「グッモーエビアン!」で共演した能年玲奈が「あまちゃん」で大ブレイクして、あれこれゴシップを掘り起こされて可哀想だが、三吉彩花は(事務所の意向で)実生活でも高校進学したばかりの2012年4-5月に初主演映画の撮影が行われたことで、女優として着実に一歩成長した感じだ。・・・・と映画を見る前から確信していた。だから、前売り1,500円で事前に座席を確保できないにも拘らず、わざわざ銀座まで足を運んだ。
沖縄県でありながら、本島から360kmも離れた太平洋の群島のひとつ=南大東島を舞台に、高校進学を契機に島を離れる思春期の子供と家族の絆が、島の風物をふんだんに盛り込んで描かれている。実際に、沖縄本島にいる親戚や兄姉を頼るケース、母親が子供と一緒に島を離れて夫婦別居になるケース、それこそ単身で沖縄本島に渡りアパート暮らしをするケースなど、色々あるそうだ。
せめて北大東島に高校を作ってくれればいいのにと、事情も分からずに無責任な怒りが沸いてきた。だって、せっかく古き良き時代の日本のコミュニティの連携の良さが残っているというのに、高校が無いというだけで家族が崩壊の危機に晒されてしまうのは忍びないからだ。
「旅立ちの島唄~十五の春~」の主人公=仲里優奈の場合は、父=利治(小林 薫)との二人暮らしだ。母=明美(大竹しのぶ)は元々島の出ではなく、優奈の姉=美奈(早織)が進学する際に一緒に本島へ渡ったきりで、兄は県庁に就職し、姉も既に高校を卒業して結婚しているというのに、この二年程は一度も島へ帰って来ていなかった。
優奈が母親と再会したのは、島のPRの一環で少女民謡グループ「ポロジノ娘」のリーダーとして那覇を訪れた時だった。母親が島へ帰って来ないのは、優奈が高校を卒業するまで面倒を見るつもりで本島に留まっているという理由だけではなかった。ショックの余り、母の住むアパートを飛び出した優奈は、「ポロジノ娘」の先輩OGを訪ねるが、部屋から彼氏と出て来るのを目撃して、更にショックを受ける。
一方、南北の大東島の親善競技大会では、北大東島の同学年のスポーツ少年=伊佐健斗(手島隆寛)の存在が気になって仕方ない。どうにか親しくなって一緒の高校に進学することを約束するが、急に健斗から手紙が届かなくなった。電話では埒が明かなかった優奈は、ニーニーと慕う島の漁師に頼んで北大東島へ漁船で渡り、健斗の家庭の事情を知る。
高校の面接を受けるため、優奈と利治は那覇へ行き、久しぶりで家族全員が揃って夕食をした。その席で優奈は「自分は独り暮らししたいから、おかあは島に帰って」と切り出すが、利治の口から両親の離婚が告げられる。
やがて、「ポロジノ娘」の卒業コンサートの日がやってきた。この日のために、優奈は民謡教室で「アバヨーイ」を練習してきた。民謡の師匠から「この歌は泣いて歌ったら価値ないからさ、堪えて歌うんだよ」と諭される。島を離れる娘の決意表明の唄であり、両親への感謝の唄でもあるからだ。
当日、明美がコンサート会場に姿を現した。会場設営の準備を手伝おうとすると、「おまえの居場所はここじゃない」と言われる。楽屋では後輩達をステージに送り出した後、優奈が自分の身支度を始めると、明美がやってきて娘の身支度を整えてやった。果たして優奈は「アバヨーイ」を涙ひとつ見せずに歌えるのか?
島の実情を十分リサーチした上で練り上げられた台本だけに、直球勝負の描き方にはフィクションだと分かっていても完全にストライクを取られてしまった。どう見たってアフレコとは思えない三吉彩花の三線と歌は、やっぱり撮影時に実際の演奏と歌唱を収録したものだった。小林薫や大竹しのぶだけでなく、エキストラで参加していた島民の表情(リアクション)からも、演技を超越した迫真さが立証されていた。
本当にどんな女優になっていくのか楽しみな彩花ちゃんだが、あるインタビューで園子恩監督の作品に出てみたいと抱負を語っていたそうだ。「愛のむき出し」とか「ヒミズ」とか、ちゃんと見た上での話なのだろうか?現在放送中の深夜ドラマ「みんなエスパーだよ」を引き合いに出すまでもなく、アイドルだって容赦ない演技をさせる監督だけに、今はNGだな!と咄嗟に思ってしまう。
SunHero的には、三吉彩花には「桜っ子クラブさくら組」出身の菅野美穂のような女優になってほしいと思っている。最近まで知らなかったが、奇しくも三好彩花もアイドル・グループ「さくら学院」の卒業生なんだそうだ。嫌でも見たり聞いたりしてしまうAKB48系と違って、全くその存在を知らないのだが、「さくら」という言葉が共通しているのは、今回ばかりは意図したオチではない。偶然だったことに、当のSunHeroが驚いている始末だ。
とにかく、今年の夏は「なっちゃん」飲んでキャッチボールして、汗を掻いたらシーブリーズですかね?
締めは真面目に....


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