ちなみに、「夏休み映画三昧DAY」とは、ようやく取れたたった一日の夏休みをどう過ごすか、色々考えた末に思い付いた過ごし方にテーマを付けてみたもの。どこかの映画会社の企画という訳では全く無くて、あくまでも個人的な趣向だ。「三昧」に引っ掛けて、休日の一日に映画を3本見た。鑑賞順だと、「トランスフォーマー」、「サンザシ」、「ハリポタ」となる。昔は日曜日に所謂「名画座」系で旧作3本立てを見たものだが、最近はシネコンのおかげで、ひとつのロードショー館で新作3本まとめて鑑賞なんて芸当ができるようになった。「サンザシ」の上映館が少なかったため、当初は新宿ピカデリーで3本見ようと目論んだが、「ハリポタ」の3D字幕版の上映が終了してしまったらしく、1本だけMOVIXで見ることにした。
さて、トランスフォーマーだが、金属生命体である異星人の内輪揉めがなぜ地球に飛び火したのか?三作目にしてついに真相が明らかになる。ということは、多分、これでシリーズは完結するのだろう。
三作目にして、というか、三作目の途中から、一作目・二作目と侵略の目的がコロッと変わってしまうため、どうにも辻褄が合わない印象は拭えない。だから、本当の目的が明らかになった時に、観客も映画の中の地球人たちも合点が行くように、映画の冒頭でアポロ計画のドキュメンタリー映像を使って、伏線(=巧妙な言い訳)を張っている。
最近のこの手の映画は、過去に実際にあった出来事に発端を求めるパターンばかりだ。「スーパーエイト」にしても、過去のニュース映像みたいなものは一切出てこないが、実際にあった列車事故や宇宙人が捕らわれているという噂のあった軍事基地(Area 51)などが、ストーリーのバックボーンになっていた。まもなく公開される「世界侵略:ロサンゼルス決戦」も、第二次世界大戦中の1942年2月にロサンゼルス上空に現れた未確認飛行物体を、日本軍の襲来と思い込み、対空砲火で応戦した事件が発端になっているそうだ。
どうやらアメリカ人は史実からSF的ストーリーを発想する能力が非常に豊かなようだ。ただし、登場する異星人の宇宙船などは、グロテスクな巨大生物のような船体というケースが多くなっている気がする。異星人のキャラクターも対話の余地も無いアメーバかナメクジのお化けだったりする。
そんな中、本作の異星人たちは、金属生命体などと形容されるように、変幻自在なロボット型だ。液体金属の殺人マシンが登場した「ターミネーター2」が1991年公開だから、かなり時代遅れな印象だ。ご存知の通り、トミー(現タカラトミー)が1984年に発表した変形玩具「トランスフォーマー」がオリジナルだから、当然と言えば当然の話だ。
SunHeroは比較的最近までその辺の事情を知らなかったので、タカラトミーがライセンス料を払って、映画のキャラクターを販売していると思い込んでいた。本作でもキャラクターの意匠権はタカラトミー側にあるそうだ。そういえば、あのオモチャをモチーフに、最初は日本でTVアニメ化されたのを思い出した。
当初マイケル・ベイ監督は本作を3Dにするつもりは無かったようだが、ジェームズ・キャメロンの強い勧めで3Dにしたそうだ。本作の観客の91%が3D版を見ているというデータを引き合いに出すまでも無く、3Dでぜひ見たいと思うのが心理というものだろう。そうなると、TV放映では到底味わえない。前言を撤回して見に行ってしまったのは、そういう訳だ。実際、戦闘シーンの迫力は「アバター」以上だ。長回しのワン・シーンの中で視点が目まぐるしく移動していくスピード感は、さながらジェットコースター状態だった。
それにしても、邦題が「ダークサイド・ムーン」で、原題が「Dark Of The Moon」。洋楽ファンとしては、どうしてもPink Floydが1973年に発表した不朽の名作"The Dark Side Of The Moon"(邦題「狂気」)を連想してしまう。本当はそういう題名にしたかったんじゃないだろうか?
最後に、SunHeroが一点だけどうしても気に食わなかったことがある。ロージー・ハンティントン=ホワイトレイ扮するヒロイン・ミカエラの衣装だ。図らずもトランスフォーマーたちの侵略拠点となってしまったシカゴで、完全武装の兵士たちと行動を共にすることになって、ショックウェーブの執拗な攻撃を何とか振り切って逃げたというのに、服装が無傷なのだ。建物が傾いて、床を滑り落ちて行くような際に、戦闘服じゃない普通の洋服が破けたり、ほつれたりするもんじゃないだろうか?
これじゃ、前二作のヒロインだったミーガン・フォックスに代って、「ビクトリアズ・シークレット」のモデルだったロージー・ハンティントン=ホワイトレイを本作でスクリーン・デビューさせた意味が無い。まあ、序盤に彼女の経歴に配慮したような、すなわち、子供にせがまれて渋々一緒に見に来たお父さんが、思わず見入ってしまうようなシーンがあるにはあるが、終盤の戦闘シーンでそれ以上の露出が無かったのは、非常に残念だった。(笑)
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