Perfume - GAME [CD+DVD] (April 2008)

GAME(DVD付) 【初回限定盤】GAME 【通常盤】

一年前には全くと言っていいほど無名だったガールズユニットが、今や最新アルバムでORICON 1位を記録し、初の全国ツアーを大盛況のうちに終えるほどメジャーになった。鮮やかなブレイクだ。その一助、ならぬ、二助を担った。訳あって、初回盤を2枚買うことになってしまったからだ。最近ネット通販でCDを買うのも如何なものかと、再考を迫られる事態が頻発しているのだが、それは機会があったら取り上げようと思う。

さて、CD発売から2ヶ月余り、既にツアーも終わってしまった今、改まってレビューするのもどうかと思ったが、私の場合はあくまでも感想文にすぎない。それに、Perfumeを語るには、音楽面を全面的にバックアップしているプロデューサー=中田ヤスタカについて言及せざるを得ないが、肝心の中田ヤスタカ自身のユニット=capsuleは聞いたことが無い。PerfumeのCDをレビューする資格なんて無いんだと思う。

否、本当はcapsuleのCDを買おうと思っていたのだが、同じ陳列棚にあったMEGを買ってしまった(爆)。理由は・・・・実物を見ていただければ察しが付くはずだ。珍しく通販ではなく、CD店へ買いに行ったのが敗因だった。ともかく、評論は評論家に任せて、いつもように好き勝手に書き綴ろうと思う。行過ぎた表現などございましたら、コメントでお知らせ下さい。一般的には「現役女子大生ユニット」と認知されているそうだが、ナント活動歴は小学生時代にまで遡り、結成間もない頃にメンバー・チェンジが1回あったきりという、鉄壁のチームワークを築いている。今たまたま女子大生だというだけで、それをユニットの特徴とするのは、Perfumeには似つかわしくないと思う。単にテクノポップ・ユニットで十分だろ!?

先日NHKのエコ・イベントに生出演して、生放送されていた。偶然そこだけ見た。思えば、Perfume大ブレイクのきっかけとなったエコ・キャンペーンのCMは、NHKでもサンザン放送された。案の定、オープニング・ナンバーは「ポリリズム」。イベントの趣旨に沿って、CMを連想させる演出だった。彼女達のパフォーマンスには、ついにブレイクしたという喜びと、今日に至るまでの努力は無駄じゃなかったという自信が、満ち溢れていた。見終えてから、思わずCDを聞き返した。

本作はPerfumeにとって2作目のアルバムだ。前作には書き下ろしの新曲も含まれていたが、インディー時代のシングルまで収録していたこともあって、ファースト・アルバムにしてベスト盤という様相を呈していた。実際、タイトルも“Complete Best”だった。先月取り上げた平井堅のような例もあるので、オリジナル・アルバムとベスト盤の区別はますます曖昧になってきた感じだ。

で、あのベスト盤、音楽ウェブロッジでは取り上げなかった。「ポリリズム」に連なる伏線が色々あって、それなりに興味深かったが、CD自体にはすぐに飽きてしまったからだ。むしろ、珍しことにDVDの方を何度も見た。

PVはJanet Jacksonの“All For You”の手法が使われていて、イメージ戦略は既に確立していた。後はブレイクのきっかけが訪れるのを待つのみだったことが窺える。むしろ、印象的だったのは、それ以前のインディー時代のアイドル然とした衣装でのパフォーマンスだった。

BEAMその後、MEGのアルバムを聞いて、Perfumeに限らず、中田ヤスタカ・プロデュース作品の場合、アーティストの個性は音楽そのものよりも視覚的なものに依存しているという、極個人的な見解に達した。熱烈なファンでなければ、誰がどのパートを歌っているのか分らないし、ライブは往々にして口パクらしいし・・・・ビジュアル面を重視している証拠だ。パフォーマンスを見せるためには、歌をも犠牲にしてしまうという訳だ。そもそもボーカルにエフェクトを掛け過ぎて、個性が希薄だ。将来一人立ちするつもりなら非常に不利だ。極論すれば、MEGとPerfumeを入れ替えても、成立する音楽だと思う。

