二極化する音楽の楽しみ方

音楽のデジタル配信が始まって20年余り、SunHeroは相変わらずCDの爆買いを続けてきたが、最近ようやく目が覚めたように、CDの年間購入枚数が激減した。多くのアーティストが新曲をネット配信でリリースするようになって、ご贔屓アーティストでも新曲が発表されたことに気付かないケースが増えたからだ。その影響で、昨年はついにエンタメ年間チャートが発表できなくなった。

ただし、悪いことばかりじゃない。ミュージック・ビデオを気軽にフル・バージョン視聴できるようになったのは嬉しい。だが、そうなるとDVD付CDアルバムを買うのがアホらしくなった。爆買いがピークの頃には、買ったもののDVDは見ていないCDだらけになってしまったからだ。挙げ句の果てに、CDを聞くのは一日せいぜい2-3枚が限度なのに、購入ペースが上回ってしまったため、開封すらしていないCDが数十枚もある。

爆買いが急に収束した最大の理由は別のところにあるのだが、おかげで冷静に音楽の在り方の変化が見えるようになってきた。一言で言ってしまえば、リスナーにとって音楽は「所有するもの」から「賃借するもの」へ、すなわち、「CD購入」から「サブスク」へと様変わりしていたのだ。買ったはいいが、未開封のまま仕舞い込んでしまったCDを探すSunHeroの、ナント滑稽なことか!

10代の頃、友人K.T.と都内の輸入レコード店巡りをよくしたものだ。国内盤の発売より先に輸入盤で買ったり、日本発売の無いアルバムを探し回ったりした。輸入盤に歌詞が付いていたら、開封した時の喜びも倍増だった。だから一層、レコードというものに愛着があった。そんな愛着も、今や虚しい執着だ。CDを買って、PCに取り込んで、ケータイやカーナビに転送して、外出時に楽しむというスタイルすら、時代遅れになっていた。

今やスマホさえあれば、全てが完結する。配信サービスの利用申込みから、TPOに応じたプレイリストの作成・再生まで出来てしまうからだ。いわゆるレコード会社と呼ばれる企業も、最近はCDの発売をサイト上で告知するものの、タイアップしている配信サービスへのリンクを用意している。それが、音楽を楽しむリスナーへの標準的な配慮になった。

そういう賃借(サブスク)リスナーが多い中、若い音楽愛好家でも、より豊かなリスニング体験を求めて、敢えてアナログ・レコードを買い、身の丈に合った再生機器を購入して、音楽を嗜む人達が登場してきた。おかげで、アナログ・レコード産業は、奇跡的に息を吹き返すことができた。

SunHeroもどちらかと言えば、アナログ嗜好の音楽ファンの部類なのだろうが、CDの利便性に目が眩み、300枚ほど持っていたレコードを全て売却してしまった。大半はCDで買い直したが、1970~80年代に流行った12インチ・シングルとなると、思いの外CD化されておらず、とても悔しくて悲しい。

このように二極化した音楽の楽しみ方の狭間で、SunHeroは途方に暮れている。

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