阿修羅少女~BLOOD-C 異聞~ (2017日本 R15+)

映画公式サイトへ「阿修羅少女」と書いて「アシュラガール」と読む。単館系で順次全国上映中だ。主演が青野楓、共演に宮原華音というキャスティングに惹かれて観に行った。この二人、武田梨奈を見出した西冬彦が、彼女に続く女性アクションスターとして発掘した逸材だ。共に、西氏がプロデュースした「ハイキック・エンジェルス」で映画初出演を果たしている。そんな二人が久々に映画で共演した。

しかも、副題の「BLOOD-C」が示す通り、2000年からProduction I.GとI.Gプラスの共同制作で展開されてきたBLOODシリーズ・アニメの延長線上に位置する作品だった。発端となった2000年公開のアニメ映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」は僅か48分の作品ながら、そのコンセプトはノベライズされ、ゲームやコミックにまで派生したそうだ。映画・テレビ共にアニメがメインのシリーズだが、今作は2009年公開の「ラスト・ブラッド」に続く二作目の実写版に当たる。

つまり、昔見た二本の映画が、思いも掛けない形で繋がった。SunHero的には、どんなB級映画でも、見逃す訳には行かなかった。

今回の劇場版は、2015年に上演された舞台「BLOOD-C The LAST MIND」の続編的ストーリーらしい。脚本はシリーズ第一作から携わっている藤咲淳一、監督は舞台版の演出を手掛けた奥秀太郎だ。舞台版の主要なキャストが、ほぼそのまま映画にも起用されている。舞台版のことは、映画を見てから知ったので、見逃した事が悔やまれて仕方ない。

奇妙に感じたのは、舞台版では宮原華音主演、劇場版では青野楓主演だったこと。ポスターでも、青野楓がセーラー服姿でハイキックするポーズを取っている。ところが、映画の中で実際にセーラー服を着て魔物を倒す「小夜」を演じていたのは、舞台版と同じく宮原華音だった。見終えた後で改めてポスターを見たら、誰でも違和感を覚えるに違いない。

そもそもBLOODシリーズは、「小夜という少女が日本刀で魔物を倒す」という設定だけが貫かれていて、最初からセーラー服が定番だった訳では無いらしい。「ラスト・ブラッド」にしても、「サヤ」はアメリカン・スクールに潜入するために、セーラー服を着る羽目になる。ポスターでは不鮮明な横顔しか写っていない宮原華音が、「小夜」を演じているのに、なぜ青野楓主演なのか疑問だ。

ストーリーの方も、諸々の説明が無くて、唐突に進行する。軍事政権下の日本、奥深い山村で特高警察官が殺害される。特高警察は村人に横暴な取り調べを繰り返し、村人との確執は悪化する一方だった。村の外の世界に憧れていた青年=蓮(松村龍之介)は、血の病で診療所に入院している姉=蘭(青野楓)を気遣って、村に留まっていた。

蓮が山中で特高に襲われた時、セーラー服に日本刀の少女=小夜(宮原華音)に助けられた。小夜は「古きもの」を狩るために村に来たと言って、蓮の家に滞在することになった。やがて、特高と村人の対立が一触即発状態になると、蘭の中の「古きもの」も人間の手に負えなくなる。姉の姿に自分の宿命を悟った蓮は、自ら小夜に殺してくれと頼む。

見所は、小夜と蘭の対決シーンのはずなんだけど、特高と村人の対立とゴチャ混ぜになって、締りが無い。どうにかオチを付けようとして、最後に診療所で極秘裏に行なわれていた研究が暴かれて、何となく一件落着となった。

典型的なB級映画だったが、恐らく宮原華音のお友達と思われる女子大生グループが、観客の中でチョット異彩を放っていた。彼女達は、一体どんな感想を抱いたのだろうか?

「ハイキック・エンジェルス」から三年、すっかり大人びた宮原華音に対して、青野楓は全然歳を取っていない感じだった。わざわざ観に行った成果として、SunHero的にはそれで十分だった。

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