死因は大動脈解離だという。心臓が脳出血を起こしたようなものらしい。発症したら、脳梗塞よりも緊急性が重要な症状だ。一度血管が裂け始めたら、例え入院していたとしても、手術のしようがないらしい。
そんなギリギリの状態だったことなど、TVでの熱唱を見ていたら、本人ですら微塵も感じていなかったと思われる。しかし、そうした力みがじわじわと大動脈に負荷を与え続けてきたのだろう。
動脈瘤なら、X線撮影やMRI検査で発見できる可能性は高い。何らかの自覚症状があるからだ。破裂する前に見つかっていれば、治療方法はある。だが、動脈解離は、動脈が一旦裂け始めたら、血圧で一気に裂け目が広がる。開胸して止血する間もない速さだという。
国内外を問わず、70代で生涯を全うするミュージシャンが相次いでいる。それだけで判断するのは信憑性に欠けるが、人生100歳時代とは矛盾していると思う。人口減少と共に人類に降りかかるのは、長寿ではなく短命化なのではないか?統計学的分析では未来は読めない。
現に、団塊ジュニア世代は、次の団塊世代を生まなかった。この誤算が今日の労働力不足をもたらした本当の原因ではないか?
さて、もんた&ブラザースとしてようやく音楽界でブレイクした頃、丁度初来日したのがMarty Balinというシンガー=ソングライターだ。日本でも「ハート悲しく」がヒットして、AORとして認識された人物だ。滞在中のホテルで偶然見た「ダンシング・オールナイト」を気に入り、即席の英語詞を付けて、東京公演で披露した。
Marty Balinは、しばらくして稲垣潤一の曲をカバーしたミニ・アルバムを、日本のみでリリースした。彼の日本のポピュラー音楽に対する興味は尽きることがなかった。Jefferson Airplane時代の仲間と組んだKBC Bandや、再離陸したJefferson Starshipのアルバムで、オフコースの曲を英語でカバーした。
そんな事もあって、この訃報に際して、想い出を語らずにはいられなかった。
心からご冥福をお祈り致します。
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