谷村有美と過ごすハートフルなクリスマス Vol.5 2007/12/8 めぐろパーシモンホール(大ホール)

めぐろ区民キャンパスの「プラザ」にあったチラシ写真あややぁ~、失敗したよぉ~!!松浦亜弥のニュー・アルバム「ダブル レインボウ」に封入されていたコンサート・スケジュール、もっと注意深くチェックしておくべきでした。結婚後、主婦業・子育てに忙しい谷村有美ですが、唯一恒例化したのがクリスマス・コンサート(以下、クリコン)。レコード・デビュー20周年記念を迎えた今年は、会場も日程も刷新して開催されました。前4回と最も異なる点は、2日連続公演になったことでしょう。丁度その初日には山形で昼夜2回のディナーショーを行っていたのが松浦亜弥、翌日には東京で谷村有美のライブにサプライズ・ゲストとして登場したそうです。行かなかったけど(負け惜しみ?)。

今回のクリコンは、例年になく早い開催だったせいか、9月に始まった「おでかけツアー」の千秋楽的色合いが強かったように感じました。谷村本人もコンサートの中で「千秋楽の初日」と言っていました。ということは、12/9の公演は「千秋楽の楽日」だったわけです。つまり、2日とも参加して初めて完結するイベントだった訳です。だったら、パンフ代込みで8,000円/日のチケットはどうにかして欲しかった。パンフ1冊付きで14,000円位の2日間通し券みたいのを用意してくれたら、借金してでも両日参加したことでしょう。いくらなんでも初日と楽日でパンフまで違うものを用意する訳ないでしょうからね。

ようやく両日のセットリストが確認できましたが、曲目的には予想通り大差はありませんでした。流石に、松浦亜弥とのデュエットなどの関係で、曲順は大分変わっていました。こういうときは楽日に行くのが鉄則だったんですが、何で初日にしてしまったんだか?まあ、初日もそれなりに楽しかったですよ(再び、負け惜しみか?)。それでは、ライブ・レポート、スタートです。

初日は5時開場、5時半開演で、開場前のグッズ販売が4時からということだったので、早めに現地入り。途中で現金を調達しなければならなかったが、都立大学駅前にはメガバンク三行の支店が勢揃いしていて助かった。「おでかけツアー」の際は資金難で何も買えなかったが、その反動というか、Tシャツやパーカーなどは同じ品揃えだったので、不覚にも1万円の予算をオーバーしてしまった。

リハが長引いて、5時半を回った頃にとりあえずロビー開場となった。ファンクラブの更新手続きをしている間に、客席にも入れるようになった。今回は久々にステージに近い席で、7列めって実は一番眺めの良い席列だったように思う。丁度7列めから後方に段差が設けられていたため、前列の客の頭に視界を遮られることなくステージ全体が見渡せた上、谷村有美の表情が肉眼で分る近さだったからだ。

6時を少し回った頃、公演中の諸注意を告げる場内アナウンスが流れた。今年も谷村有美が自らすることはなかった。私の時計で6時8分に客席照明が暗くなり、ステージが眩いほどに明るくなると、下手(ステージ左端)から赤いドレスを着た谷村有美が登場した。クラシック音楽向きのホールに合わせたかのような衣装は、ピアノに向かった際にはシックリ来るが、「おでかけツアー」でも使ったド派手なタンバリンを持ってセンターマイクで歌う姿は妙な感じだった。挨拶もそこそこにステージ中央のピアノに座ると、ピアノを一弾きした。そのワンフレーズでオープニング・ナンバーが分ってしまうワタシ×M(爆)だった。

歌い終わると早速リクエスト・メールの紹介。明らかにウケ狙いな内容のメールばかりが取り上げられた。何しろ、最初のリクエスト曲が“Happy Birthday To You”。谷村の提案で全員合唱となった。次は一応谷村の自作曲だが、歌手には珍しいインスト曲だ。後で分ったことだが、この曲は後半の演目にあったため、谷村曰く「スーパー・ダイジェストでお贈りしました」となった。

本当はもう一曲弾き語りする段取りだったらしく、いきなりお呼びが掛かったピアノ&シンセ担当の福田裕彦は、楽屋から全力疾走してきたそうだ。2日めのセットリストからすると、そもそも1曲めを間違えた感じだ。これはその後に起きた大爆笑番狂わせの序章に過ぎなかった。いわゆる「はじめの一歩」って訳だ(笑)。福田氏は「おでかけツアー」の最初から同行していて、この秋のツアーに来れなかった皆さんのためにと3曲再現して見せた。

