Slow LIVE '15 in 池上本門寺 (後編~3rd Day "Back to the Street-POP"~)

天気予報通りの雨模様の中、20年前に買って、19年前のSTINGのライブへ行く時に大活躍した、SANYOのレインコートを持って、“Slow LIVE”の3日目に出掛けた。ほとんどワイパーを使わなくても運転はできたが、会場に着くと、ショルダーバックを肩から提げた上から、レインコートを着た。フードでもたついていたら、またもやオープニング・アクトを見そびれた。

会場内は「傘禁止」のため、入場口周辺は持参したレインコートやポンチョを着る客で混雑していた。少々の雨なら濡れても構わないという覚悟で臨んだ客も、主催者ブースでビニールコートを買い始めていた。SunHeroも入場口のテントを抜けると、フードを被った。昨日の座席は、雨水が溜るほどでは無かったが、すっかり濡れていた。その後、「雨天決行・荒天中止」のボーダーラインを行き来するような状況になるとは、思いもしなかった。

レインコートのフードには「ツバ」が付いていないので、ナイロン製のベースボールキャップを被っていくつもりだったが、忘れてきた事に気付いたのは、着席してからだった。雨足が強くなってきて、メガネに水滴が着くようになったからだ。これ以上酷くならない事を願いながら、ステージの演奏に耳を傾けていたが、paris matchが雨の止むことを願って歌った曲では、逆に雨足が強くなってしまった。だが、それも序の口に過ぎなかった。

出演者は以下の通り。女性ボーカリストがズラリと揃った。これで“Street-POP”は不相応だろう。少なくとも、paris match、野宮真貴、ORIGINAL LOVEといったメンツから連想されるのは、1990年代の「渋谷系サウンド」だ。原田知世もジャズのスタンダードを中心としたカバー・アルバム「恋愛小説」のツアーの延長のような選曲で、フォーキーなサウンドながらも洗練された音楽を聴かせてくれた。

SunHeroなら、例えば“Urban Pops”とか、いっそ“Back on the Shibuya Streets”と付けただろう。大田区池上で渋谷?このミスマッチ感も悪くないと言いたいところだが、強弱を繰り返しながら、クライマックスへ向かって徐々に強くなっていく雨が、せっかくのムードを台無しにしてくれた。土砂降りの中、最後まで付き合ってくれた観客の気持ちを代弁するかのように、田島貴男がステージ前面へ出てきて一緒にずぶ濡れになってくれた。

    Slow LIVE '15 in 池上本門寺
    Sept.6 (3rd Day):“Back to the Street-POP”

  1. 14:30~ 杉恵ゆりか (Opening Act)
  2. 15:00~ 笹川美和
  3. 15:45~ paris match
  4. 16:40~ が〜まるちょば
  5. 17:25~ 野宮真貴
  6. 18:20~ 原田知世
  7. 19:15~ KIRINJI
  8. 20:10~ ORIGINAL LOVE (アコースティックセット)

女だらけの中、最も異彩を放っていたのは、やはりパフォーマンス・コンビ=が〜まるちょばだろう。場所柄カンパニーのメンバーを率いての出演だと思っていたら、二人きりの出演だったそうだ。音楽イベントを意識したパントマイムで、観客を大いに沸かせていたようだが、この時が一番小雨だった。客席後方のフード・ブース周辺は人混みとぬかるみで、どの店で軽食を買おうか、じっくり見て回れる状況では無かった。

一旦場外へ出て、とりあえず池上駅の方へ歩いて行った。駅まで行けば、ファーストフード店などもあるが、雨水をタップリ吸い、泥だらけのスニーカーが重たくて、参道沿いのコンビニで飲食物を買い、境内の雨宿りできる場所で腹ごしらえした。席へ戻ると、もう浴衣姿の野宮真貴がステージにスタンバイしていて、1曲目が始まるところだった。

