Rita Coolidge @ Billboard Live TOKYO, October 12, 2009

bblt_ritacoolidge.jpgまずはじめに、お詫び申し上げます。諸々のライブレポートが遅延しています。楽しみにして下さっている方もひょっとするといらっしゃるのかもしれませんが、日付順に拘らず紹介できるものからレポートして参ります。では早速・・・・

実に1年2ヶ月振りでBillboard Live TOKYOを訪れた。他のライブ会場なら、こんなことにわざわざ言及したりしない。ここだけ例外なのは、オープン以来ずっと、年会費を払い続けているからだ。つまり、丸々一年分の会費を無駄にしたことになる。その間、行って見たいアーティストが無かった訳ではない。日程と経済的な理由からパスしてしまったら、そういうことになってしまった。

Leon Russellをして“Delta Lady”と言わしめ、1970年代にスワンプ・ロック(泥臭いカントリー・ミュージックと言ったら分かり易いかな?語弊はあるが、当時日本のレコード会社はカントリー・シンガーとして売り出していた)から都会的なポップスへ音楽性を変化させながら人気を博したRita Coolidgeだ。本人のMCを正確に聞き取れたわけではないが、どうやら26年振りの来日らしい。

1960年代末、Delaney & Bonnieのコーラス・シンガーに起用されたのが、ソロ・シンガーへの道を切り開くきっかけだった。同時に、スワンプ・ロック・シンガーというイメージが定着した所以でもあった。それまではRay CharlesやPeggy Leeを敬愛するアメリカ先住民チェロキー族の血筋を引く歌の好きな女の子だったからだ。Delaney & Bonnieのツアーにサポート・ギタリストとして参加したEric Claptonに恋慕したことが、後にCarpentersのヒット曲となった“Superstar”のモチーフとなったらしい。

Delaney & Bonnieがこの曲をシングルのB面に収録した際は“Groupie”というタイトルだったが、Rita CoolidgeがJoe Cockerの伝説の全米ツアー“Mad Dogs & Englishmen”で披露した際には“Superstar”に改題されていたそうだ。どうやら曲の前説で語っていたのは、この辺の話だったようだ。今や伝説と呼んでもいいような逸話がゴロゴロあるシンガーがRita Coolidgeというわけだ。(ヨイショしすぎか?笑)

余談だが、CarpentersはTVでBette Midlerが歌っているのを聞いて、この曲を次のシングル用にレコーディングし、それがヒットするとBette Midlerも自分のデビュー・アルバム用にレコーディングしたそうだ。この時のプロデューサーがBarry Manilowで、Bette Midlerは遅ればせのレコードデビューでグラミー賞の新人賞を受賞した。

しかし、当のRita Coolidgeはなぜか自分のアルバム用にはレコーディングしておらず、ベスト盤に収録されるのは大抵前述のJoe Cockerのライブ盤からの流用だ。こういうときはレコード会社が同じだと好都合なようだ。同時にCarpentersとも同じレコード会社だったわけで、本人あるいはレコード会社が競作を避けたのかもしれない。

1977年には“Anytime...Anywhere”(アメリカでは“We're All Alone”に改題された盤もある)から3曲の全米Top10ヒットが生まれ、以降ポップス・シンガーとして活躍するようになった。1979年の東京音楽祭世界大会で、アメリカではMelissa Manchesterがヒット(当時の邦題は「悲しみは心に秘めて」)させた「あなたしか見えない」(Don't Cry Out Loud)を歌ってグランプリを受賞し、日本でも広く知られるようになった。

その後も日本からのオファーに応えてCM曲を歌ったり、森高千里や徳永英明のヒット曲に英詞をつけてカバーしたり、本国ではチェロキー・インディアンの血筋ゆえ、姉のプリシラ、姪のローラとWALELA(我等?)を結成してチェロキー族の伝統音楽の伝承に貢献したり、地道に音楽活動を続けていたそうだ。

近年はスワンプ・シンガー時代に録音したジャズ・アルバムのリリースをきっかけに活動の幅をさらに広げ、2005年には日本のキングレコードからのオファーで“And So Is Love”というジャズ・ボーカル・アルバムをリリース(アメリカ発売は2006年?)。これが今のところ最新作だ。

折りしも、A&Mレコード時代のアルバムが日本でも再発されることが決まったら、今回の来日公演が発表になった。ClubBBL会員は一般客より1週間早く予約ができるが、ジャズやスワンプ中心の選曲だったらどうしようかと躊躇してしまった。そんな私の背中を押してくれたのはChicagoだった。公演延期を機に払い戻したチケット代を充当することにした。だから、ちょっと奮発してDXシートにした。

案の定、序盤は最新アルバムからの曲ばかりだった。Boz Scaggsのカバー「みんな一人ぼっち」(We're All Alone)も同アルバムのアレンジで披露された。私にとって馴染みの薄いスタイルだったせいもあるのか、序盤の歌声には独特のWarm & Smokyな浮遊感がほとんど感じられず、年には勝てず枯れてしまったのかと思った。

歌声にRitaらしさが感じられるようになったのは、フォーキーな初期のレパートリー“Second Story Window”あたりからだった。元夫Kris Kristoffersonの曲や敬愛するPeggy Leeの“Fever”は長年歌ってきたせいか、本領発揮という感じで圧巻だった。

ニ大ヒット曲で本編を締めくくる頃には、観客との一体感も生まれ、この時ばかりはDXシートにしてしまったことを悔やんだ。2nd Showが控えていたからなのか、一旦引っ込んだと思ったら、すぐステージに戻ってきて、アンコールに応えてくれた。“All Time High”(映画「007 オクトパシー」主題歌)か“Don't Cry Out Loud”あたりを期待したが、オープニング同様、最新アルバムの曲だった。Blue Note Tokyoあたりならこういう構成も納得だが、もうちょっと旧譜の再発を意識した選曲にして欲しかった。

Rita Coolidge: Live at Billboard Live TOKYO
1st Show on October 12th, 2009

  1.I Don't Know Enough About You from "And So Is Love (2006)"
  2.We're All Alone from "And So Is Love (2006)"
  3.I Thought About You from "And So Is Love (2006)"
  4.Come Rain Or Come Shine from "And So Is Love (2006)"
  5.Second Story Window from "Rita Coolidge (1971)"
  6.Hallelujah, I Just Love Him So from "Out of the Blues (1996)"
  7.Superstar not available on any original album of hers
  8.Who's To Bless And Who's To Blame from "Anytime...Anywhere (1977)"
  9.Late Again from "It's Only Love (1975)"
 10.Born Under A Bad Sign from "Rita Coolidge (1971)"
 11.Fever from "The Lady's Not For Sale (1972)"
 12.The Way You Do The Things You Do~ from "Anytime...Anywhere (1977)"
 13.How Sweet It Is (To Be Loved By You) from "Behind the Memories (1995)"
 14.(Your Love Has Lifted Me) Higher And Higher from "Anytime...Anywhere (1977)"
 15.Don't Go To Strangers from "And So Is Love (2006)"

   Supporting Musicians are:
   John McDuffie (Guitar/Chorus/Mandolin)
   Mary Ekler (Piano/Keyboards)
   Randy Landas (Bass)
   M.B. Gordy (Drums)

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