
このCDを最初に取り上げたのは、もう20年前になります。まさか、2020年に配信が開始された楽曲を追加して、2022年に 20th Anniversary とは付記されることなく、Cleopatra から再発されました。プロの評論家でも誤認しているのを見掛けて、改めて取り上げることにしました。
Tower Records の英語の解説を読めば、コレが Todd Rundgren のディスコグラフィーに加えていいものか?その答えは明白です。本来なら、タイトル= Todd Rundgren & (His) Friends、アーティスト= Billy Sherwood(現YESの正式ベーシスト)& Bob Kulick であるべきです。
このアルバムのプロデューサーでもある二人は、新録のボーナス・トラック以外の11曲で、Featured Artist の演奏と Rundgren のボーカル・パート以外の全ての演奏を担っています。そうでなきゃ、Rundgren のオリジナル・バージョンとは程遠い平凡なアレンジになるはずがありません。
2002年のリリース当時は、あたかも Rundgren の楽曲が Featured Artist の面々による新しい解釈でリメイクされたかのような印象を与えていました。実は、その前年に Cleopatra から発売された“Reconstructed”が、同じ手法で製作された最初のアルバムでした。
当時の映画界に映像革命をもたらした「マトリックス」シリーズの主役=ネオのイメージをパクったジャケットがダサカッコ良かったので、つい買ってしまいました。それも、日本クラウンから出た国内盤です!
Remix DJ 達に弄くり回されたリックス・バージョン集は、浜崎あゆみのようには行かず、全然売れなかったようです。そのため、本作は国内盤が出ませんでした。だから、プロの音楽評論家でも、見事に騙されてしまったのでしょう。
Todd Rundgren をAORの側面からしか見ていないと、本作の演奏やアレンジが「らしくない」ことを見抜けなかったのでしょう。Rundgren が自ら自分の楽曲をリメイクしたらどうなるか?その好例が、かなり強引にボサノバ調にリアレンジされた楽曲が並んだ“With A twist”でした。
あれはいいアルバムでした。ボサノバ・ギターを弾いていたのは、Jesse Gress でした。自分で弾いたのでは、十分に雰囲気が出なかったのでしょう。わざわざハワイの自宅に呼んで、レコーディングしたそうです。その後、二人で来日して、全国の Blue Note を回るツアーを敢行しました。
さて、本作は2002年の初版では“Todd Rundgren & His Friends”だったものが、なぜか ‘His’ が取れてしまいました。ついでに、なぜか‘Friends’が‘friends’になってしまいました。にわかフレンズみたいな方々もいたので、表現をわざと控えめにしたんでしょうか?
コレ、そんなに評判が良かったんですかね?20年後の2022年に、Rick Wakeman と Todd Rundgren の共演による(?)“I Saw The Light”(2020配信開始)を追加収録して再発されました。更に今年、まさかの再々発ですよ。
何でかなぁ~?って思いながら、しみじみとジャケットを眺めていたら、理由が分かった気がしました。でも、ホントにそんな理由で再発するもんかな?え~っと、えっと、欧米には無い風習(?)だけに、今は明言できません。
20年前に紹介したと思いますが、本作はヨーロッパでジャケットやタイトルを変えた物が発売になりました。流石に、今回、便乗再発は無いようです。荒稼ぎも程々にして欲しいものです。

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