2016年03月04日

ビューティー・インサイド [The Beauty Inside] (2015韓国)

映画comの紹介記事へ日本で韓流ドラマがまだまだ隆盛だった2011年、昔の名前に戻ったばかりの渋谷公会堂へわざわざ見に行ったのが、本作の主演女優=ハン・ヒョジュでした。当時は現代コメディの「華麗なる遺産」と歴史物語の「トンイ」が相次いで放映されて、韓国の女優では注目度No.1でした。そこで企画されたのが、渋谷公会堂でのファン・ミーティングでした。

当時のBoAのコンサート・チケット代が8,400円、Daryl Hall & John Oatesが9,500円だったのに、彼女のチケット代は9,800円もしました。それでも2階席まで満員の盛況振りでしたが、丁度イベントの開催が発表された頃、某俳優のつぶやきに端を発した韓流ドラマ・バッシングが、某TV局に対するデモ活動にまで発展し、韓流ドラマのみならず韓国映画までが、その煽りを食らってしまいました。

元々日本に於けるブームとは異なる切り口から、韓国の芸能界に興味を持ったSunHeroは、チケット代に見合わないイベントに行ったことを後悔し、ハン・ヒョジュの情報がなかなか得られなくなったため、ほとんど忘れ掛けていた存在となっていました。実際には、2012年には「ただ君だけ」、2013年には「王になった男」、2014年にはナント「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」と「監視者たち」と2本も、日本でコンスタントに公開されていたんですね。不覚でした。深く反省してます。

だからこそ、偶然「映画好きパパ」さんがこの映画を取り上げているのを見つけて、俄然見たくなりました。幸いなことに、ヒューマントラストシネマ渋谷では、まだ上映中だったので、系列の別劇場でTCGの会員サービスに再入会した上で、「ビューティー・インサイド」を無事お得に見ることが出来ました。「映画好きパパ」さん、本当にありがとうございました。

見に行くまでの数日間に、予習のつもりであれこれ検索していたら、なぜか東芝のdynabookのサイトがヒットしました。訪れてみてビックリ!なぜ映画の原題がハングル表記ではなく、英語で「The Beauty Inside」だったのか?一瞬にして謎が解けたからです。(後で確認したら、映画公式サイトでも触れていました。)

オリジナル作品は、インターネット上で世界同時公開されるソーシャル・フィルムとして制作されたハリウッド・ムービーだったのです。しかも、Facebookを介して、世界中の視聴者が物語に参加できるんだそうです。そのスポンサーが、インテルと東芝だったという訳です。

40分余りの原作映画は、2013年にカンヌ国際広告祭でグランプリを受賞し、韓国CM界の気鋭ヴィジュアル・クリエイター=ペク監督によって長編劇場版が撮られることになったそうです。最近は韓国映画の日本公開が随分早くなったもので、昨年8月に韓国で公開された作品が、今年1月にはもう日本で見れるんですね。

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かつてエディ・マーフィーが一人九役を演じた「ナッティ・プロフェッサー2 クランプ家の面々」(2000)という映画ありましたが、本作では一体何人で一役をこなしたのでしょうか?というのも、青年ウジン君は、18歳の時に発症して以来、毎日目が覚めると、容姿が全くの別人に変わっているという特異体質に苛まれ、唯二人の理解者が実母(ムン・スク)と親友のサンベク(イ・ドンフィ)でした。解説によれば、写真だけの出演も含めて、123人だそうです。(ネタバレ!そのうちの一人を上野樹里が演じています)

とにかく、老若男女どころか人種も問わないので、体格も毎日変わります。だから、朝の日課と言えば、その日の姿にふさわしい服や靴を選ぶこと。当然、女性用の靴やアクセサリーはモチロン、ランジェリーまで揃えなければならず、姿は女性でも、実態は男性ゆえ、女性専門店に入るにも、相当の勇気が必要だった模様。その上、あろうことか、若くて美しい女性の日には、サンベクに一回でいいからやらせてくれと、露骨に言い寄られる始末。

