
しかも、前作の舞台挨拶で、福田雄一監督はPG12扱いになってしまった事を悔しがっていたが、今作はどう映倫を納得させたのか、年齢制限ナシになった。「クレヨンしんちゃん」が際どい下品さでもPG12にはならないのだから、アレを研究して審査をクリアできたのかもしれない。そもそも主役が色丞狂介(色情狂?)だし、宿敵は大金玉男(解説不要でしょ?)だ。原作者・あんど慶周の発想が、元々「クレヨンしんちゃん」的だ。
さらに、本家スパイダーマンが樹脂製の蜘蛛の糸を縦横無尽に操るように、変態仮面は縄を巧みに使いこなす。瞬時に敵を縛り上げてしまう縛り方は、映画を見ずとも察しが付くだろう。そして、監督自らスパイダーマンのパロディーになってしまった事を認めていたが、今回は開き直ってニューヨークの高層ビル街を舞台に、パロディーを見せてくれる。
縄だとターザンのようにも見えるが、どうやら全部CGらしい。潤沢な予算を得ても、ニューヨークまでロケに行くよりは、CGの方が出費も抑えられるのだろう。この時戦う相手が、まさかのキャスティングに、まさかの衣装(?)で唖然とした。新キャストの中でも、柳楽優弥のそこまでやるかという熱演には爆笑した。
その他の新キャラでは、前作で安田顕が演じた謎の高校教師に代って、狂介と愛子ちゃんが進学した大学に、新たに赴任してきたセクシーな女教授役の水崎綾女(みさき あやめ)が好演している。初日から狂介に猛アプローチして、自宅へ招いて手料理を振る舞う。そこへ突然昔の彼氏が乱入してきて、咄嗟に助教授のパンティーを手にしてしまう。それが狂介に仕掛けられた罠だったとは、観客も気付かないだろう。
水崎綾女はKIRI-「職業・殺し屋。」外伝-にも出演していたが、SunHero未見の「赤×ピンク」ではSMの女王様役だったそうだ。「変態仮面」シリーズには既に狂介の母親にして、現役のSMの女王として、片瀬那奈が前作を凌ぐ役作りで続投している。両者の対決シーンとかあったら、もっと面白かったかもしれない。
副題の「アブノーマル・クライシス」は、予告編をご覧になった方々には説明不要でしょう。ある日突然、大学の女子更衣室からパンティーが消える事件が起きる。さらには、着用中のパンティーまでが、何かに強力に引き寄せられるように脱がされる。正義感の強い狂介は、その女学生の窮状を救おうとするが、愛子ちゃんに目撃され、誤解されてしまう。
やがて、日本中の使用済みパンティーが宙を舞い、何処かへ飛び去ってしまう。一方で、デパートやスーパーの女性下着売り場から、パンティーが強奪される事件が多発する。使用済みパンティーがなければ、変態仮面に変身できないという弱点を突いた強引な手口に、前作で大爆発と共に死んだと思われていた大金玉男の存在がチラつく。
本作でのムロツヨシの登場シーンにも大爆笑だったが、同時に前作の大爆発シーンが脳裏に蘇った。あれが、まさかの続編をほのめかす暗示だったとは!変態仮面への復讐の執念だけで、生き残ったという訳だ。
それにしても、主演の鈴木亮平、ヒロイン役の清水富美加、悪役のムロツヨシは、前作の後、次々に朝ドラで注目された。安田顕に至っては、先日初主演映画が公開された。逆に、朝ドラで本格復帰した柳楽優弥が、今作の二面性のある役柄で、存在感を見せ付けていた。
朝ドラと言えば、もう一人いた。「あまちゃん」の皆川猿時だ。前作の安田顕に匹敵する変態振りが、恐ろしいほどキマッていた。さらに、TMネットワークの木根尚登や佐藤仁美までが登場する。そういう意味でも、「HK/変態仮面」シリーズは侮れない。
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SunHero
ふじき78