2016年03月20日

最愛の子 [親愛的 (英:Dearest)] (2014中国・香港)

映画comの紹介記事へまたまた「映画好きパパ」さんのブログで知った映画です。日本でも「レッドクリフ」で広く知られるようになったヴィッキー・チャオ(趙薇=チャオ・ウェイ)の主演映画「最愛の子」です。偶然なんでしょうが、「映画好きパパ」さんが取り上げていた「ビューティー・インサイド」と同じく、主演のヴィッキーはなかなか登場しません。山村で貧しいながらも、夫が誘拐してきた子供を実子として育てる女性役だからです。従って、前半(というか、序盤)は、3歳の男児を誘拐された元夫婦を中心に、物語が進行します。

中国ではこうした幼児誘拐が横行していて、その特別なケースを基にしたピーター・チャン監督作品です。中国の「ひとりっ子政策」がもたらした歪みに切り込んだ訳ですが、政府の横槍が入らなかったのは、それだけ日常的に起きている深刻な事件だという証でしょう。ほとんどのケースでは誘拐された子供の行方は何年経っても不明で、この映画のように居所が分かるのは希だそうです。そして、それが新たな悲劇を生むという、何ともやりきれない映画でした。

誘拐された側も、3歳の男の子がいながら離婚していて、どうやら親権は父親にあるようです。母親は頻繁に息子に会いに来ているようでしたが、裕福な男性と再婚したおかげで、高級外国車でやって来ます。同居する父親は息子を溺愛していますが、店主が互いに助け合いながら生計を立てているような寂れた商店街で暮らしています。

ある日、息子を元亭主に返した後、クルマで帰る途中、ミラー越しに息子が後を追い掛けてくるのに気付きます。でも、親権が自分には無い以上、きっと未練を断ち切る思いで走り去っていきます。ところが、これが誘拐のキッカケになってしまいました。

元夫婦は、それぞれに子供の手掛かりを求めます。特に父親の方は、形振り構わず街頭で必死に情報提供を呼びかけたりします。ところが、偽情報を提供する謝礼金詐欺まで横行していて、下手をすると大金だけで無く、自分の命まで奪われかねない。映画の中でも、詐欺グループや「泥棒だ!誰か捕まえてくれ!」という言葉を鵜呑みにした一般人にまで追い掛けられて、橋の上で追い詰められると、大金の入ったバッグを抱きかかえたまま川に飛び込んで、何とか難を逃れます。

やがて、子供がさらわれた親たちの会に参加し、ついに子供の手掛かりを得ます。まるで誘拐するかの如き強引な方法で我が子を奪還しますが、6歳になった息子は実の両親を忘れていました。誘拐犯の家庭には女児も誘拐されてきていて、二人の子供は実の兄妹として育てられていました。ようやく、ヴィッキーの出番です。

事件が明るみに出ると、男児は実父の許へ連れ戻され、女児の方は施設に入れられ、誘拐犯の妻は逮捕されてしまいます。実行犯では無かった上、病死した夫からは孤児を引き取ったと聞かされていたため、育ての母は釈放されます。どうしても二人の子供を取り戻したくて、遠方の都市へ出向きます。

娘(?)が居る施設を捜し出して訪れるが、会わせてもらえるはずも無く、同郷の弁護士を訪ねても、相手にされません。成り行きで親しくなった別の弁護士が親身になってくれて、施設の女児を養女に迎えたいと申し出た男児の実母を相手に訴訟を起こします。

映画は意外な事実が明らかになったところで終わります。その時のヴィッキーの表情が、何とも言えません。どう解釈するのが妥当なのか、二度三度見ても、結論は出せそうに無い感じでした。宣伝文句ではノーメイクで役に挑んだとありますが、山村で野良仕事に明け暮れていれば、都会へ出てきても化粧気が無いのは当り前ですが、逆にそう見えるようにメイクしていたのは明らかです。

「レッドクリフ」の時だって、女戦士然とした日焼けした野生児のようでしたよね?えっ!覚えてない?しょうがないなぁ~。つまり、リン・チーリンに目を奪われてしまったんですね。じゃあ、後編であのまま裸になっちゃうのかな?ってシーンも覚えて無いんだね。

