Simon & Garfunkel @ Tokyo Dome, July 10, 2009

セントラルパーク・コンサート [DVD]16年前の来日でチケットが取れなかった悔しさから、是が非でも行きたいと思った。土曜日の方が倍率高そうだからと、敢えて金曜日を申し込んだ。まずは確実にチケットを手に入れたかった。とは言え、届いたチケットを見てガックリ来た。アリーナ席が取れたとは言え、Cブロック列だったからだ。案の定、肝心のS&Gの二人はほとんど見えなかった。持参した双眼鏡も、三列前の後姿が大泉洋みたいな兄ちゃんの後頭部に阻まれ、ほとんど役に立たなかった。

結局、ステージ左右や後方に設置された電光スクリーンに大写しになる二人の姿ばかり見ることになった。折角生身の二人がそこに居るというのに残念だったが、同じ公演をスタンドで見たというMLの知人は、残響が酷くて演奏は楽しめなかったと投稿していたので、まだマシだと思うことにした。

まあ、どうしたって期待が大きくなるから、ついつい不満だらけになってしまうが、これで見納めかもしれないSimon & Garfunkelのコンサート、こうして鑑賞できた事自体が最大の収穫だ。ちゃんと明文化しているわけではないが、「死ぬ前にライブで観ておきたいアーティスト」のリストから、Policeに続いてS&Gも消えた。だが、新たに「死ぬ前にもう一度観たいアーティスト」のリストに加わった(爆)。何歳になっても欲望は尽きない。

親切なウドーさん、早々に名古屋公演のセットリストを公表してくれたので、予習は不要だなと判断できたが、まるっきり同じセットリストだったのには少々呆れてしまった。そんな私の思いが通じたのか、翌日から1曲入れ替えられた。普段ならフザケンなぁ~!と怒りを爆発させるところだが、サプライズゲストにオザケン(小沢健二)を呼んで、"You Can Call Me Al"をやったわけじゃないので、どっちの曲でも同じだった。

流石に"Sound Of Silence"のPaul Simonのギター演奏によるイントロで、由紀さおりが出てきて「夜明けのスキャット」のサワリだけでも歌ったら、当時を知っている大半の観客は怒り出すだろう。でも、そのくらいの余興があっても悪くないと思うんだけどねぇ。"You Can Call Me Al"のビデオクリップを見たことがある人なら、私のクダラナイ願望にも一理あると共感して頂けるんじゃないでしょうか?

オールド・フレンズ:ライヴ・オン・ステージ [DVD]さて、16年ぶりの来日公演は、2003年にスタートした再結成ツアーの延長線上の内容だった。2004年に"Old Friends: Live On Stage"としてDVD&CD化されたが、すぐには来日しなかった。今回の来日情報を取り上げた際、最近の二人の画像が見つけられなかったので、苦し紛れにそのジャケットを掲載したが、まさか予感が的中するとは思わなかった。

6年越しであのライブを実際に観れたと感慨もヒトシオのファンも要るだろうが、各自のソロパートを入れたために、S&Gとしての曲が減ってしまったのは残念だった。同様に楽しみにしていたルーツを振り返る部分も、Everly Brothers三連発が見事にカットされてしまった。意表を突いた"Be Bop A Lula"も、ウドーのサイトで事前に知ってしまったことが仇となった。

Artieの歌声が、もはや天使の歌声ではなくなっていたのも、少なからずショックだった。だが、もともとハスキーだったところに野太さが加わった歌声は、特にソロパートで味わい深さを感じさせた。「明日にかける橋」では二番をPaulがゴスペルチックに歌ってしまったが、Artieのノドを気遣ったのだろうか?全編Artieのボーカルで通して欲しかったが、三番をバッチリ決めるためには止むを得なかったのだろう。見事(or何とか)歌い切った時には、観ているコッチの方が全身の力が抜けて椅子から滑り落ちそうな感じだった。感動的な熱唱で鳥肌ではなく冷や汗を掻いたのは、モチロン初めての経験だった。

一方、客席の大半を占めたS&Gのオールド・ファンには、Paulのソロセットは馴染めなかったかもしれない。グラミー賞でAlbum of the Yearを受賞した二大傑作からの選曲とは言え、シングルとしては大きな成果を残せなかった曲ばかりだった。大所帯のバンドの割には控えめな演奏だったのが、Artieから交代した途端、俄然分厚いサウンドになったのも違和感を助長したかもしれない。だが、大所帯の謎も解けたし、芸達者な連中が本領を発揮したという点で、一番の聞き物だったと思う。

何よりも感動的だったのは、時折互いを労わる仕草を見せたPaulとArtieの良好な関係だった。大所帯バンドを引き連れてきたものの、Paulのギター伴奏だけで二人で歌うシーンに込み上げてくる感動を抑えられなかったのは、私一人だけではなかったと思う。還暦を過ぎて、ようやく互いに掛け替えの無い旧友であることを認識したようだ。できれば武道館公演に行きたかったが、東京ドームであっても行って良かったと、しみじみ感じた素晴らしいコンサートだった。


== Simon & Garfunkel / Old Friends Tour 2009 ==
Setlist of Tokyo Dome, July 10, 2009

    ≪Main Set≫
   *. Opening Montage featuring America[instrumental]
   1. Old Friends~Bookends Theme
   2. A Hazy Shade Of Winter
   3. I Am A Rock
   4. America
   5. Kathy's Song
   6. Hey Schoolgirl
   7. Be Bop A Lula
   8. Scarborough Fair
   9. Homeward Bound
   *. Excerpt from the Film "Graduate"
  10. Mrs. Robinson (including Not Fade Away)
  11. Slip Slidin' Away
  12. El Condor Pasa

    <Art Garfunkel Solo Part>
  13. Bright Eyes
  14. A Heart In New York
  15. Perfect Moment~Now I Lay Me Down To Sleep

    <Paul Simon Solo Part>
  16. Boy In The Bubble
  17. Diamonds On The Soles Of Her Shoes
  18. Still Crazy After All These Years

    ≪Main Set: Climax≫
  19. The Only Living Boy In New York
  20. My Little Town
  21. Bridge Over Troubled Water

    ≪Encore 1≫
  22. The Sound Of Silence
  23. The Boxer

    ≪Encore 2≫
  24. Leaves That Are Green
  25. Cecilia


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