続いて男性コーラスの二人とベースの竹下欣伸が呼び入れられた。コーラスの二人は業界内で有名なレコーディング・ミュージシャンだそうで、デビュー・アルバムにも参加した重鎮。当然、次曲はそのアルバムからだったが、そんなスゴイ方々をスタンバイさせたまま長い思い出話が始まった。初参加のご両人は傍目にも呆れているのが分った。だが、やっと始まった曲はCDと同じコーラスが付いて、谷村有美に興味を持ち始めた19年前のことが脳裏を駆け巡った。

演奏中、ステージ上手でバイオリンの落合氏が盛んに出たり入ったりしていた。ライトの当たらない所でいつものように挙動不審な様子を繰り返していたので、気が付いた観客がクスクス笑っていた。曲が終わってから、谷村有美が悪びれる様子もなく、「バイオリンを弾いてねってお願いしといて、紹介しなかったわね」だと。そこから弦一徹ストリングスの登場となるあたりは、確信犯的ボケだったのかもしれない!?

谷村有美のライブに弦一徹こと落合徹也が参加するようになってから、いつかこういう日が来るだろうと思っていたが、ついに弦一徹ストリングスの出演が実現した。昨年の杉並児童合唱団に続き、今回もストリングス・メンバーを一人ずつ紹介した。ストリングスが加わると音楽自体はちょっと格調高い感じになったが、親分が親分なだけにバンド・メンバーによるドタバタ・コントにも積極的に参加していた。

本日のメンバーがステージに揃ったのは開演から50分くらい経った頃だったが、演目的にはまだ6曲しかやっていなかった。その後も「一緒に暮らそう」や「恋に落ちた」、「名前のないうた」など、リクエストメールを絡めながらも、もう何度も聞かされている曲誕生のエピソードを延々と語った。チャリティ・イベントに参加するようになって、歌手としての社会貢献に目覚めた証だが、大半の観客(長年のファン)は知っていることだろうし、最近は話し自体が間延びしがちだ。もう少し話を詰めて、その分1曲でも多くリクエストに応えるべきだったんじゃないかという思いもした。

今回セットリストの確認に手間取った最大の理由は、リクエスト・メールに応えてワン・コーラスだけやる曲があったことだ。これをどうセットリストに反映させるか苦慮した(結果は・・・・)。それ以上に拙いと思ったのは、今回はメールが紹介されただけで十分満足かもしれないが、こういうスタイルが定着した場合、ちゃんとリクエスト曲に応えないと、ファンに対する不誠実と取られかねないということだ。土・日にぶつけた2days、両日参加のファンが多数いた一方で、空席も見受けられたのが気になった。

アンコールではクラシック音楽奏者のようなドレス姿から一転、ツアー・グッズのTシャツにタイトなジーンズという、ボディラインもA・RA・WA(笑)な出で立ちだった。今は無き日清パワーステーションでのファースト・ライブにタイムスリップしたような気がした。もうすぐあのときの姿がDVDで見られるわけだが、完成した通称=谷村ボックスのセット内容を殊細かく説明したり、動きやすい格好になったら心のタガも少し緩んだのか、いつになく私生活に踏み込んだ話も飛び出した。

そして極めつけのハプニングは、アンコール1曲め「笑顔」(要WMP)の後に起きた。成り行きから松浦亜弥が「笑顔」と共にカバーした「あなたに出逢えて」の話しになって、次はこの曲をやると言ったのだ。福田氏が思わず谷村有美の方を見て、急いで楽器の設定を変更するような仕草をした。他のミュージシャンも慌てて楽器を手に取ろうとした。初参加のコーラスの御両人も肩の力が一気に抜けたように見えた。

今回のクリコンで唯一クリスマスらしい演出のパートが、危うく割愛されてしまうところだった。後ろのミュージシャン達のざわつきを察知した谷村は、おもむろに福田氏の方を振り向いて「違うわよね」!!観客大爆笑の中、袖に控えていたスタッフがマイクスタンドなどを大急ぎでセットした。

