ビューカードとJRE CARDで差別化した意図は全く分らないが、差別はこれだけではない。スマートフォンに於けるSuicaアプリ(モバイルSuica)でも起きている。スマートフォンの時代になって、長らくFeliCa搭載のAndroid端末でしか利用できないアプリだった。ところが、日本向けiPhone7からFeliCaが搭載されて、Apple PayでモバイルSuicaが利用できるようになったら、新たな不公平が生じたのだ。
Android端末のモバイルSuicaの場合、ビューカード以外のクレジットカードを登録すると、年会費=1,030円が掛かる。ところが、Apple Payの方は、全てのクレジットカードが年会費無料で登録できる形でスタートした。
そもそも、Android端末で利用できるSuica以外の電子決済サービスは、登録できるクレジットカードに制約があったとしても、年会費を徴収するものはひとつも無い。それどころか、昨年5月からGoogle PayでSuicaが利用できるようになった。その場合は、Google Payに紐付けしたクレジットカードから無料でチャージできる。
JR東日本は、今年ようやくAndroidのモバイルSuicaの年会費撤廃を発表したが、適用開始日は2020年2月26日だ。ビューカードを解約して、クレジットカードの年会費を節減できるようになるのは、それ以降というわけだ。
そんな最中、掲題の連携が発表された。楽天PayアプリにSuica機能が付加されるのだが、アプリ内でSuicaの発行(利用登録)をするため、バーチャルなカードデザインは「赤いSuica」になる。実施時期は2020年春の予定だ。当面はFeliCa搭載のAndroid端末のみ対応で、iPhoneへの対応は今後検討するそうだ。
当然ながら、「赤いSuica」は楽天Payアプリに紐付けされた楽天カードから無料でチャージできる仕様だが、定期券やグリーン券の機能は引き続きモバイルSuica(緑のSuica)の使用を推奨している。不思議なことに、モバイルSuicaとGoogle PayのSuicaは同一端末で共存できないのに、どうやら「赤いSuica」と「緑のSuica」は併用できるようだ。
以上の事柄を総合してみると、来年2月26日以降に「緑のSuica」に楽天カードを紐付ければ、わざわざ「赤いSuica」を発行する必要は無いと思われる。そもそも、FeliCaはSuicaの肝だ。FeliCa必須なら、なぜ楽天Edyじゃないのか?将来的には楽天Edyを楽天Payに統合するという楽天側の思惑があるのだろう。
ただでさえ、○○Payの乱立にウンザリしているところに、Suicaが絡んでくる。ますます混沌となる電子決済サービスは、利用者にとっての真の利便性追求よりも、シェア争いに勤しんでいるようにしか思えない。結局、「赤いSuica」もAndroid端末の「モバイルSuicaの年会費撤廃」も、鬼が笑い疲れてしまいそうな先の話だ。
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