Ringo StarrのAll-Star Band Tourは、今回で12回目となるそうだ。だが、来日となると、やっと4回目なんだとか。とにかく、ようやく観に行くことができた。
当初はセカンド・ドラマーに息子のZackを連れていた以外は、ギターからキーボードに至るまで、有名ロック・ミュージシャンが占めていたため、3時間にも及ぶ内容だったらしい。最近はグッと小編成にして、2時間程度で収まるコンパクトなライブになっていた。
今回、All-Star Bandの名に相応しいミュージシャンと言えば、恐らく最多参加と思われるMy Eternal HeroのTodd Rundgrenをはじめ、元SANTANA&元JourneyのGregg Rolie、 TOTOの現役メンバー=Steve Lukather、元Pages&元Mr.MisterのRichard Pageの4人だろう。
サポートには、サックス・プレイヤーとして、今夏はRingoとOlivia Newton-Johnのツアーに参加していたWarren Hamと、セカンド・ドラマーでGregg Bissonetteが同行していた。記憶が正しければ、Warren HamはOlivia Newton-Johnの来日公演にも同行していて、映画「グリース」でJohn Travoltaとデュエットした曲で、シンガーとしても活躍していた人だったと思う。
とにかく、Ringo Starrは身の程をよくわきまえた英国紳士で、Paul McCartneyのように東京ドームみたいな巨大会場ではなく、2,000人クラスの会場や時にはライブハウスでやるから有難い。例によって、UDOは日曜日の公演を追加と称して、後からチケット発売を行なった。会場がNHKホールだったので、見向きもしなかった。
何しろ、直接UDOの先行販売に申し込んだのに、日本公演最終日を希望したのが失敗だったのか、オーチャード・ホールで初めて3階席になってしまった。NHKホールの3階席よりは、遥かにステージが近くに感じられるし、音響も良い。おまけに、コイン・パーキングからも近いとあって、今回ばかりはUDOお得意のチケット販売戦術にも腹が立たなかった。(本当だよ!!)
しかし、噂通りアンコール無しでキッチリ2時間という内容には、物足りなさを感じずにはいられなかった。Ringoには、まだまだヒット曲があるし、シングルにならなかったとは言え、ビートルズの他のメンバーから贈られた曲だってある。絶対ライブ受けすると思う“Oh My My”の代りが、Todd Rundgrenの“Bang The Drum All Day”だったとしたら、本当に残念だ。せめて、最後の2曲は、形だけでもアンコールのように見せて欲しかった。
まあ、それ以外にも、色々期待(or 予想)していたことがあったので、十分楽しめた。例えば、Gregg Rolieの場合、Journey時代の曲をやるかどうかとか、Steve Lukatherの場合、Bobby Kimballのボーカル・パートはどう誤魔化すのか(笑)とか、Todd Rundgrenは“I Saw The Light”と“Hello, It's Me”を両方ともやるだろうかとかだ。
とりわけRichard Pageの場合は、Mr.Misterのヒット曲しかやらないだろうと、高を括っていたら、超度マイナーな曲に拍子抜けした。自作曲なんだろうけど、PagesやMr.Misterの、どのアルバムにも収録されていなかった。潔く大ヒット・アルバム“Welcome To The Real World”からヒット3曲全部やれば、観客のトイレタイムにはされなかったと思う。(それとも、そういうつもりだったのか?)
その後調べたところ、名古屋公演以外は全て同じセットリストだった。ナントMr.Misterの初ヒット“Broken Wings”がオミットされたそうだ。この日、Mr.Pageに何かあったのだろうか?最終日も、序盤の“Kyrie”はまずまずだったが、終盤の“Broken Wings”では、聞かせ処の高音域パートが、全く冴えない歌唱だった。
一方、Gregg Rolieは無難に3曲共、SANTANA時代の楽曲だった。Carlos Santanaとの共演経験もあるSteve Lukatherが、Carlos張りの見事なギター・プレイを披露した。1曲くらいToddにも弾かせてあげれば良いのに・・・・と思ったが、Toddには「叩く」役目もあったので、マルチな一面をチラ見せして、存在感をアピールしていた感じだ。
そうそう、Toddがギターを置いて、Warren Hamの所のキーボードを弾き始めた時は、「えっ!マジっ?」と思った。最初の一小節くらいは弾いたのかな?今や自身のライブでは、ギターとタブレットしか演奏しないToddが、キーボードに触れただけでも仰天だった。
曲はもちろんUTOPIA名義で発表された“Love Is The Answer(愛こそ証)”だ。当然ながら、SunHeroはコーラス・パートをちゃんと歌いましたよ。だって、‘Love one another’の繰り返しだもん。AOR好きな洋楽ファンには、England Dan & John Ford Coleyがカバーして、全米TOP10ヒットになったのは、ご存知と思います。何とタイミングの良いことか、それが収録されたアルバムが、日本でも再発されます。
それにしても、一番の難問だったBobby Kimballの代役が、Warren HamとRichard Pageだったとは!その分、Lukatherはリード・ギターで頑張っていた訳だけど、“Broken Wings”の歌唱が正にbrokenになってしまうくらいなら、全部Hamさんに歌ってもらうべきだったと思います。
もちろん、主役のRingoの曲だって、“Yellow Submarine”、“With A Little Help From My Friends”など、会場中が大合唱の盛り上がりでした。でも、なぜラストにあの曲を持って来たのか?観客の大合唱が続く中、Ringoはサッサと一旦退場。演奏終了後Ringoも加わって、ミュージシャン全員が最前列に並んで、一斉におじぎをしておしまい。ホント呆気ない幕切れでした。
<<余談>>
最終日の特典だったのか、本来ならアンコールに相当するラスト2曲に、元Megadethの・・・・と紹介すると、かえって誰だか分らなくなりそうなほど、今や日本でミュージシャン以外にも、音楽番組の司会や役者としても活躍しているMarty Friedmanが、飛び入り参加した。Ringoによるメンバー紹介は済んでいたとは言え、改めて達者な日本語でMartyにメンバー紹介をやらせたら、オモロいことになったかも?
All-Starr Band 2016 (Left to Right): Richard Page(bass), Todd Rundgren(guitar, percussion), Gregg Bissonette(drums), Warren Ham(Saxophones, Keyboards, Percussion), Steve Lukather(guitar), Ringo Starr(drums, keyboards) & Gregg Rolie(Keyboards)
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