ヴィッキーはねぇ、母校北京電影学院に再度入学して演出を学び、卒業制作と言われる作品「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」(2013)で監督デビューしてるんだよ。2014年9月に日本でも公開されたようだけど、SunHeroは全く知らなかったんで、見事に見逃した。けど、前年に発売されたサントラ盤は買いました。モチロン、中国盤でね。だって、主題歌をフェイ・ウォンが歌っていたから。

さて、中国は規制を緩和して、「ふたりっ子政策」に切り換えたけど、前の政策の時の2人目以降と同様に、3人目以降の子供には戸籍が与えられないようです。そういう子供達が誘拐されたり密かに売買されて、子供の出来ない夫婦に実子として引き取られたりしているらしい。中国の極端な政策は、この映画だけでは描き切れないほど、沢山の問題を後生に残してしまったようです。

都市部を中心に中国共産党への露骨な不満表明が行なわれるようになっていますが、実際には貧しい山間地でも共産党の指導力は低下しているという話も見聞きしています。改革開放路線で個人資産の保有を認めたことで、貧富の差も極端に広がっている上、無謀な産児制限で日本より深刻な高齢化社会が目前に迫っているそうです。

昭和30年代に日本でも公害が深刻な社会問題になったというのに、隣国の教訓を学ばない上、過度の人口抑制が様々な犯罪を生み、貧富の差も広がるばかり。そんな国家の船頭である共産党の求心力・統(党?)率力も弱まって来ていると分析する専門家もいる昨今、現体制の崩壊も秒読みに入っているんじゃ無いだろうか?

そうなったら、ロシアがそうだったように、今以上に国内は混乱すると思うが、将棋倒し的に某隣国も後ろ盾を失って、物騒な名前の作戦が実行しやすくなるんじゃ無いだろうか?「売り家と唐様で書く三代目」のことわざじゃないが、お孫さんはマゴつくことなく破滅にマッシグラ。中国共産党の一党独裁体制の崩壊よりも、北の国から先に自滅しそうな気もします。

ホント、色々考えさせられた映画でした。そして、富豪と結婚して一児の母になっても、ますます意欲的なヴィッキー・チャオから目が離せない・・・・んだけど、中国語の公式サイトは翻訳ソフトを使うと余計意味が分らなくなるし。一体どうしたらいいの?

そうそう、3歳の息子を溺愛していて、誘拐されてからは危険な目に遭いながらも、必死で捜す父親役は、「西遊記 はじまりのはじまり」で孫悟空を演じていたホアン・ポーだったんですね。まあ、あの映画もこの映画も、女優さん目当てで見に行ってるので、どうもすみません。
posted by SunHero at 19:58| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(2) | 外国映画鑑賞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ヴィッキー・チャオのメイクと言えば「少林サッカー」のカマ・メイクしか思いだせない。あれと比べればどんなメイクでもノーメイクと言っていいと思います。「西遊記 はじまりのはじまり」のホアン・ボーも猿だけにメイクが濃かったという。あれに比べれば今回はノー・メイクでしょう。……メイク濃い監督チャウ・シンチー
Posted by ふじき78 at 2016年09月22日 08:38
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最愛の子
Excerpt:  中国で社会問題となっている幼児誘拐について、誘拐された親、誘拐されたと知らずに育てた親、子供当人など多面的な視点で描いた作品。それぞれの気持ちがみているこちらの心をえぐるようで、早くも今年ベスト10..
Weblog: 映画好きパパの鑑賞日記
Tracked: 2016-03-21 21:50

「最愛の子」
Excerpt: 力作。というか、鑑賞するのに力が入りまくる。中国で、20万人の子供達が誘拐されて行方不明になっているという。正にその事を描いた作品。ひとりっ子政策や都市と地方の生活形態、貧富の格差などの、中国が抱えた..
Weblog: ここなつ映画レビュー
Tracked: 2016-06-14 23:51
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