ゲームソフトにまでなっているほど世界的に有名な歴史書「三国志」、並びに、それを基に明の時代に創作された白話小説「三国志演義」を原作とする映画は数あれど、その中で最も壮絶な戦いだったとされる「赤壁の戦い」を映画化するのは不可能だと言われていた。Part Ⅰの宣伝文句の「完全映画化」は大袈裟だし、そもそも何を以って「完全」と銘打っているのか疑問だが、ジョン・ウー監督はその不可能に挑戦し、超大作を完成させた。前編＋後編、合わせて5時間近い大作だ。それでも描き切れているとは思えないので、何らかの形でさらに長尺なディレクターズカット版が登場することが予想される。かと言って、三部作に分けたら、間違いなく中編が中弛みして、興行成績的に足を引っ張るだろう。幾つかの小さなエピソードが関連性を失って浮いてしまったのも、興行上の都合から苦渋の編集を強いられた結果だと容易に推察できる。否、ジョン・ウー監督くらいになると、案外バッサリ割り切ったかもしれない。
そういうわけで、この手の大作に必ずと言っていいほど付き物なのが、「期待ハズレ」だの「原作には及ばない出来」だのという批判だ。そういう輩には、これだけの規模の映画制作を取りまとめる能力があるのかと問い返したくなる。さらには、オマエにこれ以上のものが作れるのか！と問い質したくなる。何を期待して観に行くのかは、各人で異なるものだ。自分にはつまらなかったからと言って、闇雲に批判するのは大人げないと思う・・・・とは言いつつも、二大女優の使い分けには、唯一不満が残った。（笑）
今回ファッションモデルから女優に転身し、トニー・レオン演じる主役の妻にして、敵方の大将の略奪の対象という大役に抜擢されたリン・チーリンと、「呉」の君主の妹にして敵陣へ潜入してスパイ活動を行なうベテラン女優＝ヴィッキー・チャオのことだ。ヴィッキー・ファンとしては、リン・チーリンの「この映画で女優と呼べるのは私だけよ」と言わんばかりの色香溢れる演技（演出？）には嫉妬しか感じなかった。
こういう場合、いつもなら、あっさりチーリン・ファンに鞍替えしてしまう（爆）ものなのだが、それだけヴィッキー・チャオに入れ込んでいるということなのだろう。特にPart Ⅰを見ただけだと、主要出演者の大半が男性という映画におけるお飾りの一輪挿しのような出番なのに、CMやポスターで大々的に扱われるなんて、新人のくせに生意気！（笑）というのが第一印象だった。
まっ、実際に映画を見れば、我らがヴィッキー大活躍ですから。それに、Part Ⅱではヴィッキーにもチョット色っぽいシーン（期待しすぎで見ると気付かないかも？笑）もあるので、俄か看板女優の特別待遇も大目に見てあげましょう。チーリンの過剰な色香も、Part Ⅱで敵方が勝機を逃す重要な役目を担っているわけで、その伏線としてPart Ⅰで鼻に付くほどの演出が施されていたのなら、仕方ないかもしれませんね。
案外、原作を知らない方が楽しめる映画かもしれません。原作では、ヴィッキーの演じた「呉」の君主の妹は、同盟を組んだ「蜀」の君主＝劉備と結婚することになっている。Part Ⅰの終盤、宴席で縁談話が持ち上がるが、Part Ⅱでは劉備の知恵袋＝金城武が演じた諸葛孔明と意気投合（？）し、敵陣から伝書鳩で戦況報告をする間柄に。縁談話は初めから無かったかのような展開だ。多少なりとも原作をかじっていると、そこからどんどん離れていくストーリーに振り回されたまま映画が終わってしまって、全然楽しめないだろう。
「三国志」というと劉備が主役として描かれるのが普通だが、本作では「呉」の将軍＝トニー・レオン演じる周瑜が主役だ。そもそも「蜀」と「呉」は圧倒的な軍事力で迫る「魏」に抵抗するために同盟を組んだものの、互いに腹の底から信頼していなかったため総崩れになるのに、映画では勝利を収める。原作にはない映画独自のストーリーが幾重にも織り込まれて、「呉」の将軍と「蜀」の軍師の友情物語になっている。冒頭で「完全映画化」の意味に疑問を呈したのはそういうわけだ。
やはり、この手の大作の鑑賞に当たっては、それなりの対策が必要かもしれない。そもそも映画館の大スクリーン＆ド迫力音響あっての見物だと思うからだ。我が家のように、それなりの設備が全く無い一般家庭では、ショボイことになるのは必定だから、昨年の秋と今年の春、わざわざ同じ映画館で観た。否、たまたま他の映画の都合で、同じ映画館で観ることになっただけだが・・・・（苦笑）。とにかく、娯楽大作として気楽に臨むことが、何よりの鑑賞の秘訣じゃないかと思う。
最後に、手抜きで申し訳ありませんが、映画の概略については、公式サイトの各リンクをご参照下さい。公式サイトは、早くも8/5発売のPart ⅡのDVD/Blu-rayや、Part Ⅰ＆Ⅱのツインパックの宣伝サイトに変貌していて、映画自体の情報はちょっと探し難い感じです。下記のリンクがお役立てれば幸いです。
レッドクリフ Part Ⅰ＆Ⅱ DVDツインパック
Part Ⅰ・Part Ⅱのスタンダード版DVD（各2枚組）のパック
レーベル：Avex Entertainment
標準小売価格：￥5,985（税込）
HMVオンライン特価：￥4,608（税込）
レッドクリフ Part Ⅰ＆Ⅱ Blu-rayツインパック
Part Ⅰ・Part Ⅱのスタンダード版Blu-ray Disc（各1枚）のパック
レーベル：Avex Entertainment
標準小売価格：￥7,035（税込）
HMVオンライン特価：￥5,628（税込）
注意：上記販売価格は掲載時点のものであり、音楽ウェブロッジSunHeroでは一切価格保証は致しておりません。
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