角松敏生 - THE MOMENT (March 2014)

THE MOMENT (Blu-spec CD 2)/角松敏生オリジナル・アルバムとしては“Citylights Dandy”以来の3年7ヶ月振りとなる“THE MOMENT”がリリースされた。「解凍」後の角松敏生は、トレードマークの都会的なポップスに加えて、日本の祭事に題材を求めたり、映画のサウンドトラックを手掛けたりと、意欲的に新たな分野に取り組んできた。今作は謂わばその集大成的なアルバムと言えよう。

その特徴は、組曲の要素を取り入れながらも、サウンドのベースはあくまでもシティ・ポップスというものだ。自ら「プログレッシブ・ポップ」と呼ぶサウンドは、プログレッシブ・ロックのように緻密でダイナミックな楽器演奏パートが心地好い。時に神秘的だったり、都会の夜を彩るような小粋さがあったり、木立を抜けると突然眼前に白い砂浜と青く澄んだ海が広がるような解放感があったり、一曲の中に多彩な音楽性がブレンドされている。

結構緻密なアレンジが施されていると思うのだが、さらりと流して聞ける親しみ易さは、角松敏生が長年培ってきたポップな要素が散りばめられているからだと思う。そこにキリスト教徒とは違う日本の神事に根差した音楽要素を取り入れた。その源泉は既に「凍結」中の音楽活動だった覆面バンド=AGHARTAに見い出せるが、それを角松敏生の音楽として形にしたのが、2002年の“INCARNATIO”だ。

当時は「らしくない」と揶揄するファンも居たが、そんなファンをも満足させたのが、翌2003年にリリースされた“Summer 4 Rhythm”だ。「凍結」以前の角松サウンドが、腕利きミュージシャンたちとのバンド・サウンドでパワーアップして帰ってきたと、SunHeroも諸手を挙げて歓迎した。余談だが、実はこれが初めて買った角松のアルバムだった。「凍結」以前はレンタルで済ましていたからだ。

本作の二大要素は、この二作でそれぞれがひとつの完成形を成していたと思うが、組曲という形式を採ることによって、見事に融合された。角松敏生は本作で新たな高みに到達したと確信する。

圧巻は、20分を超える大作『The Moment of 4.6 Billion Years~46億年の刹那~』だろう。時間を「瞬間」と「途方もないスパン」で捉えて、ちょっと哲学的な歌詞もユニークだ。他にも、ゴスペル・コーラスとEW&Fのようなホーンをフィーチャーした16分近い『Get Back to the Love』では、宗教色よりもアフリカの大地のような悠久の神秘性を感じさせる壮大さが爽快だ。

どうしてもライブで聞いてみたくなって、TOSHIKI KADOMATSU Performance 2014 “THE MOMENT”に行くことにした。Dsik Garageから先行予約販売の案内メールが来ていたのだが、うっかりスルーしてしまったので、イープラスの先行でチケットを取った。30年を超えるキャリアのあるアーティストのライブ、これが初鑑賞なので、常連ファンに雑じって楽しめるのか、正直ちょっと不安だ。でも、楽しみしている。

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