本作は共同プロデューサーにMitchell Froom、エンジニアにBob Clearmountainを迎え、楽曲によってはTony Viscontiまでが制作に携わったアメリカ録音です。楽曲のクオリティが前作に引けを取らないばかりか、音質も向上して大変聞き易い仕上りになっています。地道に音楽活動を続けていればカネを出してくるレーベルが現れることもあるということかもしれません。
ところで、フィン兄弟って何者?って話ですが、兄のTim Finnは1973年にSplit Enzのリーダーとしてデビューし、グループはRoxy MusicのPhil Manzaneraに見出されてイギリスへ進出し、1977年には6歳年下の弟のNeil Finnも参加。ニュージーランド出身で最初の世界進出に成功したバンドとなりました。1984年の解散までに7枚のオリジナル・アルバムをリリースし、私は6作目の“Time And Tide”(1982)で初めて彼等の音楽に触れました。
Split Enzなんて知らないという方でも、弟NeilがSplit Enzのドラマーだった故Paul Hesterとオーストラリア出身のベーシストNick Seymourの3人で新たに結成したグループなら、ご存知ではないでしょうか?1987年にアメリカで“Don't Dream It's Over” のデビュー・ヒットを放ったCrowded Houseです。このグループには一時兄のTimも参加していましたが、それが最初の兄弟デュオ・アルバムへ繋がっていったようです。
実は私の音楽生活にとっては時折ひょいっと関わってくる程度の興味しかなかったので、彼等の音楽を総括的に知っている訳ではありません。本作との出会いも、本を質せば、敬愛するTodd Rundgren が率いていたバンド=Utopia のメンバーだったKasim Sultonが2002年に発表したソロ・アルバムがきっかけでした。彼等のファースト・アルバムに収録されていた曲をカバーしていたのです。丁度Amazonで格安で売られていたこともあって、オリジナルを聞いてみたくて彼等と再び関わりを持つことになったのです。
本作のリリースは、丁度一作目の購入時期だったこともあり、当初から知っていたのですが、やけに格安だった欧州盤も2ヶ月遅れで出た日本盤もCCCDだったため、なかなか手が出ませんでした。しかもCCCDではない仕様の米盤が出たと思ったら、店頭でも通販サイトでも国内盤と同等か高い価格設定になっていました。HMVがキャンペーン価格と称して若干値引きしたのを機に、ようやく購入に踏み切った次第です。
こうして手に入れた二作目は、予想以上の出来映えでした。歌唱力的にはリード・ボーカル向きの資質を持った弟Neilの方が勝っている感じですが、ソングライティングの才能では兄Timに軍配が上がる感じで、兄弟ならではのパートナーシップが渋めのポップ・アルバムを味わい深いものにしているようです。例えば9曲目の“Edible Flowers” でのボーカルの振り分け、ハーモニーの付け方など、それぞれの声の持ち味が十分考慮されていて見事です。
楽曲によってはストリングスを配するなど、アレンジ面の多彩さが前作以上にアルバムに奥行きをもたらしていますが、何よりもまず楽曲が多彩で最後まで退屈せずに聞けると思います。例えば8曲目の“All God's Children” は、David BowieかMott The Hoopleのカバーじゃないかと思える彼等にしては珍しいタイプの曲ですが、これも彼等のオリジナルで、当然予想されたTony Viscontiの関与もありませんでした。
資金援助をしたレーベルとしては、Crowded Houseのような成功をもう一度という目論見もあったでしょうが、今のアメリカでオーソドックスな大人のポップスがヒットするポテンシャルは、かなり低いのではないでしょうか?そもそもCCCDでリリースすること自体が、SunHeroは不愉快です。今年になってDVD付きの特別版が出ましたが、これもCCCD+DVDのようでガッカリしました。せっかく素晴らしいアルバムを作っても、これでは手を出さない音楽ファンが多いと思うからです。
★The Finn Brothers 情報サイト⇒http://www.allmusic.com/artist/finn-brothers-mn0000794604


この記事へのコメント
SunHero
http://www.frenz.com/index.shtml
LTP
生で聴いてみたいなぁと思います。
アンプラグドでしっとりと歌ったらいい感じだろうなぁ、、なんて。
SunHero
コチラからもTB致しました。
ビーチ・ボーイズのウィルソン兄弟のハーモニーは二度と生で聞くことは出来ませんが、フィン兄弟の場合はどうでしょうか?
オーストラリアではSplit Enzのリユニオンが行われたようですが、そういう形でもいいから、生で聞いてみたいですね。
LTP
サスが、Bob Clearmountainはじめ多くの大物に支えられて(ミュージシャンズミュージシャン的なポジションになってしまいましたが、、)今もなお輝きを失わない才能に脱帽、、という感じです。
この兄弟のハモりは最強ですよね。
アメリカのBrian WilsonとWilson兄弟に匹敵するかと思うほどです。