Slow LIVE '15 in 池上本門寺 (前編~2nd Day "Blockbusters"~)

例年8月下旬の金・土・日の三日間に開催されていた“Slow Music Slow LIVE”が、今年から9月開催になった。2004年の第1回は7月に2日間の開催だったらしいが、翌年から現在の3日間開催のスタイルになり、真夏の暑さに配慮したのか、開催時期が繰り下がって、ついに9月に突入した。昨年10周年を迎えたのを機会に、今年からイベント名も短縮され、“Slow LIVE”に改められた。

いつも観たいアーティストがバラけるので、最多の日を選んで1日だけ出掛けていたが、今年はついに土日通し券を購入した。発券した時は1枚だったが、当日会場で各日のチケットと引き換えるシステムだった。スタッフの手間を考えれば当然だろうが、2日間とも同じ席だった。もし昨年のような大失態をしでかしていたら、どうなっていたのだろうか?

さて、今回は首都高中央環状線が全線開通したおけげで、中央道を高井戸で下りてから、環八か環七をひたすら南東へ向かうよりも、15分くらいの時短になった。思ったほどの時短にならなかったのは、便利になった反動で、西新宿ジャンクションが渋滞したためだ。

7割のクルマは東北道方面だったので、環状線に入ってからは、どのクルマも首都高とは思えないスピードだ。その流れに乗って、あっという間に五反田ランプだ。無事第二京浜(国道1号線)に入ると、後は本門寺入り口交差点まで一本道だ。

初めて開演時刻に間に合ったが、このイベントでは「オープニング・アクト」(前座)は開演前に出演してしまう。入場口に付いた頃、前座の出番が終わり、池上本門寺の住職(?)による開演の挨拶が始まった。2日目(9月5日土曜日)の出演者は以下の通りだ。

    Slow LIVE '15 in 池上本門寺
    Sept.5 (2nd Day):“Blockbusters”

  1. 14:30~ Rei (Opening Act)
  2. 15:00~ 藤原さくら
  3. 15:45~ THE BOCOS
  4. 16:30~ Predawn
  5. 17:15~ 安藤裕子
  6. 18:10~ LOVE PSYCHEDELICO (プレミアム・アコースティックセット)
  7. 19:05~ 佐野元春 & THE COYOTE BAND
  8. 20:00~ Char

曇天の雲間から時折陽が差すと若干暑くなるが、それ以外は少し肌寒い微風が心地好い、ライブ日和な天候だった。リラックスした雰囲気の中、大人の音楽の楽しみ方はかくあるべしと、しみじみ思った。

藤原さくらさんは、福岡市出身の19歳、新山詩織系のシンガーソングライターだ。自主制作盤をライブ会場で手売りしながら、今年3月にメジャー・デビューを果たしたそうだ。次にブレイクするのは彼女かな?

THE BOCOSは初登場のギター・デュオだが、他の出演者のバック・ミュージシャンも加わって、しみじみと聞かせてくれた。実はメンバーの片割れ=“羊毛さん”こと市川和則さんは、このイベントとは古くから縁のあった「羊毛とおはな」のメンバーだった。今年4月に相方の“千葉はな”さんが、癌のため逝去した。今回の出演は、ホットスタッフ側からの追悼祈念で何かしたいという強い要望に応えたものだそうた。

Predawnは清水美和子(Vo & Gt)さんのソロ・プロジェクトなのだそうだが、ライブでは男性2人を従えたスリー・ピース・バンドの形態を取っていた。2010年に作詞/作曲/演奏/歌唱/録音をすべて一人で行った1st Mini Albumを発表したほど、歌も演奏も凄いのだが、曲間のMCとなると、頭が真っ白になるのか、喋る事を用意してきたらしいのに、毎度支離滅裂だ。今後メジャー・デビューが期待される逸材だ。

安藤裕子ねえやんは、お馴染みのW山本を従えてのアコースティック・セットだ。新譜を携えた春のツアーにも行ったが、確かギターの山本さんは不在だった。単独公演はバンド・サウンドの方がいいと思うが、こういうイベントではこういうスタイルの方が、ピタリとハマる。

単独ライブでは緊張し捲りのねえやんも、観客の声援に度々応えていて、とてもリラックスした気分で歌えたようだ。夕日が本堂の向こう側に隠れると、会場は本堂の影に包まれ、涼風に乗ってねえやんの歌声が心地好く響き渡った。

同じアコースティックでも熱く力強い演奏だったのが、LOVE PSYCHEDELICOだった。日本人離れした洋楽のグルーブに、立ち上がって踊り出す客も居た。デビュー当時には、周りの洋楽ファン仲間が注目していた事もあって、ファースト・アルバムは買ったが、SunHero的には普段本物の洋楽を聞いているのに、邦人の洋楽バンドなんか聞いても意味が無いと思うようになり、疎遠になった。初めてライブを聞いたが、彼等の心身に染み付いた洋楽センスは、やはり素晴らしい。

昨年はThe Hobo King Bandと出演した佐野元春は、今年は新譜の勢いそのままのThe Coyote Bandを率いて登場した。ロックが元来内包してきた反骨精神が、歌詞の一言一言に込められていて、観客の日頃の不満に一気に火を付けた感じだ。最後には総立ちになって、拳を振り上げていた。正に「圧巻」だった。

後ろの席の客などが、元春の後ではCharもやり難いんじゃないか?なんて会話していた。セット・チェンジしステージに、昨年同様のドラムレスのセミ・アコースティックな機材が用意されると、SunHeroも不安になった。昨年と違うのは、ピアノがあったことくらいだ。Dr.Kyonを加えた4ピースでも、若手ミュージシャンをすらりと揃えたCoyote Bandの重厚さには適わないだろうと思ったが、それこそがCharの狙いだったのかもしれない。

アコースティックであんなに音量上げたら、チョットのミスでもすぐバレる。ちょっと怪しかったのは、ピアノの向こうでアコーディオンを奏でていたDr.Kyonくらいのもの。ベースもパーカッションも、Charの一挙一動から目が離せない様子だ。そんなスリリングな状況でも、くつろいだ雰囲気が漂ってくるのは、流石だと思った。

アンコールで「Shinin' You Shinin' Day」でもやるかと言って、観客を喜ばせておいて、歌い出した途端に「ラテンぽくなってダメだ」と止めてしまった。結局、セミ・アコースティックでも迫力のある演奏を聴かせる「Smoky」で締め括った。元春の影が霞みそうな程、貫禄のパフォーマンスだった。

翌日も来るから、早く帰ろうと、来た道を戻る事にしたら、西新宿ジャンクションで往路よりも酷い渋滞に巻き込まれた。渋滞は首都高4号線に入っても続いていて、永福ランプを過ぎてから徐々に緩和されてきた。首都高は利用せずに、調布ICから中央道に入った方が良かったかもしれない。だが、本当の試練は翌日に待ち構えていた。

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