会場の八王子市いちょうホールは、大ホールと言えどもキャパ800人ほど。その6割程度の客入り。母が召集した招待客御一行様はN列(前から14列目)の中央ブロックという、舞台から客席を見た時に一番目立つ辺りだった。主催者の配慮で、我々はサクラだったという訳だ。しかも、私以外は姥桜(失言?笑)。ステージからの眺めは、お気の毒さまとしか言いようが無い。それでも、土曜日の昼下がりに宮廷音楽を愉しむ古の貴族のような気分を味わうことが出来た。演奏はアンサンブル・ウプリアコーニ。来年から宮本氏が音楽監督を務めることになっている東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の管楽器奏者8名+コントラバス。オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)は納得だが、木管八重奏と銘打っておいて、ステージ上で一際光り輝いていたのは(フレンチ)ホルンだった。管楽器だけだとアンサンブルが浮いてしまいがちなので、コントラバスは謂わば錘役というか、縁の下の力持ち役。演奏に深みと安定感が増す。
このコンサートには掲題の他にも副題があって、「ポプリ~オペラ名曲の花束にのせて」というのが選曲の趣旨だった。曲間のトークは、宮本氏の中学の同級生が最前列に居たこともあって、話が時折脱線しながら、ユーモアと毒舌の入り混じったものだった。楽曲や楽器の解説、特にオペラの曲を室内楽のような小編成用にアレンジして演奏するスタイルの起源=貴族の夕べの過ごし方の話は、一時富裕層になった気分で音楽を聞く助けとなった。音楽の効能はそれだけに留まらず、高血圧症の母の血圧が、その夜の測定では上が120台まで下がったそうだ。
【オペラ・ヒットパレード】
ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より
ビゼー:歌劇「カルメン」より
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より
モーツァルト:セレナード第12番ハ短調K388(384a)「夜曲」
モーツァルト:セレナード第11番変ホ長調K375
ほか
<以下、余談ですが・・・>
さて、いよいよ年が改まって来月には、パルテノン多摩での宮本父娘の共演が控えている。前売り情報が飛び込んで来た際、母を誘ってみたが、気乗りの無い返事だった。当日渡されたチラシの中に、その広告を見つけて、とても悔しがっていた。調べたら売り切れではなかったが、私の席よりも20列以上も後ろしか残っていなかった。
一方、SunHeroは来年3月で閉館する八王子市民会館のさよならイベントのチラシに目が留まった。一度ナマで聞いてみたい秋川雅史にも興味を惹かれたが、思わず見入ってしまったのは南こうせつの方だった。何とゲストは伊勢正三だ!これって実質的にはかぐや姫の部分復活でしょ?終演後、ダメ元で階下のインフォメーション・カウンターで残席を調べてもらった。案の定、二階席しか空いていなかったが、三列目にポコンと一席空いていたので、その場でチケットを購入した。
かぐや姫は中学生のころ絶大な人気を誇っていて、周りに沢山ファンが居たが、SunHeroはそれほどでもなかった。アリス、オフコースと時代が進むにつれて、すなわち、フォークからニュー・ミュージックへの変遷の中で、親しむようになっていった。その程度の人間には、そういう席が相応しいと思う(ことにした)。
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