Jefferson Starship - Mother Of The Sun (August 2020)[Spotify & Amazon Music]

Paul KantnerMarty Balinもこの世を去ったと言うのに、何を今更このバンド名でアルバムがリリースされるのか?とやや憤慨気味だった。ところが、もう一人いたんですよ、オリジナル・メンバーが。1974年にJefferson Starship(以下、J.S.)としてファースト・テイクオフした際、搭乗員だったメンバーが!

1970年代に入って空中分解を始めたJefferson Airplane(以下、J.A.)を修繕しようと奔走したKantner。Balinの後任として目を付けたのは、Quicksilver Messenger Serviceという同郷(San Francisco)のバンドのDavid Freiberg。マリファナ所持で収監されて、QMS脱退を余儀なくされたFreibergに声を掛けた。まずはお試し?とばかりに、Grace Slickを加えた三人の名義でアルバムをリリースした。

1973年5月にドロップされた“Baron von Tollbooth & the Chrome Nun”(トルブース公爵と尼僧クローム)には、実際はJ.A.末期のメンバーが全員参加していたが、同時期にJ.A.名義のライブ・アルバムも発売されたため、三人の名義となったらしい。Jeffersonファミリーに迎えられたFreibergにとっても、この方が嬉しかったのではないか!

ただ、あの気色の悪いジャケットに引いてしまって、何十年も経って…今ようやく初めて聞いたが、J.A.からJ.S.への正に過渡期のサウンドが窺える。当時十代だったCraig Chaquico(クレイグ・チャキーソ)にとっても、Jeffersonファミリーでの初レコーディングだったようだ。

FreibergはJ.S.としての船出以降、Kantnerと共に1984年に下船するまで行動を共にした。残されたメンバーは、裁判の結果Starshipと名乗ることになった。そして、あの大ヒット連発のアルバムが誕生した。

1990年代に入って、KantnerはKBC Bandを源流とするJeffrson Starship: The Next Generationを建造した。やがて、1995年Jefferson Starship名義で“Deep Space/Virgin Sky”という新曲を含むライブ・アルバムを発表(日本盤発売ナシ)した。1998年にはドイツで14年振りのスタジオ録音盤“Windows Of Heaven”が発売され、翌年アメリカ・日本でも同名アルバムがリリースされた。

J.S.二号機は、Kantner・Balin・Jack Casady・Slick Aguilar・Tim Gormanという、KBC Bandからのメンバー以外の出入りが激しかった。しかも、たまにCassidyが不参加の公演もあって、J.A.のリード・ギタリスト=Jorma Kaukonenの実弟Peterが代役を務めた。

また、J.S.に欠かせない女性ボーカリストも、安定しなかった。Kantnerが引退したSlickの後任に相応しいボーカリストを探すため、Paul Kantner & Female Singers Projectを立ち上げた。このプロジェクトには、元World Entertainment WarのDarby Gouldも参加していた。アルバムとして結実することはなかったが、二号機始動へ大きく舵を切った。

続いてJ.A.の熱烈なファンだったDiana Manganoが、自ら送り付けたテープによって、二号機のもう一人の女性ボーカリストとなった。Gouldと一緒にステージに立つこともあったらしいが、1995年のライブ・アルバムにはフィーチャーされていない。逆に、“Windows Of Heaven”では、Gouldの一曲とBalinのJ-Popカバー(日本盤のみ)を除く全曲に参加している。

そして、2004年Freibergが20年振りでJ.S.のライブにゲスト出演し、2005年Balinの再度の下船を受けて、正式メンバーに復帰した。Freiberg復帰後のアルバム“Jefferson's Tree of Liberty”(2008年)では、当時69歳とは思えない溌剌としたボーカルを聞かせている。

それどころか、RichardsonがアップしたYouTube動画(文末参照)で、Starship初の全米No.1ヒット"We Built This City"を再現している。当時77歳?のFreiberg、流石に容姿は変ってしまったが、キビキビした動きには驚いた。同時に、Starshipとは縁も縁もない二人が歌って、オリジナル・ボーカリスト=Mickey Thomasから訴えられないのか、心配になった。

さて、12年振りのJ.S.のアルバムは、Kantnerに捧げられた作品と言うことで、21世になって数多リリースされたライブ・アルバム同様、SF的なタイトルだ。そして、ジャケットは“Freedom At Point Zero”を彷彿とさせる。その一方で、Balinの晩年のアルバムから、現J.S.のメンバー=Chris Smithとの共作曲も取り上げている。

だが、一番驚かされたのは、アルバムの冒頭を飾るリードオフ・シングル”It's About Time”だ。作者のクレジットにSlickの名前がある。いつどのようにして作曲された楽曲なのか、どなたかご存じではありませんか?

現在のメンバーは以下の通りです。
 ・David Freiberg ー Vacais, Bass
 ・Cathy Richardson ー Vocals(replaced Diana Mangano since 2008)
 ・Jude Gold ー Guitars(replaced Slick Aguilar since 2012)
 ・Chris Smith ー Keyboards(replaced Tim Gorman since 1998)
 ・Donny Baldwin ー Drums(replaced Prairie Prince since 2007)

Donny Baldwinと言えば、John Barbata、Aynsley Dunbarに続いてJ.S.一号機の三代目ドラマーだ。時期悪くJ.S.が分裂して、そのままStarshipのドラマーに収まったが、Elvin Bishop (Group)でもバンドメイトだったMickey Thomasと対立して、Starshipをクビになった。Prairie Princeが長らくJ.S.とTodd Rundgrenの掛け持ちをしていたが、New Cars参加で長期不在になるため、Kantnerが呼び寄せたらしい。

余計なお世話なエピソードだが、この交代劇でManganoまで下船したのは、J.S.搭乗で親しくなったPrairieと長い交際期間を経て結婚していたからだと思われる。だが、二人の婚姻期間は6年足らずで破局し、2010年に離婚したそうだ。

もはやManganoが復帰するポジションは、Freibergが新機長に就任したJ.S.には無い。なぜなら、以下の通り、ソングライティングにおいても、Richardsonは不可欠なメンバーとなっているからだ。

 It's About TimeCathy Richardson, Grace Slick, Jude Gold
 What Are We Waiting For?Cathy Richardson, Donny Baldwin
 Setting SunCathy Richardson, David Freiberg
 Runaway AgainCathy Richardson, Jude Gold
 Embryonic Journey ー Jorma Kaukonen(J.A.時代の楽曲)
 Don't Be Sad Anymore ー Chris Smith, Marty Balin
 ※All lead vocals by Cathy except “Setting Sun”,“Don't Be Sad Anymore” by David

それでは、7曲32分しかありませんが、12年振りのJ.S.の新譜をお楽しみ下さい。







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