
ところで、Herb Alpertって誰?っていう方、多いと思います。アーティスト名はご存知なくても、曲の方は超有名ですよね。1967年から2008年まで、多少番組名や構成を変えながら続いた、日本放送の深夜ラジオ番組枠「オールナイトニッポン」のテーマ曲がそれです。曲名は "Bittersweet Samba"、アーティスト名はHerb Alpert & The Tijuana Brass (ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス)です。
名前だけは聞いたことがあるとすれば、A&M Recordsの副社長(副会長)として、未だに日本で根強い人気のあるCarpentersを世に送り出したことに関連してだと思います。他にもA&Mと言えば、60年代後半にはSergio Mendes & Brasil '66、1980年前後にはSupertrampやThe Police、80年代にはJanet Jacksonが、レーベルの発展に大いに貢献しました。もちろん、自身も"This Guy's In Love"と"Rise"という全米No.1ヒットを放っています。
大御所プロデューサーのQuincy Jonesも、作曲家・編曲家として独特のメロディー・ラインとサウンドを生み出したBurt Bacharachも、アーティストとしてA&Mに籍を置いていた時期があります。また、CTIやOde Records等の原盤制作レーベルの配給に手を差し伸べ、後者からはCarole KingがA&M自体が成し得なかったような大ヒット名盤“Tapestry”を発表しています。
残念ながら、A&Mは1980年代後半に、経営難によりMOTOWNと共に、Polygram傘下のレーベルとなりました。すなわち、Herb Alpertは、盟友Jerry Mossと共にA&Mのオーナー経営権を手放しました。その後、AlpertとMossは、元々同レーベルの音楽出版会社として設立したAlmo Musicを原盤制作会社として存続させ、音楽創作活動を続けました。
正確な時期は分かりませんが、PolygramがMCAと合併してUniversal Musicとなった後、Herb AlpertはUniversalからA&Mに残した自身の全作品を譲り受け、Shout! Factoryというレーベルを設立して、古い作品のCD化再発を行いました。この一連の再発盤の日本発売は、60~70年代に架けてA&Mの日本での配給(販売)を行っていたキング・レコードが担いました。感慨深く思った人もいたのではないでしょうか?
新レーベルは現在も存続していて、近年もそこからアルバムを発表し続けています。特に2013年の作品 “Steppin' Out” は、第56回グラミー賞の「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」部門で最優秀賞を受賞しました。
48年振りという今回の来日は、Herb Alpert & Lani Hall名義です。Lani Hallは言わずと知れた奥様で、Sergio Mendes & Brasil '66の全米No.1ヒット「Mas Que Nada(マシュ・ケ・ナダ)」のボーカリストです。Herb Alpertと結婚後はA&Mから数枚のソロ・アルバムを発表していて、その中の一枚でTodd Rundgrenの「ハロ-・イッツ・ミー」をカバーしています。
また、今回の来日には、バンドのキーボーディストとしてBill Cantosもやってきます。所謂CCM系のAORが好きな方には懐かしい名前でしょう。先日取り上げたGlen CampbellやEngland Dan & John Ford Coleyと同様に、彼もTodd Rundgrenの「愛こそ証(Love Is The Answer)」をカバーしています。
Carpentersで洋楽に目覚め、Todd大好き!なSunHeroにとっては、これだけの縁があると、とても不思議な気持ちになります。まだ予約もしていないのに、今から非常に楽しみです。
★Herb Alpert & Lani Hall 公演日程★
日時:9/4・9/7 Open 18:00 Start 19:30
9/5・9/6 Open 16:30 Start 18:00
会場:Blue Note TOKYO
予約受付開始:6/13(Sat.) Jam Session会員
6/20(Sat.) 一般予約
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