さて、少し時間を遡って、順番に各出演者の印象を載せておこう。

笹川美和は、実は今回初めてキチンと聞いた。力強い歌声は、イベント初っ端に相応しい。メジャー・デビューしているのに、出演順はトップというのが、アーティストとしての微妙なスタンスを窺わせた。ブレイクするには、歌唱力以外の何かが必要なようだ。

paris matchは、カバー曲の選曲のセンスが素晴らしい。渋谷系が過去のものになりつつあった2000年のデビューで、地道に活動を続けて15周年を迎えた。当初は洋楽のカバーOnlyだったので、渋谷系というよりは、ヴィレッジ・ヴァンガード系と呼んだ方が相応しいだろう。VVがプッシュして世に出た羊毛とおはなや土岐麻子と同様に、このイベントとの関わりも古い。

が~まるちょばのお二人には、ごめんなさい。<(_ _)>

野宮真貴は、SunHeroが知っている数少ないピチカート・ファイブの楽曲「東京は夜の七時」でスタート。尾崎亜美や小沢健二のカバーを交えた選曲に、器の大きさを感じた。最後に演奏した「スウィート・ソウル・レヴュー」の歌詞~♪神様、パレードに雨なんて降らせないで♪~というフレーズも虚しく、雨は降り続けた。

原田知世は、無愛想なのか、緊張していたのか、淡々とセットリストをこなす感じだった。Nora Jonesにグラミーをもたらした“Don't Know Why”は、バツイチ40代であることを忘れさせる可憐な衣装・佇まいで歌われると、年甲斐も無くドギマギしてしう。CDでは作者のJesse Harrisが出しゃばってデュエットになってしまったが、JHが歌っていた~♪I would die in ecstasy♪~も、知世さん自身が歌うと、妄想が膨らんで堪らない。

KIRINJIは、かつて「キリンジ」だったが、お弟さんの脱退を機に、兄弟ユニットからバンド編成へ体制を一新し、グループ名の表記も変えたのだそうだ。キリンジ⇒麒麟児の連想が邪魔をして、都会的で洗練されたポップスを聴かせる連中とは知らずにいた。

来年で結成20周年のようだが、男女混合編成になった新生KIRINJIとしては、昨年のツアーでようやくバンドにまとまりが出てきたそうだ。何とメンバーには、コトリンゴも加わっていた。色んなバンドのライブに助っ人として参加しながら、ソロ活動を展開していたが、今後は二足の草鞋で行くのだろうか?

田島貴男と仲間達という編成で活動し続けているORIGINAL LOVEは、ピチカートやオザケンと共に1990年代の渋谷系を牽引してきた張本人だ。昨年は佐野元春&The Hobo King Bandのひとつ前だったが、今年は最終日=3日目のテーマに相応しくトリを務めた。

イベントのクライマックスを盛り下げるような土砂降りの中、観客を気遣って「この辺で止めとく?」みたいな発言も飛び出したが、逆に観客の自棄っぱちな気持ちに火を点け、大いに盛り上がった。アンコールという形は取らずに、アンコール曲まで一気に駆け抜けたステージだった。

さしものSANYOレインコートも、断続的な豪雨には勝てず、KIRINJIあたりから役立たず。終演後パーキングに戻ってコートを脱いでも、運転席は瞬く間に湿っぽくなった。これでは、前日のように帰り道にファミレスで夕食という訳にも行かず、直帰することにした。

調布から中央道に入りたいのに、カーナビは前日の学習経験から、是が非でも首都高を利用するコースばかり。どうにか説得(?)して、環七から世田谷通り経由で調布へ抜けるルートにしたが、幹線道路へ出る前に、まさかの一方通行に出くわした。迂回を余儀なくされて、ルートを外れても、カーナビはお構いなし。

そうこうするうちに、片側一車線ながらバス通りに出た。通り掛かったバスのおかげで、右折すると池上駅方面と分かった。後で調べたら、正に池上通りだった。直進すると環八に出られると分かったので、左折して環七へ向かうことを勧めるカーナビを無視した。

カーナビがようやく言うことを聞くようになったのは、第二京浜を越えてから。世田谷通りに入れば、調布までのルートは、カーナビ無しでも大丈夫だ。調布インターの手前で、先に愛車に食事をさせて、半ば自棄クソで中央道を爆走した。帰宅すると、満天の星空が出迎えてくれた。

欲張って二連荘したから、バチが当ったのだろうか?夜空を見上げながら、独り反省会。だが、思い当たる節などある訳ない。まずは、風邪ひかない内に着替えなくちゃ。とにかく、壮絶なライブでした。

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