
当初はチケット代の負担やら日程上の問題やらで、とんだ失敗をやらかしてしまったと思いましたが、今は両方とも行って良かったと思っています。原田知世の音楽を心ゆくまで堪能できた2/22公演と、ゲストとのコラボが楽しめた3/1公演では、全く趣が異なっていたからです。それをきちんとわきまえて臨んでいれば、もっと大らかな気持ちで観覧できたのではないかと反省しています。
2/22公演は既に書いた通り、開演に間に合わないという恐れていた事態が現実になり、しばらくはレポートする気になれませんでしたが、3/1の追加公演を経て、両公演を対比する形でレポートしようと思い立ちました。何しろ、会場同じ、バックバンド同じ、二部構成なのも同じ・・・・なのに、2/22公演は平日開催で見事に遅刻、着席鑑賞、ゲストなしの淡々とした進行、3/1公演は開場に間に合うも整理番号順入場、立見、盛り沢山のゲストとのコラボという忙しない進行だったのですから。
両極端とは言えないまでも、対照的なコンサートだったのは確かです。ついつい不満や愚痴が先走ってしまったのも、ある程度は致し方なかったと思います。冷静になって振り返ると、両方とも行ったからこその不満・愚痴だった訳で、両方とも行けなかった方達からすれば、贅沢な文句(クレーム)だったことになります。
まず、両日共通項として、新作のプロデューサーでもある伊藤ゴローを中心としたバンドは、バイオリン、チェロ、ハープ、コントラバス、アコースティック・ギターといった生弦楽器がずらりと並び、見た目にもオーガニックな雰囲気を醸し出していました。曲によっては電気楽器を使うこともありましたが、とかく単調になりがちな2/22公演では、進行上の好いアクセントになっていました。3/1公演では、あの編成で果敢にゲストの持ち歌まで演奏してしまうんですから、リハ以前にアレンジが大変だったのでは?
Musicians :
伊藤ゴロー / Acoustic & Electric Guitars
鈴木正人 / Contrabass, Electric Bass
伊藤葉子 / Drums, Percussion
中島ノブユキ / Piano, Keyboard
伊勢三木子 / Violin
徳澤青弦 / Cello
吉野友加 / Harp
原田知世 / 鈴(紐に沢山の鈴がぶら下がっている形状のもの)
オーガニックと言えば、開演前や休憩中の場内にはいわゆる音の森林浴みたいな音楽が流されていて、開演を告げるブザー音はなく、客席照明が緩やかに暗くなり、演奏者が登場するという、ちょっとクラシック・コンサートのような始まり方でした。ただ、第一部での原田知世の衣装はアダルトな輝きを放つラメだらけのワンピースで、オーガニックとは相反する都会的なものでした。それはそれでとても似合っていましたが、個人的には第二部での清楚な白いドレスの方がライブの趣旨にマッチしていたように思いました。
原田知世の衣装に関しては、イマイチ記憶が定かではないのですが、両公演とも第一部は同じだったと思うのですが、第二部では色が一緒だっただけで、違うものだったように思います。2/22には背中の大きく開いた大人っぽいドレス、3/1には背中の露出はなかったものの、スカート丈がやや短めのアイドルっぽい衣装だったような気がします。
2/22のセットリストは途中からしか分りませんが、曲間のおしゃべりからオープニングは3/1と同じだったことが分りました。基本的には多くの曲が3/1と被りますが、コラボの都合で順番は多少入れ替えられていました。というか、ゲストとのコラボ曲の場合、ゲストの有無だけでも随分印象が違いました。本当は左右に並べて見比べ易いようにしたかったのですが、そんなことができるのでしょうか?(抜けや間違いがありましたら、コメントでお知らせ下さい)
♯♭ Setlist on 2/22 ♭♯(( 第一部 ))
天国にいちばん近い島
I Could Be Free
(( 第二部 ))
I Will
きみとぼく
?? (3/1公演の第二部の3曲目と同じ曲)
Aie
-メンバー紹介-
ロマンス
空と糸 -talking on air-
シンシア~music&me version
ノスタルジア
くちなしの丘
(( アンコール ))
時をかける少女~music&me version
♭♯ Setlist on 3/1 ♯♭<< 第一部 >>
01. Cruel Park *
02. きみとぼく *
-MC あいさつ-
03. ??
