2014年09月24日

るろうに剣心 「京都大火編」&「伝説の最期編」 (2014日本)

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何も慌てて8月中に「京都大火編」を見に行かなくても良かったなとは思うが、2012年の第一弾から遥かにスケールアップした第二弾は本当に見応えがあった。大抵の映画館では、両編とも上映しているから、上手く調整すれば、続けて観れる。その方がドップリと物語の世界に浸れるだろう。フィクションだというのに、幕末から明治への激動の時代を十分に踏まえた、実にリアリティのある作品に仕上がっていて感心した。

原作漫画やアニメ版は見たことがないが、そんなSunHeroでも2年前の第一作を見ていたから、前編に当たる「京都大火編」と後編に当たる「伝説の最期編」、合わせて4時間半余りの大作を、戸惑うことなく見れたのだろう。序章にしては長編過ぎる作品だったが、入門編として”あれ”を見ていなかったら、この二部作のスピード感には全くついて行けなかっただろう。

例えば、剣心の使っていた刀。漢字で書けば「逆刃刀」だが、耳から入ってきた言葉からSunHeroが連想したのは「酒場刀」。思わず、血に染まった刃を酒でアルコール消毒するシーンを思い浮かべた。すぐに勘違いに気付くとは言え、気付いたら気付いたで、今度は自分の方に刃が向いている刀なんて、相手に力尽くで押し迫られたら、それだけで命取りになってしまう。剣の達人でなければ、扱えない代物だ。だから、一層ハラハラする。

また、これは「京都大火編」さえ見ていれば分かることだが、志々雄真実(藤原竜也)の刃先が火を噴くのも、何の疑問も感じなかった。むしろ、包帯だらけの志々雄は、声だけ藤原竜也だったら、背格好の似たスタントマンで十分じゃん・・・・などと思ったことの方が、ナンセンスだろう。そんなことよりも、あの姿を見ていると、どうしても「バットマン」(1989)でジャック・ニコルソンが演じたジョーカーがオーバーラップしてきて、本当に困った。

さて、時代背景をよく捉えていると思った象徴的な人物が、伊勢谷友介が演じた幕府側の剣豪「四乃森蒼紫」だ。「人斬り抜刀斎」と恐れられた討幕側の剣心を最大のライバルと意識する余り、維新後も幕府の亡霊に取り付かれたように執拗に剣心を追う。剣心のようには柔軟に時代の変化に対応できなかった武士の象徴として、孤軍奮闘する。明治政府への復讐心だけでクーデターを企む志々雄一派とは、全く志の次元が異なるのだから、彼らと組みしないのは当然だ。

明治政府への不満分子を結集して急速に勢力を拡大していった志々雄一派だが、例えるなら秀吉亡き後の豊臣家だ。諸大名にそっぽを向かれ、浪人衆を招き入れて徳川に抵抗しようとした。十人の剣豪が志々雄の下に集まるところなんて、正に「真田十勇士」のコピーだ。そうなると、明治政府に遊郭を閉鎖されて行き場を失った遊女=駒形由美(高橋メアリージュン)は、「茶々」ということになる。

現代で準えるなら、民主党だ。離合集散を繰り返して、見事自民党から政権を奪取したが、党としての綱領もなければ、国民の支持を得たマニフェストすら平気で反故にしてしまう。反自民と反明治政府、大義だけの結束は脆いものだ。志々雄の配下の剣豪が警察に捕まって、全てをあっさり自供してしまうシーンが、それを象徴している。だが、その後の展開から振り返ると、それも志々雄の計画の一部だったのかもしれない。

仮に志々雄一派が明治政府を倒したとして、果たしてどんな社会が築かれただろうか?ヒットラーのような独裁政治になったんじゃないか?と思わせるシーンがちゃんと用意されていて、観客は明治政府の方がまだマシというイメージを植え付けられることになる。ホントによく練られたストーリーだ。

それにしても、「花子とアン」の末妹とは180度イメージの違う役柄だった土屋太鳳。前編で大活躍してたのに、後編では出番が激減して残念というか、勿体無いというか。逆に朝ドラの最終週を見て、現役体育大生=土屋太鳳の渋い演技に驚いた。三代目美里役の金井美樹は18歳で、実母でありながら叔母である’もも’役の土屋太鳳は19歳。二人がしみじみと語り合うシーン、見過ごされがちな名シーンだと思ってます。

そういえば、「るろうに剣心」にも思わず笑ってしまった遊び心がありましたね。剣心の師匠が登場したシーンで、思わず「坂本龍馬だ!」と叫びそうになってしまったのは、SunHeroだけでしょうか?説明不要ですよね!ご丁寧に青木崇高まで出演しているし、キャストが被り過ぎ!!

その他、「47RONIN」や「永遠の0」など、この人が登場すると、思わず見ているこっちも姿勢を正してしまう田中泯、実に楽しそうに剣心と戦う神木隆之介、姉御肌の女医にして剣心を励ます決め台詞がカッコ良かった蒼井優など、まだまだコメントしたい俳優が沢山います。とにかく、面白かったです。
posted by SunHero at 18:36| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | 日本映画鑑賞 | 更新情報をチェックする
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