た成河出演作品の中で、今回は台詞も非常に多く、どこか類人猿のような動きをするジムシーは、正にハマリ役だと思った。ところが、コナンと共にインダストリアで活躍するシーンが、思いのほか少なくて残念だった。
景山優佳が演じたラナは、原作のキャラクターを上手く表現していたが、歌唱シーン以外に活躍の場が無かった。それどころか、ダイス船長(宮尾俊太郎)とモンスリーの結婚式で大団円を迎えてしまっては、だれがヒロイン役なのか分からなくなってしまった。
これから大阪公演⇒地方巡業なので、これ以上のネタバレは止めておく。と優佳(いうか)、もう十分バラシてしまったラナ(かな)?

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