~オニキユウジ登場~
04. Wonderful Life (on guitar, chorus)
~キセル登場~
05. I Will (on guitar, chorus)
06. ベガ from キセル 2ndアルバム「近未来」
~鈴木慶一登場~
07. 菩提樹の家 (on guitar, chorus)
08. 空と糸 -talking on air- (on guitar, chorus)
09. Love & Hate from 鈴木慶一 最新作「ヘイト船長とラヴ航海士」
<< 第二部 >>
~高橋幸宏登場~
10. Are You There? (on drums)
11. CUE from YMO's 1981 release "BGM" (on synthesizer)
12. ?? (2/22公演の第二部の3曲目と同じ曲) *
~高木正勝登場~
13. Aie (on piano)
14. シンシア~music&me version *
~大貫妙子登場~
15. 色彩都市 (lead vocal: 原田→大貫→duet)
16. 彼と彼女のソネット (lead vocal: 大貫→原田→duet)
-バンド紹介-
17. ロマンス *
18. ノスタルジア *
<< アンコール1 >>
~キセル再登場~
19. くちなしの丘 (on guitar, chorus)
~高橋幸宏、鈴木慶一、大貫妙子 再登場~
20. Moon River (lead vocal: 原田→大貫→鈴木→全員?→高橋→全員)
<< アンコール2 >>
21. 時をかける少女~music&me version *
*: performed by 原田知世&バンド alone
青字: songs from her latest album "Music & Me"
緑字: songs from her older releases
橙字: songs other than her repertoire
Color choice derives from her old album title
(Can you guess what it is?)
改めて言うまでもなく、今回のツアーはデビュー25周年記念ということで、曲間のおしゃべりも近況報告よりは、アルバム“music & me”制作秘話や昔話が中心でした。2/22はプロデューサーの伊藤ゴローが同行していることもあって、アルバム制作秘話が主体でしたが、「天国にいちばん近い島」では同名映画で高橋幸宏と一応親子役だったこと、「空と糸 -talking on air-」では節目節目で鈴木慶一のお世話になっていることが語られました。でも、3曲もあったTore Johansson絡みの曲では期待したような話は語られませんでした。当時、スウェーデンからレコーディング・メンバーを呼んでツアーしたりしているので、もう語り尽くしてしまったのかもしれません。
3/1は当然のことながら、ゲスト登場の都度、アルバムに参加してもらった経緯や制作中のユニークなエピソードなどの前振りがあり、公式サイトのセルフライナーノートにも語られていないような貴重な話も聞けました。特に興味深かったのは、高木正勝との楽曲制作裏話や、鈴木慶一とのユニークな音楽制作手法の話でした。また、高橋幸宏による原田知世をフィーチャーした新バンド結成の発表(この日が解禁日だった)は、正にサプライズでした。
高木正勝にはもっと低い声で歌うことを勧められたそうで、原田知世も結構乗り気だったようです。とりあえず仮演奏で歌録りしたものを高木氏に送ったら、何パターンかのデモを作ってきて、その中におよそ原田知世の歌唱とは思えない低音ボーカル・バージョンがあったそうです。原田知世はとても気に入ったそうですが、プロデューサーの伊藤ゴローに流石に誰が歌っているのか分らないと止められて、オクラ入りしてしまったそうです。原田知世の低い歌声に注耳(?)していたのが私だけではなかったと分って、非常に嬉しかったので覚えていました。
私の場合、きっかけは「ロマンス」でした。ブリッジからエンディングのコーラスへ移るところで、いつになく低い声で「風が吹いてるぅ」と歌っているのを聞いて、往年のアイドルにこんな歌わせ方をさせるトーレ・ヨハンソンは凄いなと感心したのと同時に、もっと低音域を多用したら歌手として新しい一面が拓けるのでは?と思ったものでした。それまでろくに聞きもせず、アイドル歌手を続けているんだと勝手に決め付けていた私が、アーティスト=原田知世を強く認識した瞬間でもありました。