そんなウジン君は家具職人として非凡な才能を発揮し、サンベクの協力を得て、オーダーメイドの家具ブランドを起業します。二人の役割分担は、説明するまでもないでしょう。注文はインターネットで受け付け、注文者には具体的な要望だけでなく、その家具を実際に使う人の背格好まで詳細に入力してもらうので、高くて納品までに時間は掛かるけど、たちまち人気ブランドになります。

ある日、アンティーク家具専門店を訪れたウジンは、一人の店員=ホン・イス(ハン・ヒョジュ)に心を奪われます。それから毎日のように彼女の接客で家具を買うようになりますが、ホン・イスにとっては常に初めて来店した客でしかありません。募る想いを抑えきれなくなったウジンは、イケメンの姿の日に彼女を食事に誘うことに成功します。翌日の昼食の約束も取り付けますが、そうなると一睡も出来なくなります。

一体何日徹夜したのか分りませんが、ホン・イスと別れた後、電車の中でついに寝入ってしまいます。終着駅で駅員に起こされたウジンは、変わり果てた姿に愕然とします。それでも、翌朝、待合せ場所に行きますが、彼女が気付くはずもなく、彼も声を掛けることが出来ず、離れた所から見つめるしかありませんでした。

どうしても諦めきれないウジンは、ついに彼女を自分の工房に招き、自分の素性を明かします。戸惑いながらも彼の誠実さに惹かれて、彼女も心を開くようになるのですが、これが彼女にトンデモナイ災いをもたらします。苦渋の決断をした彼は、彼女の許を去ってしまいます。さて、結末や如何に?

序盤はウジンの多相人格(とでも呼んだらいいのでしょうか?)がメインに描かれているため、明らかに彼が主人公で、ハン・ヒョジュはなかなか登場しません。でも、後半はそんな彼氏と付き合うようになって、周囲の誤解と冷たい視線に苦悩するホン・イスがメインになります。ここからが主演女優=ハン・ヒョジュの魅力炸裂です。前半のコメディ調から一転、後半は切ないラブ・ストーリーです。

こういう物語は、重箱の隅を突くような視点で見たり、ましてや理詰めで見たりしてはいけません。ウジンの多相人格が先天性の症状である事が、途中で明らかになりますが、これは果たして病気なのか?なんて考え出したら、映画に集中できなくなりませんか?

生物学的見地からも、本当に男性なのか?という疑問が湧くでしょう。何しろ、老女が翌日には少年になっていたり、昨日の美男子が今日は醜男に変身していたり、さらに黒人だったり欧米人だったりすると、性別も人種も実年齢さえも怪しく思えてきます。そんな相手と結婚したら、子作りだってままならないだろうし、子供が生まれたら、新たな問題が山積するのは必至でしょう。

そんな極端すぎる変貌振りこそが、本作のテーマ「内なる美しさ」を浮き彫りにしているのですが、それって「エレファント・マン」に通じるものですよね?ところが、SunHeroはそんなことすら、どうでもよくなってしまいました。例えるなら「アイツら、やっぱり、プロミスだー!」って感じですかね?

「春のワルツ」の韓国放映から10年、演技力にますます磨きが掛かって、一層魅力的な女性になっていたハン・ヒョジュに再会して、惚れ直してしまいました。
posted by SunHero at 23:58| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 外国映画鑑賞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イス役のハン・ヒョジュは美しかったですね。

男女境なしってのはきついけど、容姿が変わらなかった子供時代が男なので、ベースは男なのだと思います。まあ、人間で収まっているならいいでしょ。犬とか猿とか人間以外の物に変わってしまうと、もう普通に生活できなくなるから。
Posted by ふじき78 at 2016年09月22日 08:24
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ビューティー・インサイド
Excerpt:  目覚める度に姿が変わる男を主人公にした奇想天外のラブストーリー。123人1役というのは、映画史に残るかもしれません。これほどまで、ハッピーエンドになってほしいと思えたラブストーリーは初めてでした。 ..
Weblog: 映画好きパパの鑑賞日記
Tracked: 2016-03-07 06:51
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