今頃「王様のブランチ」でLiLiCoにスルーされている頃だと、登壇者の誰かが言っていたが、SunHeroもその場に居たから分からない。とにかく、原作コミックのファンや何かのきっかけで実際にこの映画を観た皆さんの口コミだけが頼りですと、懇願する監督の気持ちはよく分かる。流石に娘と一緒に見に行きたいと思う父親はいないと思うが、小学生以下の息子なら見せてもいいかなと思ってもらえるよう、ひたすらR指定にならないように苦心したそうだ。
その甲斐あって、新宿バルト9で一週間早く先行公開されると、制作側の危惧が要らぬ心配となる盛況振りで、その勢いのまま正式な公開日を迎えた4/13の舞台挨拶は、2回とも満席だったらしい。多くの映画紹介サイトでは、初回上映後の舞台挨拶の模様ばかりがレポートされていたが、SunHeroは敢えて次の回の舞台挨拶付き上映を観た。普段の休日は9時とか10時起きなのに、9時開始の初回上映に間に合う訳ないでしょ。
余裕を以て出掛けたはずだったが、複数の舞台挨拶がかち合った土曜日の新宿バルト9は、三基あるエレベーターでは客を運び切れず、一階に行列が出来ていた。階下のマルイに来た客が一番の被害者か?
ようやく9階ロビーに着くと、2回目の上映の入場が始まっていて、飲み物も買わずに最上階のシアター8を目指した。13階に着いてみると、前の回の舞台挨拶が押しちゃったらしく、シアターから出てきたばかり風の客やマスコミ関係者でごった返していた。
シアター8の入り口ではマスコミ関係者が雑談していた。すぐ脇に居たモギリの兄ちゃんは注意することもなく、思わず「邪魔だよっ!」って怒鳴ってしまった。SunHeroの後、次々に客が入って来た。席に着いたのが上映開始予定時刻。結局、2回目の舞台挨拶は5分くらい遅れて始まった。
登壇者は、主演の鈴木亮平をはじめ、清水富美加、ムロツヨシ、安田顕、福田雄一(監督)、あんど慶周(原作)といった面々だ。これから見る観客に配慮して極力ネタバレを控えたトークになったため、逆に物語の主旨とは関係のない見所ばかりに、関心が向いてしまうことになった。
やはり、紅一点の清水富美加が「変態仮面」を真面目に語ると説得力がある。それに、どういうわけか場内を見渡すと、女性客が結構多い感じだ。20年位前に「週刊少年ジャンプ」に連載されていたというのに、なぜだろうか?この映画のために一年掛けて肉体改造をしたという鈴木亮平のファンが多かったのだろうか?
SMの女王を母に、敏腕刑事を父に持って生まれた主人公=色丞狂介は、両親から受け継いだ正義感と変態性の狭間で悩むヒ弱な高校生。だが、ひと度女性が着用したパンティを被ると、超人的なパワーを発揮する正義の味方=変態仮面に変身する。狂介が通う紅遊高校を狙う大金玉男(ムロツヨシ)が次々に送り込んでくる刺客から学校を守るために戦う。
変身道具と変身後の出で立ちが、正義のヒーローの常識を逸脱しているだけに、20年も前のコミックが実写版で蘇えるなど、誰が予想しただろうか?事の発端は小栗旬の何気ない発言だったそうだ。流石に小栗旬に変態映画を撮らせる訳には行かないという周囲の判断から、脚本協力として関わったことになっている。ちなみに、主演の鈴木亮平は彼の御指名だそうだ。
代って、監督・脚本を務めたのは福田雄一。まだ「こども警察」も上映中だというのに、本作も公開。6月には「俺はまだ本気出してないだけ」(主演:堤真一)の公開も控えている。AKB系ファンなら、昨年の「ミューズの鏡」(TV・映画共)でお馴染みかもしれない。
東映系のティ・ジョイの配給だけあって、岡田義徳、塚本高史、大東俊介など、豪華脇役陣の役ドコロも見物だ。でも、一番強烈だったのは、狂介の母にして現役のSM女王役の片瀬那奈でしょ~。題名と変身道具と変身した後の格好に嫌悪感を抱かなければ、真面目に変態映画に取り組んでいるキャスト・スタッフには感動すら覚えるかもしれません。
残念だったのは、こんなにヒットするとは思っていなかった制作側が、パンフレットを作らなかったことだ。新宿バルト9の売店には、新装の原作本が売られているだけだった。確かに、変身グッズとしてパンティを売る訳にも行かないだろうしね。だから、エレベーターの扉にこんな仕掛け(▼)をしたんでしょうね。女性同士の観客が交互に扉の前で写メ撮ってましたが、シャッターが切れる直前に扉が開いたりして、SunHeroは撮影に苦労しました。
この記事へのコメント
クマネズミ
TBをありがとうございます。
それにしても、「HK」の初日舞台挨拶に行ってこられたというのは素晴らしいですね!
劇場にこもる熱気がSunHeroさんの文章から立ち上ってきます!
クマネズミの方は、そうした混雑があるとわかれば敬遠してしまいますし、まして「変態仮面」というタイトルなのですから!それで、半年経過後DVDを見る仕儀となりました。
それをSunHeroさんはバルト9の大画面でご覧になったわけで、さぞかし堪能されたことでしょう(さらに、パンフレットがあればお宝物になったに違いありません)!
そして、おっしゃるように「一番強烈だったのは、狂介の母にして現役のSM女王役の片瀬那奈」だと思います。色丞狂介誕生までのエピソードは、テンポの早いこの映画の中でも一際アップテンポでもありましたし。
なお、もう一つクマネズミが面白いなと思ったのは戸渡先生と変態仮面との対決、それをどう解釈するか色々議論できそうです。
何にせよ特筆すべき作品であることは間違いないところだと思います。