原作は2000年公開の日本のアニメで、原題は原作そのままだが、小雪絡みだからか、邦題は「ラスト・ブラッド」と付けられた。つまり、洋画なのだ。原作も映画の舞台も1970年頃の東京(主に横田基地と戸越銀座)だ。監督はフランス人で、米軍基地絡みで出演者のほとんどが外国人。台詞は日本語と英語が入り混じる。撮影に至っては、中国とアルゼンチンという複雑な背景の香港/フランス共同制作だ。
そういうわけで、描かれる日本の街並みが、昭和というよりは、大正レトロな雰囲気。だって、1970年と言ったら、私、生まれてましたから。もうちょっと近代的な建物があってもよかった気がします。特に、横田基地の米兵相手の居酒屋街なら、看板とか英語表記のものがいっぱいあって然りだと思うのですが、まるで「何とか横丁」の風情。チャン・ツィイー主演の「SAYURI」みたいなもんですかね?
元々架空のお話なんだから、リアリティを求める方が御門違いというべきでしょう。最近そういう映画が続きますね。「K-20 怪人二十面相・伝」、「GOEMON」、・・・・「レッドクリフ」なんかも、完全映画化を謳っていながら、原作とは違う結末だったし。まあ、人間の想像力が原作や史実よりも面白いストーリーを生み出した点は、評価してあげましょう。
さて、御年29歳(撮影時は27歳くらいか?)のチョン・ジヒョンが、セーラー服に日本刀で、「オニ」と呼ばれるバンパイア(吸血鬼)の集団を相手に大立ち回りをする、文字通りの「オニ退治」ムービー。セーラー服を着ることになる経緯がどうにも不自然だが、ヒロイン=サヤのモチーフは「セーラー服と機関銃」あたりか!?アクション初挑戦ながら、運動嫌いだったとは思えない見事な殺陣を披露している。
サヤは父の仇であるオニの頭領「オニゲン」を討つことだけを生き甲斐に、既に100年以上生きてきたという設定らしい。どうやらオニと人間のハーフらしく、メン・イン・ブラックみたいな連中から成る謎の組織から渡される大徳利に入った血液が長寿の源。
その「オニゲン」を妖艶に演じているのが小雪。クライマックスのサヤとの対決シーンでは、妖術を使う分、CGに助けられて、アクションは控えめ。中盤のハイライトである居酒屋街での百人斬りならぬ百鬼斬りの方が、迫力もグロテスク度も優っている。だが、オニゲンの口から衝撃の事実が語られ、サヤは動揺しながらも敵討ちを果たす。
結構楽しめたが、所詮はR-15。バンパイアが絡むあたり、どうしてもB級映画っぽくなってしまう。小雪が出演していなかったら、「ハイキックガール!」や「チョコレートファイター」のようにミニシアター系の公開に留まっていたかもしれない。実際、ロードショー館での上映は6/19までらしい。
原作国=日本での大ヒットを期待して先行公開したとしたら、制作サイドの目論みは大ハズレだ。アニメオタク文化発祥の地=日本でのこの手の映画のステイタスが決して高くないことを知らなかったのだろう。むしろ、諸外国で結構なヒットになるんじゃないだろうか?これにめげず、チョン・ジヒョンには今後も積極的にアクションものに出演して欲しい。
innolife.com~韓国エンタメニュース
チョン・ジヒョン インタビュー
1.「しっくりするシナリオに今出会った」
2.「多様な姿見せられずファンたちに申し訳ない」
3.「世間の噂が多いのはファンたちの関心が多いため」
4.「結婚はいつ頃?」
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