ミュージカル「わたしは真悟」 プレビュー公演 @KAAT神奈川芸術劇場, December 2, 2016

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楳図かずおと言えば、SunHeroが真っ先に思い付くのは、アニメ映画化もされた「まことちゃん」や、大林宣彦監督が実写映画化した「漂流教室」だ。前者のようなギャグ漫画や、後者のようなSFっぽい作品は、どちらかというと亜流の作品で、楳図かずおは日本に於ける恐怖漫画の第一人者だ。実際、「漂流教室」の原作は、もっとオドロオドロしい画風で、映画が先だったSunHeroは数ページ立ち読みして嫌になった。(笑)

1995年に長年の執筆活動の無理が祟って、腱鞘炎が悪化したのを機に休筆してしまったが、サービス精神溢れるキャラが好感を呼び、マルチな活動を展開している。その一端が、2014年に公開された映画「マザー」で、自ら監督・脚本を手掛けた。21世紀になって元々は漫画家である事を知らない人が増えた中、改めて功績を振り返るかのように、2005年に「楳図かずお恐怖劇場」という6作品からなる映画シリーズが公開された。

そして、昨年、ついに楳図かずお作品は舞台に進出した。それが、ミュージカル「わたしは真悟」だ。原作はビッグコミックスピリッツに1982年から1986年まで連載された同名漫画で、オドロオドロしさよりも情報ネットワーク社会を予言したかのようなSF作品だ。「まことちゃん」同様、主人公は子供だが、その純粋さから工業用工作機械が意思を持ち、自らを「真悟」と名乗り、言葉を教えてくれた子供達を助けようと奮闘する余り、世界中を混乱に陥れてしまう。

主役の小学生二人を演じるのは、少年=近藤悟役が門脇麦、少女=山本真鈴役は高畑充希だ。だが、本当の主役は、やはり「真悟」と言えよう。実際、黒子が操る工業用ロボットの「意識の象徴」として、成河(ソンハ)が舞台を縦横無尽に動き回る。非常に柔軟な身体を駆使した様は、正に「実体のない意識」の具現化だ。

門脇麦高畑充希成河

まもなく東京公演が開幕するが、SunHeroは一足先に、KAAT神奈川芸術劇場で2日間だけ上演されたプレビューを観る機会に恵まれた。12月2日は文字通りの初演で、SunHeroの一列前のド真ん中の席で、ナント楳図かずおと演出・振付のフィリップ・ドゥクフレが見守っていた。

ユニークな舞台構成で、上手(舞台に向かって右側)の袖には、音楽を担当したトウヤマタケオとOpen Reel Ensembleの面々がいて、物語の進行に一役かっていた。テープ操作の場合はDJとは呼ばないと思うが、アナログが再評価されてきた今日、スクラッチや逆再生をテープで見せてくれるのも、見物の一つだ。

高畑充希はミュージカル出身だから、歌も踊りも何も心配していなかったが、門脇麦がソロで歌い踊るシーンは予想以上に圧巻で、客席のあちこちから拍手が起こった。門脇麦の新しい一面が見れて、SunHeroは東京公演千秋楽(1/26)がますます楽しみになった。

横浜2daysの後は、12月中に浜松→富山→京都と巡業して、いよいよ1月8日から新国立劇場 中劇場で、東京ロングラン公演が始まる。後から福袋が付くスペシャル・チケットが発売されたが、幸か不幸かSunHeroが行く日は対象外だった。当日券の発売もあるようなので、ご興味を持たれた方は、ぜひ京王新線・初台駅直結の会場へ。

本公演前なので、これ以上のネタばらしは控えさせて頂きます。

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