コーラスの二人に、弦一徹ストリングスから女性ビオラ奏者を加え、そして、谷村有美の4人で混声四部合唱による賛美歌やクリスマス・ソングが披露された。その場で「ハートフル・シンガーズ」と名づけられたアカペラ・コーラスは、どんでん返しの大爆笑の後の場内を静粛な雰囲気に包んだ。次に「あなたに出逢えて」を持ってくれば、夫婦・恋人同士で来ていたらロマンチックな気分倍増だったことだろう。

こういう演出で手持ち無沙汰になってしまう単独参加の観客は、続く「FEEL ME」で今度は俺達、あたし達が盛り上がる番だとばかりに立ち上がった。ここは素直に演出に従って、私も立ち上がった。行き掛かり上(?)、久々に曲に合わせてコブシを挙げて、「カモン!」コールまでした。最近コブシを挙げるタイミングが合わなくなってきたので、手拍子に専念するようになっていたが、自分でも不思議なくらいタイミングを計ることができた。

こうして大団円を迎えた後、独りステージに残った谷村は、マイクを置いてデビュー曲を歌い出した。つられて観客も歌い出した。中には谷村の生声に耳を傾けたかった客もいただろうが、独唱する谷村の姿からは「一緒に歌おう」っていう雰囲気が伝わってきた。一番の最後の歌詞を変えて歌ったのも、観客への感謝の気持ちが込められていただけでなく、恐らくこれでおしまいという合図にもなっていたように思う。もし二番も歌うことになったら、きっと間延びしてシラケてしまっただろう。そもそも私は一番の歌詞しか覚えていなかったし。

終わってみれば、時計は9時を回っていた。早めに始まったのに、終わりは普段のコンサートと大差ない時間だった。3時間の長丁場のうち、1時間半は喋っていたように思う。不満というか問題点は幾つかあったが、緩急のバランスが絶妙だったアンコールの演出のおかげで、心地好い疲労感に包まれた。

不慣れな土地でむやみに飲食店を探さず、サッサと地元に戻り夕食を摂ろうと思っていたが、開演前に軽く腹ごしらえをしていなかったせいで、空腹に耐えられる自信が無かった。こういうときは見慣れた看板が灯台の明かりのように有難く見えるらしい。引き寄せられるように都立大学駅すぐ傍のCoCo壱番屋に入った。コンサートの余韻を楽しむにはイマイチな雰囲気だったが、空腹が洒落た店を探し回ることを許さなかった。

地元駅に着いた時、終バスを待っていたら日付が変わってしまうことが分った。睡魔と疲労感から値上げしたばかりのタクシーを利用することにした。帰宅してから気付いたが、深夜割増料金を取らなかった。これも谷村効果か?などと勝手に解釈して就寝した。目が覚めたら、気分は「昼は昼、寝不足は寝不足」だった。10時間以上も寝たのに、全身がダルかった。「FEEL ME」でハッスルしたのが拙かったのかもしれない(苦笑)。

来年はライブ・デビュー20周年ですと、昨年に引き続き期待を持たせる発言が飛び出したが、いよいよ一向に出る気配の無い近年のライブDVDでも次々に出してくれるのだろうか?あるいは、本格的なコンサート・ツアーで地方回りをするのだろうか?妙にやる気満々だったが、果たしてどうなることやら!?

★★ Setlist on December 8th, 2007 ★★
  1. 朝は朝、嘘は嘘
  2. ひとつぶの涙
  3. 今が好き
  4. はじめの一歩
  5. 予感
  6. 一緒に暮らそう
  7. 恋に落ちた
  8. A・RA・WA
  9. いちばん大好きだった
  10. 好きこそものの上手なれ
  11. Instrumental part1
  12. 雪の扉
  13. 名前のないうた
    ― encore ―
  14. 笑顔
  15. もろびとこぞりて (by Heartful Singers)
  16. ひいらぎ飾れ (by Heartful Singers)
  17. きよしこの夜 (by Heartful Singers)
  18. あなたに出逢えて
  19. FEEL ME
  20. Tonight
  21. Not For Sale (一番のみ)

◆◆ Personnel on December 8th, 2007 ◆◆
  • 福田裕彦 - Piano、Synthesizer
  • 竹下欣伸 - Electric & Upright Bass
  • 落合徹也 - Violin、Trumpet
  • 加藤道明 - Guitar
  • 菅原裕紀 - Percussion
  • 木戸やすひろ - Chorus
  • 比山貴咏史 - Chorus
  • 弦一徹ストリングス - Strings

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