実際、広島アクターズスクール出身といっても、東京進出直後から音楽面は中田ヤスタカに任せてきたせいで、彼女達の素の歌唱力はどうなのか不明だ。こういう書き方をすると、熱烈なファンの怒りを買いそうだが、ルックスだって未知数だ。だが、パントマイムやパラパラの要素を盛り込んだパフォーマンスは素晴らしい。

姪っ子の1人がすっかり感化されて、あのCMが流れると曲に合せて一緒に踊りだすそうだ。そういう衝動は、私も感じた。流石にこの年になると、真似したくても体が言う事を聞かないが、子供は順応性が高いから理屈抜きに受け入れられる。否、あの曲の本当の凄さは理屈じゃなくて、何か本能に直接アピールするものがあると言うことだ。

今Perfumeが注目されているのは、二つの流れが合流した結果だと思う。ひとつはアイドル・ユニット・ファン、もうひとつはテクノ/クラブ・ミュージック・ファンだ。前者は視覚から、後者は音楽から、各々Perfumeに辿り着いた。私のような一般的なポップス・ファンは、両方からの流れに押し流されてしまっただけだ。

極私的な見方だが、この勢いに乗って、MEGやcapsuleまでブレイクすれば、90年代の小室サウンド・ブームのような格好になる。すなわち、Perfume:MEG:capsule=trf:華原朋美(あるいはhitomi):globeという図式だ。安室奈美恵のようなブームの頂点に立つ存在が見当たらないのが、今のところ決定的な違いだ。

さて、ココからが本当の意味でのアルバムの感想だ。「まるでcapsuleだ」とか、「capsuleとの違いが分らない」とかいう批判も目にしたが、MEGもPerfumeもcapsuleで培われた中田サウンドの表現媒体に過ぎないと思えば、何の不思議もない。そういう批判をする人達が恐れているのは、中田サウンドでもアイドルっぽい音を基調としていたPerfumeの音楽的アイデンティティが希薄になったという事実だろう。

Perfume~Complete Best~(DVD付)本作に関しては、中田ヤスタカだってかつてないプレシャーを背負っての制作だっただろうし、世の期待を失望に変えるようなアルバムしか作れなかったら、それで終わりだ。彼女達の年齢も考慮すれば、脱アイドル路線も視野に入ってくる。capsuleとの線引きを取り払ってでも、期待に応える必要があったはず。今まで使い分けていた手持ちの手法を総動員すれば、capsuleっぽくなるのも当然だが、“Complete Best”以上のものに仕上がったのも事実だ。

「ポリリズム」の衝撃の後だったせいで、シングルで聞いた時にはパワー・ダウンといった印象だった“Baby cruising Love / マカロニ”も、アルバムのいいアクセントになっている。表題曲“GAME”のようなアグレッシブな楽曲とのコントラストが素晴らしい。

脱アイドル路線の象徴的な楽曲=“Take me Take me”は、中田ヤスタカ featuring Perfumeといった感じだが、女性としての成熟度が増せば、今後のパフォーマンスでの重要度も増しそうだ。昨年末から日本でもロングラン上演されているBlue Man Groupのショーで、Perfumeの面々は通常はビデオ出演、時々生出演という形でコラボさせたら面白いだろうなとも思った。

何度も述べてきたことだが、capsuleを知らない分、「シークレットシークレット」のような楽曲に、Kylie Minogueを連想してしまうのは私だけだろうか?また、バレンタイン・デーの頃の男の子、女の子の心理を、言葉数の少ない平易な表現で見事に描写して見せた「チョコレイト・ディスコ」が、ファンの間で名曲と讃えられるのも納得した。特に「チョコレート」じゃ無いところがイイ!

良くも悪くも中田ヤスタカの面目躍如となったアルバムだが、奇しくも今日発売のMEGのニュー・アルバムが、それを決定的なものにするかどうかの鍵を握っている。さっきリリースを知ったので、これからどこで買おうかリサーチ開始だ!

★Best Track=“Butterfly”
表題曲と迷ったが、南の島の未開のジャングルに紛れ込んだような、鮮やかな光景を想起させるところがイイ!

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