鈴木慶一は、原田知世をアイドル歌手からアーティストに脱皮させた一番の功労者ですが、その制作過程はとてもユニークなものだったことが明らかにされました。原田知世に好きな言葉と嫌いな言葉を選別させ、好きな言葉を紡いで歌詞にしていったそうです。音に関しても、原田知世に聞かせて気に入った音色やフレーズを使って曲を完成させて行ったそうです。アイドル歌手時代に普通の音楽制作を経験してきただけに、パズルを組み上げていくようなやり方は、余計に新鮮で興味深かったようです。毎日スタジオへ行くのが楽しくて仕方なかったと語っていました。
新バンド結成に関しては、ライブ後公式サイトでも公表されました。既にレコーディングが進行中のようです。いつ頃どんなアルバムが登場するのか、大いに楽しみです。アルバムが出れば、きっとライブもやるでしょうから、チケット代を積み立てておかないとならないですね。
それにしても、高野寛、妙に親近感を覚える名前です。かつてTodd Rundgrenをプロデューサーに迎えて、2枚もアルバムを作ってしまいました。同じアーティストを二度プロデュースすることすら稀ですが、二作連続となると高野寛とカナダのバンド=The Pursuit Of Happinessの二例しかありません。その後も結構熱心にアルバムを聞き続けたのですが、一体いつどこで途切れてしまったのか?
さて、3/1のハイライトは何と言ってもアンコール。鈴木慶一、高橋幸宏、大貫妙子の三人が揃って・・・・というのは、実はこれが初めてなんだとか。各々のキャリアからすれば意外であり、ゆえに貴重な体験でした。とはいえ、リハの際に急に決まったことだそうで、変な例えかもしれませんが、Live AidでのDavid Bowie & Mick Jaggerの共演のような無難な選曲でしたね。
反面、原田知世単独曲が場繋ぎ的な印象になってしまったのは致し方ないことでしょう。おかげで、遅刻しても2/22公演は行っておいて良かったと思い直すことになりました。両公演を通じて感じたことは、自作曲はモチロン、洋楽カバーも誰かからの提供曲も、100%原田知世の音楽世界になっていて、ツクヅクいい年の取り方をしているなということでした。
両日とも終演後は恵比寿駅周辺で夕食を摂りました。2/22は職場から直行ゆえ、腹ごしらえする余裕がなく、3/1は恵比寿ガーデンプレイス内のMcDonaldで腹ごしらえしたにも拘らず、その後ずっと立ちっ放しだったせいか、帰宅するまで空腹を堪え切れそうになかったからです。
実は2/22に遅刻が濃厚になった際、職場のPCで恵比寿周辺のグルメ情報を検索しておきました。事前に腹ごしらえできない以上、終演後は会場の近場で食事するしかないと思ったからです。行列の出来るオムライス屋(コースメニューもある反面、アラカルトや居酒屋風一品料理も豊富なので、オムライス専門店というわけではない感じ)を見つけたのですが、印刷した地図を焦って勤務先に忘れてきたため、2/22はとうとう三連荘でCoCo壱のカレーとなってしまいました。
3/1は見事リベンジを果たし、オムライスにありつけました。流石に21時半を回ると行列など無くて、だから2/22には通り過ぎてしまったという訳です。インターネットで紹介されていた「やわらか厚切り牛たんオムライス」は、写真よりも大きな牛タンにビックリでした。私がその日最後の客だったので、サービスしてくれたのでしょうか?それとも、定休日前日だったから?終わり良ければ全て好しってことか!?
(3/10 暫定版から確定版に大改訂いたしました)
・・・・と注釈を付けておきながら、その後も増補改訂が続いておりましたが、今度こそ最後です。
3/1にはNHKが来ていました。コンサートの模様を収録したり、入場待ちの観客にインタビューをしたりしていました。ロビーには「NHK SONGS」からの生花がありましたので、近いうちにその番組で放送されるのだと思います。
この記事へのコメント
SunHero
「NHKが収録」にすかさず反応してしまうのは、やはり行きたかったからなんでしょうね。
体調すぐれないようですから、ご自愛下さい。
あかね
それは嬉しいお知らせ。
チェックせねば・・・。
映像だと会場も涼しげな感じに映っているかもしれませんね(汗)