2017年05月04日

All This And World War II [Original Soundtrack] (1976/2015 UK)

本作は1976年公開の同名ドキュメンタリー映画のサントラ盤だ。20th Century-Foxが手掛けた戦争映画だが、制作国は映画・サントラ共にイギリスだ。従って、英国色が非常に強く、全曲ビートルズ(正確にはLennon/McCartney作品)のカバーという構成だ。Elton Johnの“Lucy In The Sky With Diamonds”だけは、1974年暮れにシングルでリリースされ、翌年見事全米No.1に輝いた既発曲だが、他は映画用に録音されたものだ。

allmusic.comによると、CDリイッシューは、2007年に続き、今回が二度目だそうだ。恐らく、LP時代には、リイッシューなんて無かったと思う。これだけ豪華なアーティストを揃えて、ほぼ全曲の伴奏をThe London Symphony OrchestraやThe Royal Philharmonic Orchestraが担当しているというのに、ほぼ全曲のアレンジがほぼ全てのリスナーの期待を裏切る酷さだからだ。

それでも、オープニングを飾るAmbrosiaの“Magical Mystery Tour”は、Billboard Hot 100で最高位39位を記録するヒットとなった。本国イギリスでも、Rod Stewartの“Get Back”が、シングル・カットされて、それなりにヒットしたらしい。映画は、僅か2週間の上映に終わったそうだ。恐らく日本未公開だと思うが、サントラ盤だけは日本でも発売された(はず)。

困った事に、なまじAmborsiaのシングルが辛うじて全米Top40入りしたため、評判の悪い2枚組LPを買うかどうかで、当時は随分迷った。あれから40年、まるで日本のレコード会社が企画したかのようなレプリカ仕様で、CD化再発されている事を知り、ついにSunHeroはサントラの全貌を知ることとなった。

ビートルズの楽曲は、ポップス、ロック、R&B、ジャズ、クラシック、レゲエなど、様々なジャンルで様々なアーティストにカバーされてきた。しかも、欧米には古くから、例えばボストン・ポップスのように、〇〇〇・ポップス・オーケストラというものが存在している。だから、オーケストラ演奏によるビートルズ楽曲のサントラがあっても、何の不思議もない。

クリックして拡大画像でご覧下さい映画の音楽を任されたLou Reiznerは、アレンジャーのWill Maloneと組んで、当時の著名なアーティストを多数起用して、オーケストラをバックに歌わせた。Genesis脱退後のPeter GabrielやRoxy Music一時解散中のBryan Ferry、今や一人ELOのJeff Lynnに、ELOのもう一人の創設者=Roy Woodなんて名前を見ると、俄然興味が湧く人も居るだろうが、皆、全くの別人のように、Reizner/Maloneの下で、淡々と歌っているだけだ。

前述のアーティスト以外にも、ヨーロッパで人気だったフランスの女性歌手=Linsey De Paulや、黒人層への受けを狙ったのか、ソロで再ブレイクする前のTina Turnerや、Quincy Jonesの秘蔵っ子として当時売り出し中のThe Brothers Johnsonまでが、ただの助っ人ボーカリストとして参加している。普段の各アーティストのイメージとは、かなりのギャップがあったりする。

何をどういうスタイルでやらせても、そのアーティストらしさが窺えるのは、Rod Stewart、The Bee Gees、そして、Leo Sayerくらいだろう。The Four SeasonsとFrankie Valliは特例としても、The Bee Geesが2曲、Leo Sayerに至っては3曲も担当していて、奇妙な配分だ。アレンジの余りの酷さに、ドタキャンしたアーティストが3組いたのかもしれない。

しかも、プロデューサー/アレンジャーの特権とでも言わんばかりに、ReiznerとMaloneの二人は、自分たち名義でチャッカリ1曲やっている。ダメダメなアレンジを散々聞かされた挙げ句、ラスト1つ手前で聞くに堪えないボーカルまで聞かされる。ダメ押しの台無し感が漂う。

逆に、40年も経つと、個性的なアーティストほど、本作での歌唱は、かえってレア度が高くなる。そうでなければ、ヨーロッパで2007年に続いて、二度目のCD再発なんて、あり得なかっただろう。音楽の不出来が周知の事実となっている以上、パッケージに拘ったとしか思えない。その甲斐あってか、じわじわと売れ続けて、売り切れとなる日も、そう遠くないようだ。

ちなみに、日本国内で出回っている「ザ・ビートルズと第二次世界大戦」は、1976年公開の映画とは別物らしいDVDに、本作とは収録内容が一部異なるサントラCD2枚組という構成だ。本作の仕掛け人たちによる劣悪な“You Never Give Me Your Money”を聞かなくて済むのはいいが、どういう訳かAmbrosiaのシングルヒット曲が収録されていない。SunHero的には、お勧めできない代物だ。

最後に、Ambrosiaが2014年のツアーで披露したライブ映像を発見!!

残念ながら、オリジナル・メンバー4人のうち、David Packだけは不参加です。
posted by SunHero at 01:36| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | CD紹介(欧米) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/449572971

この記事へのトラックバック
©Entertainment Weblodge SunHero All rights reserved (except where noted)