A Prog Rock Christmas (November 2019)~新年早々ですが、まだ引き摺っていますw(Amazon Music & Spotify 対応)

Billy Sherwoodというアメリカ人ミュージシャンをご存じだろうか?洋楽ロック、特にプログレッシブ・ロックに詳しい方なら、1991年リリースの8人YESによるアルバム『結晶 (Union)』以降、長年サポート・メンバーとしてYESに貢献し、1997年のアルバム『オープン・ユア・アイズ』で、Trevor Rabinの後任ギタリストとして、正式メンバーに迎えられた苦労人なのは、ご存じのことと思う。

Sherwoodは、そのアルバムのミックスダウンも担当したが、続く1999年発表の『ラダー』をもって脱退してしまう。その後もYES人脈との関係を保ちつつ、既にプロデューサー/エンジニアとして、Motorhead (1992)、Dangerous Toys (1994)、そして、Free~Bad Companyを経てソロになったPaul Rogers (1993) を手掛けていたので、恐らく活動の場を広げたくなったのだろう。

そのひとつが、YES参加以前からの自身のバンド=World Tradeの再始動だ。1995年には2ndアルバム“Euphoria”をリリースするも、3rdアルバム制作中にバンドが崩壊し、結局初ソロアルバム“The Big Peace”として1999年にリリースされた。その後、昨年までに10枚のソロ・アルバムを発表している。

一方、1995年には、Genesis、Pink Floyd、Yesのトリビュート・アルバムを立て続けに手掛け、これ以降、Steve Ray VaughnやQueen、AC/DC、Todd Rundgrenなど、プログレッシブ・ロックに留まらない様々なトリビュート・アルバムの仕掛人としても暗躍(?)するようになった。本作は、謂わばその延長上に当たる作品で、Sherwoodが培ってきた人脈=交友関係の広さを改めて思い知らされる人選になっている。

1)Run With The Fox - Jon Davison (YES)
  Written by Chris Squire, Alan White, Pete Sinfield
  Originally Released as single by Chris Squire・Alan White, October 1981
2)Christmas Lights - Kasim Sulton (Utopia)
  Writen by Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion, Chris Martin
  Originally Released as digital single by Coldplay, December 2010
3)Carol Of The Bells - Steve Morse (Deep Purple)
  Based on traditional Ukrainian song "Shchedryk"
  Arranged by Ukrainian priest/composer, Mykola Leontovych 1916
  English Lyrics adapted by Peter J. Wilhousky 1936
4)The Twelve Days Of Christmas - Annie Haslam (Renaissance)
  A traditional Christmas carol
5)Wonderful Christmastime - Billy Sherwood (Yes) & Patrick Moraz (Moody Blues)
  Written by Paul McCartney
  Released as single by Paul McCartney, November 1979
6)I Believe In Father Christmas - Martin Turner (Wishbone Ash)
  Composed by Greg Lake, Lyrics by Pete Sinfield
  Released as single by Greg Lake, November 1975
7)Fairytale Of New York - Leslie Hunt (solo) & Robin McAuley (McAuley Schenker Group)
  Written by Jem Finer & Shane McGowan
  Originally Released as single, November 1987,
  Performed as The Pogues featuring Kirsty McColl
  Compiled in The Pogues’ 1988 album “If I Should Fall from Grace with God”
8)O Come All Ye Faithful - Sonja Kristina (Curved Air)
  A well-known hymn for Christmas
9)A Christmas Song - Thijs Van Leer (Focus)
10)You're a Mean One, Mr. Grinch - Malcolm McDowell [actor]
  Composed by Albert Hague, Lyrics by Theodor "Dr. Seuss" Geisel
  Originally written for the 1966 cartoon special “How the Grinch Stole Christmas”
11)Linus & Lucy (Charlie Brown Christmas Theme) - Geoff Downes (Asia)
  Written by Vince Guaraldi
  Originally Performed by Vince Guaraldi Trio on their 1964 album
  “Jazz Impressions of a Boy Named Charlie Brown”
  (not availble on vinyl LP edition)
12)Silent Night - Nik Turner (Hawkwind) & Simon House (Hawkwind)
  A famous German Christmas carol
13)Happy Christmas (War Is Over) - John Wetton (King Crimson, U.K., Asia)
  Written by John Lennon & Yoko Ono as ”Happy Xmas (War Is Over)”
  Originally Released as single, December 1971

以上の通りですが、如何でしょうか?興味を引かれた楽曲やアーティストはありましたでしょうか?プログレ系のアーティストによるクリスマス・アルバムのはずですが、プログレ色の薄いポップな楽曲が多く、良く言えばオーソドックス、悪く言えば期待外れと言った感じでしょうか?イギリスの俳優=Malcolm McDowellまで担ぎ出したのは、どういう事情だったのでしょうか?

ともかく、SunHeroが真っ先に注目したのは、Todd Rundgrenがかつて率いていたバンド=Utopiaのベーシスト/ボーカリストだったKasim Sultonの参加です。担当した楽曲は、クリスマス・ソングとしてはかなり新しいColdplayの曲ですが、配信オンリーのリリースだったため、完全ノーマークでした。

ノーマークと言えば、オランダ出身のバンド=Focusを率いていたThijs Van Leerの担当曲。Monkey Majik + 小田和正による2012年の曲ではないのはモチロンですが、あれこれネット検索してみても出典が分かりませんでした。情報をお寄せ頂けましたら幸いです。

ところで、John Wettonは2017年に他界しているので、新録であるはずがないと思い、これも検索してみたところ、ナント2009年リリースの“An All-Star Salute To Christmas”というアルバムが、初出だと分かりました。ついでに、CDと配信のみのボーナス・トラックである11曲目も、このアルバムに収録されていることが判明しました。

どういうことかと思ったら、本作と10年前のアルバム、どちらも同じレーベルからのリリースで、しかもSherwoodがプロデュースしていました。おまけに、10年振りでCDが再発です。知ってしまったら、「水増し」感は否めません。それでも、善意に解釈すれば、Chris Squireへのトリビュートで始まり、John Wettonへのトリビュートで終わるという訳です。

むしろ、クリスマス・アルバムとしては随分アグレッシブな面子を豪華に揃えたCD2枚組の“An All-Star Salute To Christmas”の方に、強く興味を引かれました。どう考えてみても、あのアルバム用にわざわざレコーディングされたとは思えない曲が何曲も紛れ込んでいます。10年経っても懲りずに同じ手法を使うなんて、全然プログレッシブではないと思いませんか?(商売上手だとは思いますが・・・笑)

それでも、本作は品薄なようで、11月末に注文して、一応昨年中に届いたのですが、クリスマスには間に合いませんでした。どうしてもCDで欲しいと思わなければ、ダウンロード購入ですぐに入手できたわけです。そもそもSpotifyとかAmazon Musicとか、どこかのサブスク会員になっていれば、向こうから勝手にお勧めしてくれていたかもしれません。

もはやCDを買って聞くというライフ・スタイルは、時代遅れになってしまったようですね。それでもCDを買い続けるSunHeroは、なぜかサブスクには尻込みしてしまって、どうしても最初の一歩が踏み出せません。



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